第二章 お別れ?
「なんでわかってくんないの!?」
直樹の部屋に響くのは私の声。
「だから!ごめんって言ってるじゃん!」
キレながら返事をする彼。
直樹は軽音部に入って、バンドを組んで、
毎日バンドのメンバーと会って
曲を作ったりしているらしい。
それで、会う時間は徐々に少なくなって
学校で話すことしかなくなって、
メールは1日に3件程度で終わっていた。
でも嫌いになったわけではなくて、
彼の夢を応援したい気持ちだった。
彼の夢は有名バンドを作って
歌って、テレビに出ること。
その詳しい理由は、あまり聞いていないかr
分からないけど・・・
それでたまに会った日にはいつも喧嘩。
私が浮気を疑って直樹がそれをただ否定するだけの言い合い。
会えない時間に彼が何をしているのか、
それが気になって、
そのうち自分に自信がなくなっていった。
それを彼のせいにした。
怒鳴った後に残る虚しさがいつも涙を誘った。
「柚乃、別れるの?」
そう彼が私に問う。
時間が止まった。
別れる・・・・?
どうして?
私は愛してるのに?
直樹は、もう私のこと、愛してないの?
好きじゃないの?
好き・・・好きだから・・・
ねぇ・・・嫌だよ・・・
こんなにも胸には言葉があふれてるのに
何一つ伝えなれない。
もう何もわからなくなった。
私は首を縦に振った。
彼は私をそっと抱きしめて
「ありがとう、ごめんな」
ただ一言。
学校帰りだった私は
直樹の部屋の床に放り投げていたスクバをもって
勢いよく部屋を飛び出した。
「おじゃましましたっ」
鼻声になりながら直樹の家を走って出た。