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アルファの記憶 Memories of Alpha  作者: 空想シリーズ
第4部 夜明け
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最終話 最初の日の出

ティアが星とひとつになってから数週間が過ぎた。アンダーランドには穏やかで力強い変化が訪れていた。KMSのメインタワーから絶えず放たれるティアの生命エネルギー。それが地下都市の空気を浄化し人々の疲弊した心をゆっくりと癒やしていった。


シンは指導者として二つの共同体の完全な融和に全力を注いだ。

ゾルグ派だった者たちももはや彼を憎んでいない。

彼らはシンの中に自らのリーダー、ゾルグが最後に託した「仁義」の魂を見ていた。

人類はようやく真に一つになったのだ。


そしてついにその日が来た。人類がこの地下の揺りかごを卒業する。そして再び自らの故郷へと帰還するその日が。アンダーランドの最上層ゲートが完全に開け放たれる。

その先に続くのは地表へと繋がる長い長い坂道。

シンはその先頭に立った。

彼の隣にはリラとケンがいる。

その後ろをザインとガンナーが固め、そしてアンダーランドの全ての住民たちが静かに続いていく。

誰も喋らない。

ただこれから始まる新しい世界への期待。そして何世代にもわたって自分たちを育んでくれたこの地下世界への感謝。それらを胸に一歩また一歩と光を目指して歩いていく。


やがて彼らは地表へとたどり着いた。

そこに広がっていたのは彼らが旅してきた死の世界ではなかった。


空はどこまでも青く澄み渡っている。

大地は若草の匂いに満ちている。

遠くには再生した森の深い緑が見えた。そして彼らの足元にはキラキラと輝く小さな小川が流れていた。

星は完全に息を吹き返したのだ。


「……うそ……」


一人の子供がおそるおそるその柔らかな土に触れた。


「……あったかい……」


その一言が合図だった。

人々は泣き笑いそして抱き合った。

数百年ぶりにその肌に受ける本物の太陽の光と風の温もり。

それこそが彼らが取り戻した最大の宝物だった。


シンはその光景を静かに見つめていた。

彼の脳裏にこれまでの旅が蘇る。

父アキトの技術者としての魂。

祖母エタの指導者としての意思。

そして星となった少女ティアの慈愛の心。

この「夜明け」は多くの尊い犠牲の上にあった。

そのことを彼は決して忘れない。


やがて東の空がゆっくりとその色を変え始めた。

闇が藍色にそして茜色に染まっていく。

シンは人々の先頭に立ち小さな丘を登った。

そして仲間たちと共にその瞬間を待った。


次の瞬間。

地平線の向こうから圧倒的な生命の輝きが放たれた。

最初の日の出。


その黄金色の光が大地を照らす。そしてそこに立つ全ての人々の顔を希望の色に染め上げていく。

人々はそのあまりにも神々しい光景にただ涙を流しながら見入っていた。

それは人類が自らの罪を乗り越え、そして再びこの星の一員として迎え入れられた祝福の光だった。


シンは昇る太陽をまっすぐに見つめた。

新しい一日が始まる。

新しい人類の歴史が始まる。


シンは隣に立つリラとケンに微笑みかけた。

そしてその先に広がるどこまでも続く緑の大地を見つめ力強く言った。


「さあ行こう。俺たちの本当の歴史を始めに」


その一歩から「アルファの夜明け」が始まった。

エピローグは本日12時を予定しています。

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