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フォード視点

短編より、加筆しています。

また読み直して、楽しんでいってください。

『あの方は、馬鹿なのか?』


そんな言葉がつい口から出てしまった。

いやそんなはずはない。我々がお呼びした。勇者様なのだから。


そんな思考がグルグルと回っている。






私は、浩輔様のお世話役を勤めている。フォードと言います。



私は、この頃、悩んでいます。



それは、我々の国がお呼びした。勇者浩輔様が必要異常に理解力が、乏しいと言うかなんと言うか・・・。


『いや、きっと、私の理解力、説明力が足りないだけなのでしょう。』



そう何度も、陛下や宰相様に御報告を申し上げる度。無力感で押しつぶされそうでした。



ですが、和樹様と呼ばれる勇者様の幼馴染みっと言う方を勇者様が呼び出されて以来。


私は、また常識を考え直さなくてはならなくなりました。


たった今目の前でやっていることは何なのでしょう。


「いいか。この顔。この顔をまず覚えろ。」


彼が、指差しているのは、この国の王様の肖像画です。決して、指をさしては、いけない方です。


なので私は、すかさず注意します。


「あの・・・指を指すのは・・・」


しかし彼は、そのまま続けます。

はい。無視されました。


「よし。で、次にこの顔をみたら、顔を伏せ。片膝立てる感じで。はい。フォードさん。」


いきなり呼ばれて声が上擦ってしまいました。

「は、はい。」


そして、ついつい、彼に言われてやる私もダメなんですが、彼には、異を唱える隙がありません。


「いいか。この体制で。「顔を上げよ」って言われるまで上げるな。」


「なんで?」


そう、この『なんで?』です。

しかし、説明しても、説明しても浩輔様が理解してくれることは、ありませんでした。



しかし、彼は、



「しらん。」




そういったのです。私は、たぶん変な顔をしていたでしょう。



しかし、この後、浩輔様が



「そっか。和樹でも知らないのならしょうがないな。」



という。

言葉を発せられてつい、今までの私の苦労は、なんだったのだろう。と思ってしまったのは、仕方が無いことです。



しかし、この時学習しました。

たぶん、浩輔様は、純粋過ぎて、


『私たちが息を吸わなければ生きていけない。』


と言う常識から教えて行くという、くらいの根性がないと勇者様を教えるという名誉なことは、出来ないのだと。



そして、私は、この後、和樹様とお話をするためにお部屋にお伺いいたしました。


「和樹様は、浩輔様の事をどう思ってらっしゃいますか?」


私は、率直にあの浩輔様の純粋さを、どう思っているか聞いてみました。


「ええっと、もちろん。友人以上の感情は、これっぽっちも、1㎜も全くありませんが。」

何故か必死に特に友人以上っと言う所を強く強調されながら言われました。


「へ?・・・えっと」


私は、たぶんすごく困った顔をしていたと思います。


「ああ、そう言う意味じゃなくてですか?よく聞かれるのでつい・・・」


少し照れながら、頭をかかれる姿は、確かに少年の幼さがあり、年下だったのを思い出しました。


「ああ、いや、あの浩輔様は、素直な方なのですが、私が不甲斐ないばかりに教え方が分からず・・・」


「ああ、そっちですね。」


なにと、間違ったのかまだよくわからなかったが、和樹様は、少し考えると語り出されました。


「私の世界っていうか。国には、天は二物を与えずって言う言葉があってですね。 『神様はわれわれ人間に二つの物を与えない』という意味なんですが、ここでいう「物」は才能や資質なんですけど。まあ、浩輔は、きっと神に愛されてるのでしょう。」


「はあ・・・」

私は、彼がなにを言いたいかわからず、つい気のない返事を返してしまう。


なのに和樹様は、クスッと笑うと、続きをはなし始める。


「そうですね。まず、あいつには、皆が見惚れるような容姿も、人を惹きつける性格もありますし、あと、勇者に選ばれるほどの力があります。

しかし・・・・考えてください。もし、浩輔が、頭までよければ。」


私は、考えて見たことがなかった。頭の切れるあの勇者の姿を。しかし、和樹様は、そのまま話を続ける。


「彼は、きっと嫉妬や妬みに苦しみ。私と言う友人には、まず出会うことは、なかったと思いますよ。私も、彼があんな性格だから側に居るわけですし、もし頭まで良かったら、きっとあんな呑気な性格にはならないでしょう。そう思いませんか?」


「そうですね・・・」


人の妬みは醜い。私も、生きていく上で色々経験してきた。

もし、彼が完璧な勇者だったなら、私は、彼に嫉妬してしまうだろう。

勇者としての彼の力と才能と頭脳に。

それが、ただ彼のために悩んでいられるのは、彼の性格と、あの子供っぽさだ。


「ならば、馬鹿は、馬鹿でいてもらいましょう。これが彼の幸せと我々の幸せに繋がるんです。厄災は我々が振り払えばいい・・・そう思いませんか?」

そう、言い切るかれに私は、それしか答えがないように

「そうですね・・・」


っと返事を返していた。


「もちろん。手伝ってくださいますよね。」


笑顔の彼にそう言われて、嫌だといえるだろうか?

私は言えなかった。

私達は、今日、彼のために頑張ろうと、硬い握手をしました。





しかし、わたしは、根本的から、勇者様を誤解していた事に気づいてしまった。

この世界に呼び出してしまったのに。自分本意な考えで侮辱してしまっていた。

きっと私は、勇者様を苦しめていたのかもしれません。

私は、馬鹿だったのです。


それを教えてくださった。和樹様には、頭が上がりません。


あと後日談ですが、お話をまたしようと、話のネタに出来上がったばっかりの和樹様の本を持って彼の部屋にいったら、


「なぜそれを・・・」

っと絶句なさってました。

それも、

「この本は、燃やすべきです。いや、灰にしましょう。」


そう言われていましたが、


『これは、王宮の人間ならたぶんほとんどが持っていますよ。』



っといったら、小一時間くらいの固まってらっしゃいました。


どうしたんでしょうか?










ついでの、魔導書さんのその後


「ああやって、こう。そうそう。ズバーンって感じ?わかる?」

「こうか?」

「そうそう!よく出来ました。」


今目の前になにやら、精霊と呼ばれる物が、半透明のちっちゃい体で本の上で手を突き出し。ポーズを決めながら「ばーん。」と言っている。


それを見ながら真似をする勇者もなかなかシュールな光景だ。


本の上で小さく動いてるのは、見た目。羽の生えた人間?ピーターパンに出てくる。妖精みたいだ。


本来ならば。本の中で対話する?と言うか。教えを乞うはずなんだが・・・・。




「本が進化した・・・」




そうマードックさんがつぶやく声に


「いや、あれは、退化だろう。」

っと速攻で突っ込んでしまった。


それに擬音ばっかりで説明して通じるやつなんて、あいつだけだろう。


勇者専用魔道書の完成した瞬間だった。





誤字があったら、すいません。

教えてくださると嬉しいです。

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