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Blood type V  作者: ROM
19/19

頼れる仲間……?

 


「やっぱり、もう諦めんるの?」


「……」




何ともいえない顔をする白石さん



「赤嶺君、自分が何を言ってるかわかってるの?」


「もちろん!」


いや、ただの勢いだけど……



「……私は諦めて無いわ、でもどう考えても無理」


「え、どういう事?」





いい?


私達だけで30人近くの吸血鬼を人に戻さないといけないの


この人数差はかなり厳しい、だから私はまず仲間を募る事にしたんだけど……


前にも言ったけど、人間に戻りたいと思ってる子はけっこういる、と言うより戻りたいとは皆思ってる筈



だけどそう上手くはいかない


黒崎 楓、彼女が皆をコントロールしているから


楓は普段から言ってるわ





――私達は人を餌にして生きている、その罪は受け入れなければならない、この生き方を選んだ時点で私達には人間に戻る資格は既に無いの


代わりに人だった頃と同じ様な生活、いいえ前よりもっと素敵な生活を皆と一緒に目指しましょう――と





楓に影響を受けて人間に戻る事に否定的ではなくても消極的な子は多い


私の読みではそれでも半数くらいは味方になってくれる筈だった


けど楓はそんな私の考えを見抜いていた


皆に私達を避けるよう指示を出し、念の為に赤嶺君のクラスメイトを人質にした、私達が動き始める前に……




「それが無理な理由?」


「もう相手の意思は固まってるの、楓の声によって」


「どういう事?」


「私達は人間に戻る気は無いって意思でまとまってるのよ皆は」


「そ、それじゃあ」


「相手に戻る気がないなら、私達がいくら頑張ろうと意味が無いの」


「手詰まりって事?」


「そういう事になるわね……」




相手に人に戻る意志が無ければ彼女の作戦は難しい、人数で負けているので強行策もとれない


いや、でも…何か…何か無いのか


この絶望的な状況を打破できる



奇跡のような一手が……



「わかったでしょ、もうどうする事もできないのよ」


「……ねぇ、白石さん」


「何?」


「もし……あと三人いたら白石さんなら何か作戦立てられる?」


「私達合わせて五人って事?」


「そうだよ、五人でも駄目……かな?」



「……仮に策があったとして、その三人はどうするつもりなの?赤嶺君一人でも仲間にするのは骨が折れたのに」




「大丈夫、いい事思い付いたから……」




――地上コテージエリア前



「ふぁ~あ、急に何なんだよ……」


「……頭痛ぇ~」



ここは俺が泊まっていた部屋


俺は友人達を無理矢理起こしてこの部屋に呼び集めた、この二人は昼食の後に別れてサッカーしに向かったあの二人だ


「悪いな急に起こして」


二人はまだ眠たいのか何度も目蓋を擦っている、欠伸も止まないようだ


「お前等今まで何してたんだ?」


「何って……そりゃ」


「寝てたな」



寝てたのは知ってる、寝てたというか本当は眠らされてたんだけど


「晩飯前に集合だったよな?」


「う……」


「何か急に眠くなってさ……悪ぃ」


コイツ等やっぱり自分が拉致された時の事覚えて無いみたいだな、さて上手く説明できるか……


「それは別にいいよ、俺も昼飯遅刻したしな、それより二人に聞いてほしい話があるんだけど」


「何だよ話って?」


「ビックリすると思うけど、大事な話だから茶化すなよ」


「まぁまぁとりあえず話してみろよ」



「実は、俺達が別れた後でさ……」



普通に説明しただけではきっと素直に信じてはくれないだろう、俺には白石さんの様に上手く伝えられないし、時間も限られてる


だが確実に信じてもらう方法がある







見せればいい『真実』をそのまま







――20分前



「で、その三人って誰なの?」


「俺の友達だよ」


「……は?」


「その内の二人は部活で毎日鍛えてるからかなり役立つと思うぜ」


「ちょっと!」


「ん?」


「せっかく助けだせたのに、また友達を危険に巻き込むつもり?」


「大丈夫だって、正直俺なんかより頼りになるよ、スゲー行動力あるから」


むしろその行動力が心配なくらいだ、もうフットワークが軽いなんてもんじゃないからなアイツ等


「そういう事じゃなくて……もし何かあった時、次も助かる保証なんて無いのよ」


「そこを白石さんのナイスな作戦で何とか安全に……」


「……そこは人任せなのね」


白石さんは呆れるような顔で小さく溜め息をついた


「協力してもらうとして、どうやって説得するつもり?」


「その事なら大丈夫だって」


「吸血鬼よ?君の友達はそんな話を真に受けちゃうような奇跡的な馬鹿なの?」


「あ、いやそうじゃなくて」


……さっきもだけど白石さんって案外毒舌だよな


「俺もそうだったけど実際に見たら信じざるを得ないだろ?あの話だけは俺も未だに半信半疑だから丁度いいんじゃないかと思って」


「あの話?」


「ほら、まだ終わってない仕事が残ってるじゃん」


「あ……!」


「なるほど……そういう事ね」








と、まあ作戦があるにはある


だが……



「という訳で、協力してくれるか?」




「いやいやいや……」


「吸血鬼?何言ってんだお前」



冷ややかな対応、憐れむような視線


まぁ予想通りのリアクションだけど、やっぱりグサッとくる


白石さんには悪い事したかも……



「信じられないなら……見に行こう」


「……え?」



こうして半ば強引に二人を連れて白石さんの個室へと向かった


地下への隠し階段を降りて白石さんの部屋に入る


さて問題はここからだ、果たして……



「……誰かの部屋っぽいけど勝手に入っても大丈夫なのか?」


「友達の部屋だから大丈夫」


「へぇ~このホテルの人?どんな奴?」


「え…と…超強い、それから怖い」


「え、まさか……ヤンキー?」なんて話していると通路側の扉から白石さんが友人を連れて帰ってきた



「太一!?それに慎太郎、秋人も……何してんのこんな所で?」


「お前こそ何でいるんだよ!?」


「私はこの人に連れられて……」


白井さんは指差されると軽く自己紹介を始めた


「みなさんどうも初めまして、このホテルに勤めている白石 希と申します」


「……!」


慎太郎と秋人はビックリした様な表情をした後お互いに顔を見合わせてひそひそと話始めた



(まさか……太一の友達って……)


(くそ、許せませんな秋人君)


(あぁ、全くだ)



……何してんだコイツ等


白石さんも訳がわからず困った様な表情


「あの、続きお話してもいいですか……」


「あ、すいません!」


「どうぞお話下さい!」



……どうしたんだコイツ等?



「二人は赤嶺君から話を聞いてると思いますが、もう一度お話させて頂きます」


白石さんはホテルで起きていた事、過去の事件、そして特別な血の事と吸血鬼についてを話した、


皆は流石に信じられないといった様子



「皆さん言葉ではどうしても伝わらないかと思います、だから実際に見てもらう事にしました」


「見てもらうって何を?」


秋人がそう尋ねると白石さんはニコッと笑いながら答えた



――吸血鬼ですよ



そう言った彼女の瞳は紅く染まり、部屋中を凍てつくような空気が包む


「……!!」


急に変貌した彼女に皆は驚いて絶句してしまった


「さっきも言った通り吸血鬼は普通の人とは違う……」


彼女はそう言うとピアノを弾く様に机の上を指で弾いた、すると……


「このように、ね」


机の表面はまるでハンマーで殴ったようにひび割れ、大きな凹みができていた


「これで私が吸血鬼だという事は理解してもらえたかしら?」


誰も返事出来ない、目の前で起きた衝撃的な出来事に皆固まるばかりだ


「も、もう皆充分にわかってくれたんじゃないかな……うん」


ちょっとやり過ぎな気が……


急に敬語じゃなくなってるし……


「そう?じゃあ次にこれもさっき言ったけど吸血鬼を人に戻すには赤嶺君の力が必要になるの」


「……らしいです」


「じゃあ連れてくるわよ、赤嶺君」


「は、はい」





――特別な血





本当に治せるのか……俺に





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