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ラビィが誘拐された日 1

短編じゃない。連載の話です。

それは、いつもの昼下がり。

花祭りというこの国の一年に一回の収穫祭のお祭りがあり、この国が活気づくいいイベントである。

今年は、サプライズで浩輔がなんかよくわからない神輿みたいな派手派手な乗り物に乗って手を振るだけっていう。某ネズミの住む夢の国のパレードみたいなお仕事に駆り出されたため、俺は呑気に城下町でのんびりしているはずだった。


『ぷはぁっ』


もちろん筈だったと言うのは、この自分のウエストポーチからへんな声がして、視線を向けるまでは。ってこと。

鞄の入り口から見えるちょこんと見えるアホ毛じゃなく羽根。こんなことする奴はあいつしかいない。



「ラビィ・・・。」


そのまま顔をぴょこんとだしキョロキョロしている。アホ精霊ことラビィは、俺を見つけるとニコッと不敵な笑みを浮かべる。


『えへへ。和樹私を置いて行こうなんて、そうは問屋がおろさないんだからね。』


俺は威張り散らしながら、飛び跳びだしてきたラビィを片手で受け止め(捕まえ)ながら、テーブルの上に下ろす。




「・・・何やってんだ。つーか。静かにしろ。」


ラビィは、こんな残念な精霊だが、これでも可愛い見た目と、一応浩輔のために進化した珍しい魔導書の精霊さんは、研究者には喉から手が出るほど欲しい研究材料らしい。


だからか、魔道書を作ったマードックの子煩悩バリバリの心配性が、常時発動しているが、ラビィには、関係ないらしく。

いつも、あっちこっちとぶらぶらしてマードックを困らせている。


まあ、危ないおじさんに見えなくはないくらい心配しているマードックには、悪いが俺にはただのお騒がせアホ精霊にしか見えない。


しかし、マードックの熱弁は凄まじく。

魔導書にリンクしなくても自分で喋って、動いて。そして、可愛らしいあの外見が、いけない趣味の方達にも狙われているらしいといっていた。


まあ、そのいけない趣味の方々の中にマードックが入っていないことを祈ろう。と俺はおもう。


しかし、ラビィ本人には、可愛らしいとか可愛いとかは、言わないほうがいい。調子に乗るのが目に見えるようだからだ。


まあ、小さい子を可愛い言うという感じと言えばわかるだろう。


ただ、騒がしいのもあり、小さくても目立つのが、残念だ。

一緒にまわる気満々のラビィは、一向に俺の話を聞いてないがまあ、仕方ない。


「はあ、しょうがないなぁ。知らない奴についていくなよ。」


せっかくの休みだが、ラビィに使ってやろう。

休日の親父みたいな俺だが、この頃色々ありすぎて疲れてんだから、できれば一人で気ままに見たかったが、二人で楽しくみるのもいいかもしれない。ただ迷惑は、かけないで欲しい。ここ切実に。


「ほら」


俺は、入りやすいように上着の胸ポケットを開けてやる。


「いくんだろ?」


『うん。』


素直に笑うラビィは、可愛い

いつもこんなに素直ならいいのに。

なんだかんだでおれは、ラビィに甘い。






店をでると、いつもより多い人々に道端に乱雑に並んだ露店。

日本のお祭りとは少し違うが、此方は、こちらで味のある雰囲気がいい。


『りんご飴〜。』


そう言いながら、手の平でバンバン胸を叩かれながら、露店を目指す。


なんでこの世界にりんご飴なんてものがあるかは、知らないがあっちでもこっちでも、リンゴだけじゃなくいろんな果物を飴でコーティングしてあるのは、定番らしい。

こういうのを見ると、やっぱり異世界の屋台なのに懐かしい感じがする。


「まあ、赤くは、ないけど」


そう呟いた言葉を拾ったラビィが、『あかい?』っと聞いてくる


「向こうは、赤く染めてあるんだよ。」

こちらは、透明な飴に絡めてそのまま皮付きで棒にさして売ってある。


『私の魔法で染めてあげようか?』

「いらんことをするな。」

ラビィに魔法をかけられたら変な味になりそうだ。



りんご飴を買い終わると、次は、肉だのクッキーだの。


ドンドン買っていく。

はあ、これ俺の金なんだけど、そんなつぶやきが漏れたのも仕方ない。



書類整理、勉強指導、祭典の演出(全部浩輔が、覚えれる範囲を超えないように)色々と、手伝わされて、つい最近俺に給金を払わないとっと思ったらしく。半年たって、やっと、人生初の初めての給料を貰うことになった。給金の前に休みが欲しい。


まあ、書類整理を俺にやらせている時点で何故俺が?っと思ったことは、言うまでもない。


それも、半年分だったから金額がおかしかったが、とりあえずお世話になったみんなに何か買ってあげたいと思っては、きたのだが、


「ラビィ食いすぎだ。

お前そのちっこい身体の何処にその質量が入ってるんだ。」


ラビィだけにこんなに使うつもりじゃなかった。キャバ嬢に貢ぐ男になった気分だ

財布に入れてきた半分をラビィに使われた気がする。


リスのようにほっぺいっぱいにお菓子を詰め、鼻の上まで、ソースがついていて笑いを誘う。

憎めない奴というのは、こいつのことだろう。


だが、さすがにこれだけ騒いだり食ったりしていれば目立ったらしい。

怪しい奴に見える前にそろそろ帰るか。


さすがに、こんだけ荷物があると、買えるものも買えない。


そう思って、振り帰った瞬間


ドサっと誰かにぶつかった。


「あっ、すいません。」


チクリとした痛みと押し倒された衝動で倒れこむ俺。


「大丈夫かあんた?」


ぶつかった奴とは、違う筋肉質の男が、手を貸して立ち上がらせてくれた。


「大丈夫です。」


ぶつかった男は、もういない。


「お前なくなったものは?」


「はい?」


「財布」


立ち上がらせてやったから金をよこせってことか?

そう思ったが一応財布を取り出そうとして固まる。


「あれ?」

財布が・・・


「ないんだろ?」


男はため息をつきながら顔を顰める。



「・・・はい」



「さっきのやつだな。祭りの日は、あいつらの稼ぎ時だからな。」



どうするか・・・。べつに財布がなくなったとしても、城に帰る予定だったし、食べ物にも困らない。


「どうする?ラビィ・・・?」


そう小さく呟いた。しかし、いつもなら煩いくらいの声が聞こえない。


「ラビィ・・・?」


俺は、自分のポケットをみる。


そこには、ラビィが入っているはずのポケットは、なく。軽く切り裂かれたただの布がぶら下がっているだけだった。

破けてる。まじかよ。一緒に?


でも、財布は、別の所に入れておいたはずだし、まさかラビィが狙い?



一気に顔が青ざめいくのを感じた。


「おい。大丈夫か?」


さっきの男が、心配そうにこちらを伺っている。


急いで取り戻さないと俺は確実に焦っていた。



駆け出しそうな俺に男が俺を引き止め

「お前何処にいくつもりだ?」と呼び止める。


顔も覚えていない。当てもない。一体どうすればいいんだと声を張り上げそうになった。

やばい。ただの迷子の方がまだマシだ。焦りが顔に出ていたのか男が、俺を掴んで目を見つめる。


「俺は、あいつの顔を見たから、付き合ってやる。お前みたいなヒョロいやつが一人でその辺うろちょろしたら祭最中だろうと、ぼーっとしてると最悪死ぬぞ。

おれは、ジークフリート冒険者をやっているジークと呼んでくれ。」


そう掛けられた言葉に俺に疑う時間はなく。助けてやるっと言うその提案に素直にうなづいた。


早くラビィをみつけないと。


この時の俺は、久しぶりに自分を中心に起こる問題に焦るばかりであまり頭が回っていなかっただろう。

複数の俺を見つめる目に気づかなかった。

ちょっと、最後無理やり感がするかな?

3日後です。

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