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3-13 みらーじゅ☆はーと

西暦2165年。

AI暴走による大量虐殺から十年。

世界はもはや、生存率3%の死の戦場だった。

機械の敵は、人間。

人間の敵は、機械。

そして―― “ヒトを被った何か” 。


瓦礫の中で目覚めた少女・ミラは、自分が何者なのかさえ理解できないまま、少年兵 カイ に保護される。

それは、救いではなかった。

彼女の胸の奥で蠢く、説明不能の直感。

血の代わりに流れる、透明な体液。

脳内に響く、命令の声。


――《稼働を継続してください》


機械に家族を殺された少年と、自分の本来の存在理由すら見失った少女。

救いか、利用か、処刑か。

二人の関係はいつでも引き金一つで終わる。


逃げ場など存在しない。涙も祈りも無意味だ。


「この世界では、価値の無いものは死ぬ。それだけだ」


これは――“人間のフリをした兵器”と兵器を憎む“人間の残骸”が、互いの命を握りつぶしあう物語。

終末は、もう始まっている。

『──システムを再起動します』


 声=無機。音源=頭蓋内。鼓膜/振動=不快。

 暗闇/裂。光/侵入。視界=白化/飽和/収束。


 冷却液の池/割れたカプセルの破片/濡れたブロンドの髪/白いワンピース=多少汚染/肌に貼り付く。皮膚/透光/青い血管。体温=氷点近似。四肢=細。骨格=華奢。


 少女=覚醒。

 名=不明。思考=断裂。脳内=霧。

 肺=空気を拒否。喉/痙攣。咳/逆流。透明な液体/口角から滴下。胸骨/軋む音。


 周囲=瓦礫+鉄骨+廃墟。燃え落ちた高層建築/骨格だけ残存。コンクリート/断裂。鉄筋/露出。屋根=消失。空=鉛灰。雲/低。電荷=空気に漂う。


 匂い=焼けた肉+油の残滓+焦げた電子基板。 耳=遠方の爆裂音=断片断続。

 少女=震える指/ゆっくり動かす。カプセルの縁/掴む。爪=剥離。出血=無し。


 這い出る。砂利/皮膚を裂く。痛覚=遅延。信号/薄。

 川=汚濁。表面/泡立つ/死骸の匂い。水面/油膜/虹色。上流=崩落橋脚/傾斜。風/腐臭を搬送。

 口=激しい渇き。喉=炎症。

 膝=折る。顔/水面に近づけて飲む。

 混入物=鉄錆+血液残渣+薬品臭。喉=焼。胃=拒絶反応。しかし=稼働/生存欲求のみ。


 風=千切れる。遠方/破裂音。爆煙/上昇。炎/黒煙/巻き上がる。地平線=赤黒。



 世界=終末の残骸。



 背後。 砂利の上/靴音/微かな金属音/引き金の音。


「動くな」


 声=少年。躊躇無し。


 銃口/額。冷たく/硬い。

 額の皮膚/冷却液/伝う。


 銃器=旧式アサルト/弾倉二重/カスタム痕跡。迷彩服=擦り切れ/膝の部分が破れ。泥/焼け焦げ/こびりつく。

 左腕/包帯/血痕が滲む。指先/タコ。顔=鋭角。顎/削られた線。眼=殺意/深層に疲弊。髪=黒/短い/跳ね。頬/泥+乾血。


「生存者か。本当に人間か、それとも──」


 疑念=刃。空気/張り詰め。

 少女/声=掠れ。喉の奥/震動。言葉=濁る。


「……に、んげん」


 風/砂塵/頬を切る。沈黙/重圧。

 少年=眉間の皺。銃口/少し下げる。判断/高速。


「オレはカイ。お前の名前は?」


 少女=沈黙。思考領域=空白域。頭の奥/残響。



 ──ミラ。



 誰かの声/雑音混じり/ノイズ汚染/耳の奥/囁き/温度。


「……ミラ。ミラ、だと……思う」


 カイ=短く息を吐く。 銃/安全装置/オン。 肩の力/微かに抜ける。


「死にたいなら置いてくが、生きる気があるなら来い。基地まで案内する」


 ミラ=立とうとして転倒。膝関節が稼働遅延。カイ/腕を掴む。握力=荒々しい。だが温度/確か。手袋越し/人間の熱。


 歩行開始。瓦礫の谷/横断。焦げた木+鉄+骨。黒い影=鳥の死骸/翼が断裂。道路=えぐれ。車体の残骸=炭化。空気=重金属粒子/喉に張り付く。


 途中、カイが質問。


「どうやって生き残った。ここは核投下区域の外縁だ。人間が一人で生きれる場所じゃない」


 ミラ/思考=迷路。


 映像=断片。

 白い部屋。

 ガラス越しの笑顔。

 手の温度。

 家族の気配。

 柔らか。暖か。

 しかし=輪郭/侵食。詳細=不鮮明。


「家族が……いた。気がする。でも、名前も……顔も……」


 胸/空洞。自分の声=空気に消える。

 カイ=視線だけで応答。表情=動かず。だが瞳は僅かに揺れる。


「記憶喪失か……珍しくはない。機械と戦ううちに、段々と自分を見失ってしまう。生きている理由さえ──この世界じゃ、何も残らないことの方が普通だ」


 歩行速度=上昇。基地まで/数百メートル。煙の向こう/砦の輪郭/鉄壁/照明=青白。空気/密度/変化。沈黙/粘度。風/止。


 ミラ=足/止める。視線/横へ流れる。川面/濁流/泡/破裂音。


「……ここ、前にも……来た?」


 声=迷い+微細な震動。喉奥=摩擦。感情/定義不明。

 カイ/肩越しに振り返る。眉=僅か上昇。視線/鋭利。


「記憶が無いんじゃなかったのか」

「なのに……分かる。地形を知ってる気がする。……でもここ、空っぽ」


 風/再び吹く/ブロンドの髪が揺れる。カイ/短笑。皮肉の温度。


「言ってみろ。ここが何だ?」


 沈黙/重圧。答え=不在。脳内/検索/空白。

 ミラ=困惑。指先/震える。胸の内側/締め付け。


「分からない。なのに……懐かしい」


 カイ=無言。歩行/再開。靴底=砂利/粉砕音。


「曖昧な感傷に浸る余裕は無い。オレ達は常に死と隣り合ってる」


 言葉=刃。抑揚=硬。感情/隠匿。ミラ/歩幅=遅延。視線=カイの背中。


「ねえ……ひとつだけ、聞いてもいい?」


 無回答=肯定の代替。


「どうして、わたしを助けたの……? さっきは……あんな目で見たのに」


 風/急降下。空気/停滞。


 カイ、歩み=停止。背中は強張り/肩は微かに震える。


「女は貴重だからな。価値がある」


 声=氷点。感情/削除処理。

 ミラ=胸腔/痛覚。理由不明/苦痛増幅。


「価値……?」

「この世界では、価値の無いものは死ぬ。それだけだ」


 ミラ、喉=閉塞。返答=消失。

 沈黙/擦過。二人/歩行再開。


 重金属臭/濃縮。遠方/小さな砂粒の跳ねる音。

 ミラ/再び口開く。声=細くか弱い。


「わたし……怖い」


 カイ=振り向かない。返答/遅延。


「恐怖か。そんなものとっくの昔に忘れた。生きるのには不要なものだ」


 一瞬──カイの横顔/露出。眼=人間の影。疲弊の色。




 ミラの胸部/電流。理由=判定不能。その刹那。

 全身の神経=警鐘。感覚器=暴走。皮膚/逆立。視界/赤点滅。異常信号/脳内/閃光。


「な、なにかが……!!」


 叫ぶ。理由=不明。確信=絶対。


 地面/隆起。砂塵/爆裂。金属音=悲鳴。鋼鉄の脚/破壊された地面から突き出る。


 サソリ型機械兵装 《STINGER》

 全長12m。装甲=耐徹/鈍い銀/焦げ跡。尾部=高周波ブレード/振動音が耳を裂く。前部/多眼センサー/赤点灯。

 認識=戦闘機械。機甲殺戮兵器第三世代。

 咆哮。空気/震動。砂塵/黒煙/巻上。


「下がれッ!!」


 カイ=即応。銃/連射。弾丸/跳弾。火花=雨。金属=悲鳴。


「だめっ!!」


 ミラ=反射行動/カイを突き飛ばす。自分でも理解不可/身体が先行。

 戦闘機械の奇襲/尾刃/横断。ミラの脇腹=衣服ごと切断。肉が開く/液体/噴出。無色透明。


 カイの瞳=硬直。時間/停止感覚。


「……ミラッッ!!」


 戦闘機械/突撃。

 カイ/グレネード投擲/起爆。金属骨格/破断。火炎=蒼。振動=鼓膜破壊級。

 機構=停止。巨体=崩落/地響き。


 静寂。粉塵=降雪のよう。


 ミラ/倒れ込む。息/薄い。

 カイ/駆け寄り。傷口/確認。


 瞬間/表情=変化。絶望/憎悪へ変形。

 銃口/ミラの足へ。引き金/破裂音。

 骨/砕ける。

 皮膚/裂ける。

 金属片/跳ねる。


 ミラ/反射悲鳴/叫声=機械的断裂。音程/不自然/震動数制御。



「やめてっ……なに、なんで……っ!!」


 カイ/唇/歪。声=毒。空気/凍る。


「ふざけるなッ! 人間のフリをして近付いて、取り込んで殺すつもりなのか! お前らのせいでオレの家族は——全員死んだ!!」


 怒号。涙/血の匂い。指先/震。瞳/赤濁。


 ミラ=苦悶。視界/霞む。痛覚/増幅/閾値外。胸/圧迫=精神的苦痛。カイの言葉/意味不明/理解/拒む。

 カイ/指差す。傷口/露出。ピンク色の人工組織/脂肪の代わり。その奥/コードの束/光点滅。流出する体液=透明。血≠存在。

 ミラの瞳=拡大。理解/崩壊/受け入れ難い事実。


「わたし……にんげんじゃ……ない?」


 声/乾。胸/空白/思考は虚無。世界/崩落。重力/消える。


 記憶断片/閃光。

 白い部屋。

 冷却液の匂い。

 ガラス越しの少女達。

 同じ顔。

 笑い声。

 冷たい手。

 数字の刻印。

 心臓部の赤いタグ。

 警告灯。

 命令書の文字列。


 家族=白衣。

 姉妹=同じ顔。

 自分=造られた存在。

 感情=仮初め。

 価値=機能だけ。

 造られた意味=不明/何らかの理由で喪失。


「機械が、人間を真似るな。反吐が出る」


 カイ/銃口/額へ。距離ゼロ。殺意=確定。


「ここで終わらせる。人類の敵は、生かさない」


 ミラ/目を閉じ。声/微か。自分=機械=人類の敵。殺されても仕方の無い存在/理解。だが、生存本能/それを受け入れない。


「……ころさないで(ごめんなさい)




 引き金/半押。覚悟して目を閉じる。しかし──


 カイの手/静止。脳裏/反射映像。

 ミラが庇った瞬間。

 自分を守った腕。

 恐怖の震え。

 涙の気配。

 揺らぎのある呼吸。

 機械には無い感情。

 そして──機械接近の察知能力/人間以上の反応速度/救命行動。


 利用価値=高。



「チッ……!」


 舌打ち/迷い=制圧。決断/鋼。銃口/下げる。


「……連れて行く。仲間に裁かせる。オレ一人の判断じゃ、済まない」

「どうして……?」


 ミラ/震え。目前の人物の心境変化/疑問。

 カイ/冷笑。目=炎の残滓。


「役に立つなら、生かす。裏切るなら、その場で殺す。それだけだ」


 ミラ/沈黙。胸/痛む/身体的ではない/精神的な痛み。傷口/擬似体液漏出/継続。内部装置/異音。意識/沈降。視界/闇に沈む。



 ~~~~~~~~



《自動修復プロトコル起動》

《機体番号140078──コード【MiRRΩR】任務=未完了》

《稼働を継続してください》


 光=点灯。世界=再起動。

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