ホテル「サニーガーデン」
「いらっしゃいませようこそ、ご予約のお客様でしょうか?」
「あ、はい」
「どなたのお名前でご予約なされましたか?」
「赤嶺 太一で」
今は夏休み、俺はクラスのみんなとサマーキャンプに来ている
いや――キャンプとは言ったが、泊まるのはホテルだし、飯盒も焚火もしない、でも気分を味わう事はできる
このホテルは小さなコテージを内蔵した創りになっているらしく、中央にはバーベキューコーナー、プールに温泉、なんと芝のグラウンドまである、何より特徴的なのが内装だ
大空を描いた天井、流れる人工の川、広がる緑の景色、
まるで本当に自然の中にいるような感覚、とても屋内とは思えない、
「こちらがお部屋の鍵でございます、ごゆっくりどうぞ」
さて、とりあえず部屋に荷物を置きに行かないとな、
みんな、自分の部屋へと向かう
――コテージフロア――
目の前には立派なコテージが並んでいる、
コテージ風の部屋とかそんな感じだと思っていたけど、まさか本当にホテルの中にコテージが建ってるなんて……
有り得ない光景に目を奪われ、俺はしばらく立ち尽くしていた
青空の天井
自然の風景
そしてこのコテージ
どれも普通のホテルには無いものだし、必要ないものだろう、
だからこそ個性的で訪れた人を感動させるのだろう……多分
とてもリアルに再現された「外の世界」
きっと設計した人はかなりのロマンチストなんだろうなぁー
なんて考えてる内に待ち合わせの事をすっかり忘れていた
さっさと荷物を置いて待ち合わせ場所に行かないと、
……バーベキューコーナーだったけ?
手早くカバンから必要な物をポケットにねじ込み、駆け足で待ち合わせ場所に向かう
「ちょっとお待ちください」
コテージエリアから出た時、誰かに呼び止められる