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ラビィが誘拐された日9

「お前タダで済むと思ってるのか?」


三下のザコが言うようなセリフで追い詰めらている俺は、ザコなのかもしれない。

そんな自虐以外の何物でもないことを思うのは、追い詰められたせいかもしれない。

とくに、向かいあっている男は追い詰めたことに気分上々のようだ。

外に出たと、思ったら少し開けた中庭みたいな場所だったらしく。逃げ道を無くしてしまった。おれって本当運が悪い。



「和樹・・・。」


後ろにいるをラビィをかばいながら後ずさる。握りしめられた手は、まだ震えている。

いつもなら、ちゃんとした下調べをする俺だが、やっぱり異世界ってこともあり、魔法もあるし、なんとかなるだろ。っていうよくわからない自信により突撃してしまった。やっぱり、なんだかんだでちょっと、浮かれていたのかもしれない。調子乗りすぎた。




少し時間を戻すと、途中話し声や物音を頼りになんとかラビィを見つけた俺。

壁穴からみた時のよくわからない奇妙な光景に「は?」っと喋りそうになったのを抑えた。理由は、本が何故か鳥かごの中に入れられていてるなんともシュールな映像だったからだ。これがラビィの魔道書って知らなかったら最初は頭がおかしい人がまざってる?っと思ったに違いない。

まあ、鳥かごには、封印の魔法陣が何重にも貼ってあり、見た目も怪しかったのでラビィだろうと目星をつけるのも早かった。



中に入るには、また大変で扉の前には、この国では、見たこともない模様の服を着た見張り立っていた。

それに他にも、新事実があって中には、他にもこの国の珍しい魔道書やら何やらが乱雑に積み重ねられていた。

どうやらラビィを個人を狙ったんじゃなく珍しい魔道書を集めていたらしい事は、観察してなんとなくわかったが、どうするかが問題だった。

何やらゴタゴタと片ずけをしているようでどうやら祭りの終わりの期間に合わせて帰るつもりかもしれない。

祭りの期間は、他国からの商人やら観光客やらでごった返しているので、入るにも帰るにはもってこいなんだろう。まぁ、審査があるらしいからそうそうホイホイはいってこられても困る。

しかし、他人から盗んで国外逃亡計られてはたまらない。

とくにラビィは、一応貴重な勇者専用魔道書なのだ。

たぶんあちらも、勇者専用魔道書ってことに気づいてないのかもしれない。今日は俺といたし。

とにかく。ラビィをマジックバックに入れられたらおしまいだ。

ラビィは、精霊のくせに本の分類に入るのか、生物つまり生きている生き物は、入れられないはずのマジックバックに入ってしまうのだ。

そんなこんなでこのまま無事に荷物整理を行わせてしまうとやばい。

そう思って、つい。

ちょっと、近くで大きい物音を立てれば見張りがいなくなるだろうっと軽い気持ちだった。


まあ、成功したは、したんだけど封印の魔法陣をはがしたりして、思った以上に時間がかかった。どんだけ危険物扱いって位に。

そのせいでこんな場所に追い詰められることになってしまった。逃げる時は元来た道に向かうべきだった。

反省しても遅いが

《やっぱり、助けに入る時は、一人じゃだめだったかなぁ》

そう思っても口には出さない。


自分で分かってる。俺は、普通の人間で力仕事は、特に苦手だ。


だけど、それでも、護りたいと思ったものは絶対手は出させたくない。っていうのが、譲れない心情なんだ。

俺だって、護りときは護りたいって、なんでも、そんな気持ちが大事って本当だと思う。



だって、目の前に見えるのはとある奴に渡した黄色い色紙で折られた小さい鶴。

それを見つめて思い浮かぶのは一人だけで俺だけでは護れないけど、「助けて」なんて言わなくても、いつも俺ごと護っちゃうやつがいる。



『絶対助けるから待ってて。』



そんな奴の顔を思い浮かべていると鶴からつぶやかれた言葉は、想像通りの奴の声で俺の弱った心を鼓舞する。




「何言ってるんです?俺が相手にするわけないでしょ。」


そんな言葉をきいていきなり強がりを言っちゃう俺って最低だ。


「は?お前なにを」

そんな言葉が返ってくるなんて思ってなかったのか男は仲間が集まるのを待っている。


しかし、俺は、もう浩輔が近くにいるってしっている。

浩輔はわかってるよな。俺が馬鹿みたいに窮地に陥ってること。なんだかんだでよく親父には「お前は最後の最後で詰めが甘い」って言われた俺。


時間稼ぎは、もう終わったんだ。



俺の親友は、俺が、頑張ってるといつのまにか知って助けにやってくる生まれつきヒーローなんだと思う。



「だって、悪を倒すのは勇者の仕事でしょ?」



だって、いつもいい時に登場するから。



「だろ?浩輔」


ほんとお前はいつでも頼れる親友だ。



「おう。任せろ。」




答えと同時に上から飛び降りてきた人影に一人の男が吹き飛ばされる。

その手には光速で収束された眩いばかりの剣が、暗闇の中持ち主をかがやかせている。



「な、なんだ。」


慌てふためく男たちの中で和樹を見つめるその人物は、ボロボロの和樹をみると、悔しいそうに少し顔を歪めたが、すぐに笑って



「遅くなってごめん。でも、和樹いってたよね。ヒーローは、遅れてくるものだから。って」



そう言うもんだから、おれも答える。



「おう。だから、助けてくれるだろ。ヒーロー。」


調子に乗って冗談をいう俺に。

浩輔は、それに答えるように笑った。


浩輔が振るう剣には、俺と違って迷いはない。

俺がいない一ヶ月間に拳ではなく剣で人と戦えるようになった浩輔に俺は、何も聞かなかった。

だけど、今の俺は思うんだ。

子供に手を出すような悪党に手加減なんて要らないし、勇者って、悪を成敗するのが仕事だろ。

だから、浩輔は、何もかも考えるのは俺に任せて、今のままのバカで無敵な勇者でいてほしい。

そんなおれの勝手な思いを知っているのか、浩輔は、いつにもなく無敵だった。




犯人二人には逃げられた。ラビィを見張ってた奴と、他国の剣をさげてたやつだ。やっぱ二人じゃ逃げる奴まで追えなかった。

他の奴は全員捕まえて兵隊さんが連れて行ったが、どうやら他の奴らは逃げた二人にお金で雇われていただけらしい。


とりあえず魔道書を集めろって言われたらしいが、素人には魔道書か本かの違いは、開かないとわからないため魔道書以外の本もあったらしい。何故集めていたかもきいていないらしく。理由はわからないままでそれも半分は持ち逃げされたみたいだが、俺としては、まあ、ラビィが無事だったので良しとしようと思う。



つい、へたり込む俺。


「やっぱキャラにねぇ事やるもんじゃないな。」


「そういって、なんでも首突っ込むよね?和樹は。」


「そんなの当たり前だろ?友達と対等にいるために俺なりに頑張ってんだよ。かっこいい親友でいたいだろ」


「和樹は、いつでもかっこいいよ」



そういって、俺たちは、なんとなく笑いあった。






後日。

「はあ、浩輔様だけでも、大変なのに、和樹様は、もうちょっと考えて行動なるだろうと」



何故か俺は、フォードさんに朝から説教され

ラビィは、フォードさんの隣で一緒にウンウン頷いている。

なんか解せん。俺頑張ったよな?



そして、何故か俺の後ろにジークが、笑いながら見ている。


しかし、なんであいつ此処にいるんだ?

次、7/11です。

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