ラビィが誘拐された日7
え?その後どうしたって、喜んで服を交換してくれました。
ボロボロで少し泥だらけだけど、ついでに寒いからって端切れを少しくれました。
案外いい人だった。
そんな訳でボロボロの格好と少しの変装。ちょっと髪をボサボサにしてみたり、顔に汚れをつけたり靴は、マジックバックに直してとあるところに隠しました。(一応異世界のものなんで)
足は、怪我したら嫌だから、もらった端切れを足に巻いて、儀装している。本当 ホームレスのおじさんさまさまです。
そんなこんなでその格好のまま突入する。
どうして、そんな格好をしたかというと、あまりにもあの格好だと綺麗すぎて浮いてしまうと思ったからだ。
この格好だと、入っていっても浮かないし、どこでもホームレスが入ってきたって思うだけで誰も気にしない。
ここは、どこでも好きに寝ていい場所らしい。
俺は、ちょっとだるそうに演技しながらそこらへんにあった棒を杖代わりに歩く。
奥に入ると、たててあった建物の上にまた建物がたててありゴチャゴチャしている。
俺は下向き加減でキョロキョロしてるのがバレないように服や靴が綺麗なやつを探す。
もし変装していても、ローブで隠れたりして大丈夫ってやつが多いからって案内のお兄さん情報を頂きまして、なるほどって感じで探している。
そして、言われていた建物らへんを軽く通り過ぎる。
ああ、ここだなってそう思った。
たぶん、クオンが言っていた奴がちゃんと、こちらでは見ない剣を腰に下げ、威圧するように入り口付近に立っている。
目立ち過ぎ、まあ、あれじゃ勝手に入って行かないけど、俺は、こっそり建物の周りを回ると少しの壁の壊れている場所を見つけた。
あとちょっと、崩したら俺入れそう。
そこは、器用貧乏な俺。無詠唱で唱えた魔法で音を出さないように土を掘り下げた。
中に入ると、結構広い。増築してあるからかもしれない。内装は、屋敷って感じだが、中は板が腐ってたりするようだ。
やばい。俺は靴を履き替えると、ゆっくり進む。
この中にラビィがいる。今日1日がすっごく長く感じた。
朝から一緒に居たはずのラビィに何日もあってない気がする。
和樹は、ラビィを探して、歩き回った。
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その頃別れた二人は、巡回している兵士を探して街をうろちょろしていた。いつもより、街のお祭りで見つけるのは駐屯地より早いと思ったからだったが、探してみるともう夜だからかなかなか見当たらない。
「お兄ちゃんに早く渡してって言われたのに」
焦ってしまうのは仕方ない。
「落ちつけ、何事も急いては事を仕損じるって言うだろうが」
「うん・・・いたっ!!」
いきなり駆け出すように走るクオンを追う。
「兵士さん!!これ!!」
いきなり叫ばれ何かを渡された兵士達は、警戒するが子供のため困惑する。
「えっと・・」
一番しっかりしてそうな兵士がその品を受け取り見つめる。
「これじゃわかんねぇだろうが」
後ろから慌て追いかけて来たジークが兵士に説明する。
「和樹ってやつにこれを兵士に渡してくれって頼まれたんだ」
そういって、くわしい事は、これを読んでくれっていってたんだが、といって兵士が持っていた一つの手紙を指差す。
和樹のコインを眺めていた兵士はおもむろに手紙を開けると中身を読み出す。
「間違いなく和樹様のだな。一体。しかしとりあえずマードック様に知らせなくては」
兵士がそういって、取り出してのは笛。
ピィーーーーーーーー。
っと吹くと馬に乗った兵士がやってきた。
「急いでマードック様に」
「了解です」
そういって、走り去っていった。
それを眺めながらジークは、今日何回も思ったことを口に出した。
「あいついったい何者なんだ?」
その呟きは、騒がしい周りの音で彼らの耳には入っていなかった。
次7/5です。




