ハーフボイルド探偵・BARにいる探偵 【二百文字小説】
「マスター、いつもの」
眠らない街。大通りの光が入らぬ路地裏。
看板のないBAR。ジャズの流れる静かな店内。
扉を開けるなりそう言うと、探偵はいつもの指定席へと向かった。
そして腰を下ろした瞬間、零れ出る深いため息。
まったく、とんでもない依頼だった。何度、命を落としかけたことか。
だが、今日はゆっくり眠れそうだ。
そう安堵して、差し出されたグラスを受け取る。
そして探偵は、クリームソーダのチェリーを口に含んだ。
子どもかっ!