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Blood type V  作者: ROM
8/19

三年前の事件



彼女の視線が俺を離さない、


ドクドクと心音が大きさを増す





気圧されてはダメだ、


汗ばむ拳を強く握りしめて、


もう一度、言う




「……根拠とは何ですか」




「そんなに、知りたい?」



彼女は目を細めて小さく笑う、


込み上げてくる恐怖心を呑み込んで、更に強く聞き返す



「だから、根拠って何?」





彼女は俺から視線を外して、そっと語り始めた





 このホテルね、昔は今みたいなリゾートホテルじゃなくて、ただ広いだけの普通のホテルだったの、それでね



実はこのホテル、一度潰れてるのよ



三年前に起きた、







――もうひとつの行方不明事件で







三年前の夏


修学旅行で訪れていた高校生約30人が突然消えてしまう事件があったの


ニュースにもなったから知ってる人も多いんじゃないかしら


担任の教師によると夜の点呼の時は全員揃ってたらしいけど、朝になるとA組の生徒だけいなくなっていたそうよ


警察がずっと捜査を続けているけど



まだ誰一人見つかっていないわ……










「……不思議よね、急にそんな大勢がいなくなってしまうなんて」



「………」



この話は俺も知ってる


確か当時ニュースで大騒ぎになった




でも、これって……



「吸血鬼と何の関係が?」


まさか吸血鬼が拐っていったなんて言うんじゃないよな、





いいそうだよな……この人は





「ほら、よく言うじゃない」


「……はい?」



「百聞は一見に如かず、よ」



そう言って彼女は一枚の封筒を差し出した




「何ですかコレ?」


「三年前の事件と吸血鬼を結ぶ鍵よ」





また、意味のわからない事を……





「……はは、そんな大袈裟な」


まぁ、とりあえず中を見……




「まだ見てはダメ!」


「!?」



……びっくりした、なんだよ急に



「まだ見てはダメよ、私がいいと思うまではね」


「え、どういう事ですか?」


「貴方が私の話を信じた時、見てもいいわよ」




何だよもう面倒くさいなぁ、別にいつ見てもいいだろ



「赤嶺君…」


ゾクッ


「……!」


「絶対に約束よ」






「……はい」




「では、そろそろお店の準備があるので、失礼します」




彼女はいつもの口調に戻ると髪を短く纏めて、エプロンに身を通した






「ねぇ、赤嶺君」






「ん……何?」



急に見せる真剣な表情









「……もうすぐ夜、だよ」




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