【詩】空白への光
俯いて歩く人は
過去の水溜りに沈んでいる。
頤を上げて歩く人は
今日の数瞬に出会っている。
曇り空の下の
昨日と
今日に、
明日が
透けて
見えている。
緑から蒼へと
重く黙り込んでいく西の山の頂上を
夕陽が赤く染めていく。
猩々緋に燃える空には、
今日の喜びに煽られた雲が
昇っていった。
紺青を深めていく水面には、
陰々とする日々の哀しみが
沈んでいった。
やがて夕陽は
限りなく金に近づき、
遂に
最後の夕陽が、
全てを染める諦めの色に、
ただ一人で抗うための
最後の光を漲らせて、
今日と明日の一瞬の空白に、
ただ一人で沈んでいった。