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Blood type V  作者: ROM
5/19

ポジティブ




さっきから彼女の言葉が離れない、






――吸血鬼はいるわ



――夜、貴方の前に現れる






「……」


そんな事、ある訳が無い


ある訳ないだろ



わかってるんだそんな事は、


だけど……







――きっといるわ此処に







彼女の確信に満ちた言葉、


それに底知れない恐怖を感じた、




俺は彼女の言葉に恐怖を覚えた、つまり心の何処かでは信じてしまっている




――吸血鬼の存在を






「ハァ……」


もうやめよう、せっかく旅行に来たのに、いつまでもブルーな気分を引きずってたら勿体無い、ポジティブにいこう




あれこれ考えている内に集合場所に着いていた、



みんなもう片付け始めている、俺だけ遅れて来たからしょうがないか、後でフードコーナーで適当に済ませよう


またブルーな気分に包まれそうだった時、それはピシャリと断ち切られた




「「「おぉーい」」」




いつもの聞き慣れた声


「お前ら……待っててくれたのか?」


高校でいつも一緒にいる特に仲の良い友人達がまだ待っていてくれた



「マジ遅いって、何してたんだよ」


「……ちょっと道に迷っててさ、先に食べててよかったのに」


「今日ぐらい皆で食べたいだろ?」


いつもマイペースな感じの奴等がまさかこんな遅くまで待っていてくれるなんて思わなかった……


「何ニヤニヤしてんだお前!」


「誰のせいでこんな待ってたと思ってんのよ!」


「皆ゴメンな、さぁ早く食べよう」









一気に元気が出てきた、こんなに笑ったのは久しぶりだ、こんなに楽しい時間を過ごせるだけで、来て良かったと思える



この友人達とも卒業したら会えなくなるのだろうか、


まだ俺達は高校二年生だし、こんな事考えるのは早すぎるのかもしれない、でも今この時を大切にしよう





――別れは、いつか訪れるのだから





「何て穏やかな顔してんだよお前」


「いや、何か幸せだなーと思って」


「もうそのニヤケ面やめてくんない?」


「きっとエッチな事でも考えてんのよ」


「そういえばこの前、コイツん家に行った時さぁ、ベッドの下から……」





























束の間の楽しい時間


俺達はずっと笑いあった


その笑顔が


すぐに消えてしまう事も知らず――

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