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Blood type V  作者: ROM
9/19

彼女の真意

彼女はそれだけ言い残し


ステージの方へと去っていった










携帯の画面には18:52と表示されている


気付けばかなりの時間が経っていた





彼女の最後の言葉、多分あの事だろう








――夜よ、貴方の前に現れるわ








もうすぐ吸血鬼が現れる


そういう意味だ






不思議と今は吸血鬼の存在を強く否定する気にはならない


最初に会った時はただ怖いだけだった






彼女が吸血鬼の話をする時は恐ろしい、


それはもう背筋が凍るような気分だ



でも最初に聞かされた時のような不気味な感じはしなかった





今までの話から考えると


吸血鬼は三年前の事件と関係している


そして今夜、吸血鬼が俺達を襲う




多分これが彼女の考えている事、


普通はこんな事考えつかない、でも彼女は信じている


その理由はこれを見ればわかるかもしれない





そう、彼女から預かった一枚の封筒


白石さんは自分の話を信じた時にこの封筒の中を見ていいと言った


つまり、吸血鬼の存在を信じたら見てもいいよって事、


別にそんな約束気にしないで今見ることもできる



でもこのホテルにいる間はこの約束を守ろうと思う






理由?






認める事になるからだ、吸血鬼を


だから封筒は開けない








最初は脅しのように聞こえた


ただ怖がらせて楽しんでるんだと思った


だって初対面でいきなりあんな事話しだすんだから



でもそれは違った



実際は心配してくれているんだ


何度も言うが彼女は吸血鬼の事を信じている、そして俺達を襲うと思ってる


でも俺は頑なに信じない、だからそこにすれ違いが起こり、



訳のわからない恐怖だけが残る





彼女の言葉は不気味な感じもするけど


とても真っ直ぐだ


有り得ない事でも、


まるで真実だと思わせるような







吸血鬼じゃなくてもっと現実味のある話だったら



例えば……







このホテルは三年前に殺人事件があった


その次の年、またその次の年も毎年同じ日にこのホテルでは殺人事件が起こっている


今日がその殺人事件の起きた日、


その犯人はまだ捕まっていない――








……うん、若干無理があるけど



こんな話ならまだ信じたかもしれない


でも彼女の話に出てくるのは『吸血鬼』だ


やっぱりどうしても信じる事はできない





でも少し心に留めておこう



彼女は本気で俺達に何か危険が迫っていると思っている


そして彼女は最後に言った



「もうすぐ夜、だね」と



つまりこれは警告、


夜は用心しろという事、



信じる信じないは別にして、これは彼女なりの気遣いなのは間違いない


その気持ちだけは



信じようと思ったから




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