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素敵な笑顔
中から出てきた女性は、すらっとした茶髪のショートヘアの人だった。
「斜向かいって、そこの新しい家?」
大人っぽい魅力的な声で、私自身もドキッとした。
「えぇ」
「随分と素敵な家に住むのね。建築が始まった頃から、どんな人が住むのか家族と話していたの」
女性はにっこり笑って、私たちの方を見た。
「名前はなんていうの?」
「あぁ、僕が23歳の兄の伊吹です」
「妹の愛理で、4歳年下です」
彼女に負けない位の笑顔を作ったつもりだった。
「あたしは井原友紀。伊吹さんと同い年よ」
「えっ!本当に⁉︎」
なぜか、兄より私の方が反応した。
それを横目で見る兄は、苦笑いしていた。
聡美さんの時と、同じ顔だった。
「あたしね、弟が2人いるの。上が愛理ちゃんと同い年で、下の方が2つ年下の17歳」
「私と同じ年の人もいるんですか?」
「……まぁね」
そのときの友紀さんの態度が、少しだけ挙動不審に感じた。
「今、その弟さんは?」
「2人とも今は出掛けているの。もういい年だから」
友紀さんはまた、にっこり笑って返してくれた。
その笑顔に、私も恋をしてしまいそうだった。