表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルファの記憶 Memories of Alpha  作者: 空想シリーズ
第2部:沈黙の時代
38/87

第21話:決裂と旅立ち

ゾルグはエタとシンの最後の警告にも耳を貸さなかった。彼の言葉は届かず、怒りと不信に満ちたゾルグ派の支持者たちは、シンたちを資源採掘区画から追い出そうと押し寄せた。


「行け!ここはお前たちの場所ではない!」


ゾルグは叫んだ。彼の指示を受けた数名のゾルグ派の男たちが、シンたちに詰め寄る。


ザイン隊長とケンは、ゾルグ派の攻撃を受け止めるべくすぐさま前に出た。彼らは決してゾルグ派に危害を加えることはせず、あくまで彼らを押しとどめ、シンたちの退避経路を確保することに徹した。しかし、ゾルグ派の人数は多く衝突は避けられなかった 。


「ゾルグ!このままでは皆が滅びるぞ!」


シンは、退避しながらも叫んだ。彼の声はもはや届かない。ゾルグの目はKMSへの憎悪と自らの「自由」への固執で曇り切っていた。


エタは深い悲しみを込めてゾルグ派を見つめた。彼女はこれ以上説得が不可能であることを悟っていた。共同体はついに完全に分裂してしまったのだ 。


シン、リラ、エタ、ザイン、ケンたちは、ゾルグ派の抵抗をかわしながら隠された研究室へと急いで戻った。彼らの背後からはゾルグ派の怒号が響いていた。


研究室に戻るとアキトが地表探査車両のプロトタイプの最終調整を終えていた。車両は、シンたちが開発した高エネルギー生成装置を動力源とし、新型防護服の素材で覆われている。


「シン!間に合ったぞ!いつでも出発できる!」


アキトは額の汗を拭いながら言った。彼の顔には疲労と同時に、息子たちの計画を支えられたことへの満足感が浮かんでいた 。


エタは研究室に集まったメンバーたちを見回した。彼らはアウロラのKMSの真の遺志を理解し、人類の未来を信じる者たちだった。この少数精鋭のグループがアンダーランドの最後の希望なのだ。


「皆、聞いてくれ」エタの声は、静かだが力強かった。


「ゾルグは私たちと共に地表へと向かうことを拒否した。共同体は今、二つに分かれた。しかし、私たちはアウロラが示した『進化』の道を諦めるわけにはいかない」


彼女は研究室のKMSのホログラフィックディスプレイに、地表の地図と彼らが目指す最初の目標地点を投影した。それはKMSのデータが示唆する放射能レベルが比較的低いと予測される旧文明の遺跡らしき場所だった 。


「私たちは地表へと向かう。この地表探査車両と新型防護服、そしてアウロラが残したKMSの知識を携えて、生き残りの道を探すんだ」


シンは言った。彼の言葉には悲壮感はなくただ未来への強い決意が満ちていた。


リラは地表環境への最終調整をKMSに行わせた。車両のシステムは完璧に作動し探査への準備は整った。


エタは旅立つシンに近づき、そっと肩に手を置いた。「シン。アンダーランドのことは心配しないで、あなたは地表のことに専念しなさい。希望の未来をつかみなさい。」


シンは、エタの言葉に深く頷いた。彼の瞳には未知の地表への不安と同時に人類の未来を切り拓くという強い使命感が宿っていた。


地表探査車両は重厚な音を立てて起動した。KMSが回復した今、アンダーランドに残された希望の光だった。彼らはゾルグ派の反発と、地下都市の崩壊の足音を背に未知なる地表へと旅立つ。


それは、アンダーランドの歴史における、一つの時代の終焉であり、同時に、人類が自らの手で未来を掴むための、新たな旅立ちの始まりだった。

第2部が完になります。

第3部も続けて投稿予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ