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世の中には、拾っては、いけないものがある。

「浩輔。元あった場所に戻してきなさい。」


もう、何度目の問答を繰り返している。


「いやだ。」



『そうだよ。可愛くない?』




おれは、息をめいいっぱい吸って。



「可愛くないわあぁぁぁ」



と叫んだ。





つい激しく突っ込んでしまったが、ただいま朝日の昇ったばかりで、元の世界では、『グットモーニング』っと挨拶をしている時間帯のはずだ。


そんな爽やかな朝を迎えるはずだった俺の目の前には、異世界の生物が、俺の忍耐力を試すかのように鎮座している。



そして、無駄に朝から、こいつらのせいで頭を悩ませる事になった。





うねうねと動くこの異世界の生物は、とある赤い帽子をかぶったヒゲ面のおじさんが、姫を助けるためにトゲトゲの亀を退治するゲームに出てくる土管にはいった植物にソックリだ。




『えー可愛いのに〜。』




お前ら可愛いという言葉の意味をしってていってるのか?


愛らしい魅力を持っている。という意味があるらしい。そんな魅力があるようには、みえん。






「ウンウン。こんなに可愛いんだぞ。和樹」



そう言って、目の前に差し出された生物に可愛さは微塵も見当たらない。


残念ながら、その魅了の魔術は、俺には通じないようだ。




事件の発端は、生物を朝から鉢に入れて、持って帰ってきた浩輔をフォードさんが見て、慌てて、朝から叩き起こされたのが、今の現在の状況だ。


だからか?俺はいまは、理性を保つので必死だ。


なんでかって、俺は今ちょー眠い。眠気で色々プチ切れそうだ。


ついでに今浩輔の横で一緒になってうるさく騒ぎ立ているのは、元寝込んだ魔道書。

いまは、勇者専用の魔道書になってる本の精霊のラビィで、つい先日。


本を自分で浮かせながら移動する方法が取れるようになり、本の表紙にある魔法陣の上でホログラムのように小さな体を出しながらプカプカと浩輔の隣に浮いている。


そんな二人は、きっと合わせてはいけないのは組み合わせなのだろう。






「この、ドラゴンってのは、どんなのなんだ。」


『うーん。・・・・観に行けばいいじゃない!』







そんなノリでドラゴンに会いにいき。







『はぁ、マジ怖かった。』


「ああ、死ぬかと思ったな。」




その時、ドラゴンの鱗をお土産にもらったことは、まだ記憶に新しく。

俺がラビィを持ち運ぶのを面倒くさがって、自分で動けと行動範囲を広げてしまったのがいけなかった。



ついでに、言っとくが遠足ノリで行って生きて帰ってこれるお前らは、おかしい。



まったく、なんか昨日から見かけないと思ったらこの始末だ。

目を離しちゃいけなかった。



「返してきなさい。」


「いやだ。」


「そいつは何を食べるか知ってるのか?肉食なのか?」


「知らないが、たぶん虫を食べるから虫食だ!」


「そんな言葉はねえよ。」


そんな口論中も植物は、うねうねとダンスしてるかのように動いている。



「とにかく。フォードさん」


「は、はい!」



植物をとりあえず取り上げさせると

、できるだけ声を低くしてゆっくり話かける。




「お前ら、まず正座だ。」





ビクっとしたラビィにおずおずと座る浩輔。


「まずペットを飼うにもお前らは、お城に仮住まい中だろうが、何を考えているんだ。」


そうだった。と今更思い出したかの様な浩輔にため息を吐きつつ。諭す。


「いいか。せめて、ちゃんと世話が出来る生態のある程度わかってる奴を拾ってこい。」



「い、いや、そういう問題では・・・。」


「まったく。なんだこの生物は!」



俺は、フォードさんのツッコミは、軽くスルーして。彼が、抱き抱えるように持っている植物を指差しながらも奴らから、視線は外さない。





「もしかしたら、鉢植えから、飛び出すかもしれない。人を食べるかもしれない。人を襲ったらどうするんだ。そんな事が起こるかもしれない生物を城の中に入れるな!」


そう話していたら、何故かフォードさんが青ざめている。まあ、いいか。


赤いヒゲのおじさんでも食われて小さくなったりするんだ。最悪火を噴くことも視野に入れとかなければならないだろう。


そして、その結論には、今気づいたんだろう。

2人もわかったように、頭を下げている。


「分ったなら、とりあえず元の場所に戻して来なさい。」


『「はーい」』



こうして、朝からのこの騒動は、片が付いたような気がしてたんだが・・・・。










「これは?なんだ?」



「ん?こいつは、人を食べないし、命令されないと動かないから大丈夫だ。」




目の前には、ゴーレムが。

ゴーレムって、宝とか守るためにあるモンスターじゃなかったか?



「・・・何を食べるんだ?」



「ラビィが言うには、岩らしい。」






「・・・なら。まあ、いいか。門に立たせとけば。」


そう呟いた俺は悪くない。


悪いのは、頭が残念な幼馴染みの勇者の所為に違いない。




こうして、お城には、のちに、屈強なゴーレムという門番が、何百年と守護神として門を守ることとなった事実を俺は知らない。









ついでにゴーレムさんは、クッキーみたいにモグモグ岩を食べます。

え?そんな情報いらない?

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