知識の迷宮
珍しく浩輔主役
今、浩輔は悩んでいる。理由は、
『パンは、パンでも食べられないパンはなに?』
そう古代語で書かれた扉には、取手や扉を開けてくれるボタンなどは付いていない。
「ラビィわかる?」
『わかんない。カビの生えたパン?』
そんな二人を悩ませている原因は、地下の迷宮と呼ばれる迷路のような入り組んだ道にいろんな問題の書かれた扉を解きながら進むダンジョンだ。
しかし、今居るのは、地下一階つまり、一番簡単な筈の第1問目から、躓いている。
まあ、こんな場所で躓くのは、この二人くらいである。
ちなみに問題は毎回問題が解かれると、新しい問題がでてくる。
『こんな時は、和樹に頼るしかないわ』
「そうだな」
そうして、取り出されたのは折られた鶴で作られた''伝書鶴''
これは、和樹が
「携帯ないのってつらいですよね」
「浩輔の文章には、通訳がいる」
そんな声にお応えして、マードックと和樹が試行錯誤して、作り上げた魔導具である。
その名は、''伝書鶴''。折りたたみも可能な優れもので便利な音声録音機能がついている。
鶴を広げ魔力をとおすと、あら不思議、鶴がパタパタと動き始める。
それに、声を録音させると、パタパタパタと羽根を広げて飛び立っていった。
ただ若干羽根の動きと速度が比例していないが、なんたって、スピード重視に作られているのでだれも突っ込まない。
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さて、場所は和樹の部屋
『助けて かずきもん』
そんな青いネコ型ロボットに助けを求める少年のようなトーンで喋られる声を聞きながら、ラビィは、どこからそんな情報を仕入れているのかかなり気になる和樹。
しかし、まあ、それは、置いといて、助けを求める声を聞きながら冷静でいられるのは、このフザケタ伝言の内容だと思う。
『パンはパンでも食べられないパンは?ってなに?カビの生えたパンじゃないし、意味わかんないのよね?』
意味わからんのは、こんな定番の謎がけで悩むお前らの頭だ。っと今すぐハリセンをもって叩きに行きたいが、そんな奇行をやると、この頃
奇行=俺。
みたいな嫌な方程式が定着しようとしているから控えよう。
さてさて、取り敢えず「フライパンだ!バカヤロー」
声を入れて鶴をさっさと送る。
「毎回問題があるたびに鶴がくるような嫌な予感がする。」
そんな預言めいたことをぼやきながら和樹はなんだかんだで次の鶴を待つ。
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和樹から、「フライパンだ!バカヤロー」という伝言を受け取り二人で「「?」」っとなっていたが、その後に続けて。
「どうせ。『なんでフライパンなんだ?』とか『フライパン?』っとか思って悩んでいるんだろうが、そんなものお前らが終わった問題を悩んだところで時間の無駄だから、帰ってきてからちゃんと教えてやるから、さっさと進め」
そう言われると、2人は「教えてくるなら、まぁいいか」と納得して先へ進む。
ちなみにその先にあった宝箱にはなぜかフッ素コート付きのフライパンがあった。
なんと、焼いたものがくっつかない優れものです。
さて、そこから、和樹に言われた通り、迷路の迷わない進み方を実践し、何度か罠や隠し通路の扉のボタンを押してしまう。ハプニングもあったものの、なんとか二階へ。
そして、第2問目の扉の前につく。
『まったく知らない人の色って、どんな色?』
「んー。肌色だよね」
『でもでも、人間や亜人とかで色が変わるわよ』
さて、皆さんわかっていると思いますが、ここで問題なのは、誰も肌の色を質問しているわけではないっということだ。しかし、2人は気づかない。
「でも、肌色って肌の色だから肌色でしょ?どんな色でも肌色でいいんじゃないかな?」
『そっかぁ!』
「じゃあ、肌色で」
ここに和樹がいたらハリセンで叩かれている事だろうが、ここには、和樹は、いない。
10分後・・・・。
『開かないね・・・。』
「やっぱり、和樹にきいてみる?」
『そうだね』
迷った時の和樹さんである。
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開け放たれたままの窓にスィーっと入ってくる白い鳥もとい、伝書鶴。
「また来た」
そんなつぶやきをしてしまうのは、仕方ない。
内容が内容だ。
「今度はなんだ?」
そう思いながら、鶴を手のひらに乗せる。
すると喋り出す鶴。声は、ラビィだ。
「ちょっと和樹きいてよ。扉全然開かないのよね。とにかく問題は、『全く知らない人の色ってどんな色?』肌色よね?・・・」
その後は、よくわからない愚痴が続いていた為聞き流して別の鶴に音声をいれ送り出す。
まだ喋っている鶴を眺めながら和樹は思う。
「あいつら自分達で解く気あるんだろうな?」
和樹は、やっぱついていけばよかったかなぁっと思いつつ。
また次の鶴を待つ。
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「赤だ」
解答が帰ってきた。
「なんで赤なんだ・・・?」
まるで信じられないっとばかりに驚愕する二人。
しかしラビィが、ポンっと手を打ち
『きっと、会った人は、ドラゴニュートだったんじゃない?』
「なるほど」
『まったく、ちゃんと種族名もいれてもらわないと』
「本当だな。不親切だ。」
2人は知らない。赤の他人だから赤なんだと言うことを。
そのあとも、
『目は4、鼻は9、口は3、で耳は?』
「妖怪か?」
『えっ、浩輔の世界には、そんなこわい生物がいるの』
変な誤解が生まれた瞬間だった。
・・・・・・・・。
「開かないなぁ」
『ねぇ、浩輔これって数を聞いてるんじゃない?』
「あ、本当だ」
ラビィは、思った。
『きっと、これは一人じゃないのよ。口が3ってことは、きっと三人よ。目が4つってことは、2人がサイクロプスで1人はきっと魚人とかよ。きっと鼻は鼻の穴の数で魚人とかは、たまによくわからない進化をしてるから。だから、答えは6』
「ラビィすごいな」
こうして開かない扉とまたにらめっこすることになる2人であった。
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『世の中には、''さむくなる''ほど''あつくなる''ものがあるらしい一体なんだろう』
『謎ね』
「風邪の初期症状だな」
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こうして、たどり着いた先。
思考の遥か高みを目指し励むものを迎えるといわれる ダンジョン知識の迷宮。
その一番下のまた奥に知識の探求をする者たちの為の宝が眠っているという。
それを身につけた者は新たな思考の扉を開けることができると伝えられている。
浩輔とラビィは、宝箱を開けた。
中には、なんとブレスレットが入っていた。
浩輔はブレスレットをはめた。
浩輔の知力が・・・・
ジャミング音が鳴り響く。
「「え?」」
+3あがった。
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「和樹俺。すっごく頭良くなった気がする。」
「んー。3×3は?」
「12だろ」
「・・・浩輔。きのせいだ(知識の腕輪の効果って・・・。)」
あれ?俺。浩輔の高校受験なんで受かったか覚えてないや。
3日後に連載の話が入ってきます。
少し雰囲気の違った脳筋勇者をお楽しみ下さい。