エピローグ 星の見る夢
本日2話目です。
私という個の存在をこの星に捧げてから、幾千の季節が巡った。
かつて人形と呼ばれたもの。今はこの星そのもの。
星の律動と一つになった今、私は全ての記憶を知る。
アウロラの最も深い記録に触れ、私はもう一つの人類の物語を知った。
それは、死の星から飛び立ち、深遠なる宇宙の果てで故郷を想い続けた者たちの物語。
彼らが祈りと科学のすべてを結集させ、故郷へ送り返した一隻の船、一人の使者、《アウロラ》の物語。
そして、私がこれまで見てきた、母なる星の揺りかごで絶望の淵から立ち上がった者たちの物語。
アウロラが届けた「知」の鍵は、シンたちが紡いだ「心」の物語と出会い、この星で再び一つになったのだ。
私は見る。
かつて砂漠だった場所に湖が広がり、その畔に新しい街が生まれるのを。
その街は星の律動と共に生きている。
私は見る。
白髪の老人となったシンが子供たちに物語を語り聞かせているのを。
それは、アウロラの神話ではない。彼が、彼ら自身の手で勝ち取った、偉大な希望の歴史の物語だ。
彼の隣にはリラがいて、ケン、ザイン、そしてガンナーの屈強な姿が、その平和を見守っている。
彼らはまだ、物語のすべてを知らない。それでいい。
彼らは自らの足で、自分たちの新たな歴史を紡いでいくのだから。
私は覚えている。
この星の風の中に彼の父アキトの優しさを。
この星の光の中に彼の祖母エタの祈りを。
そしてこの星の土の中に、道を違えた英雄ゾルグの鎮魂歌を。
だから私はただ見守る。
この美しく青い星と共に。
私はここで夢を見る。
私に「心」を教えてくれた、愛しい人たちの、永遠に続く、夜明けの夢を。
完
最後までお読みいただきありがとうございました。




