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アルファの記憶 Memories of Alpha  作者: 空想シリーズ
第2部:沈黙の時代
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第19話:最後の反対者

KMSの回復と、エタそしてシンたちの尽力により、アンダーランドには一時的な平穏が訪れた。共同体は再び機能し始め、人々は差し迫った危機を免れたことに安堵していた。長老カザンもまた、アウロラの真の意図を理解し、地表への挑戦という新たな道を受け入れた。しかし、その中にあって、依然として彼らの計画に強く反発する者がいた。それは、ゾルグだった。


議事堂ではKMSの機能を回復させたシンたちが地表への具体的な探査計画と、改良された新型防護服、高エネルギー生成装置の実演を行っていた。KMSのホログラフィックディスプレイには地表の最新の環境データと、生存可能性のある領域の予測、そしてそこへ到達するためのルートが鮮明に映し出されていた。


「私たちは、アウロラのKMSの全機能を活用し、地表の環境をさらに深く解析しました。放射能レベルの変動パターンを正確に予測し、地表での活動時間を最大化できる『ウィンドウ』を特定することが可能です」


シンは自信に満ちた声で説明した。


「この新型防護服は、その期間中であれば地表の放射能から私たちを確実に保護します。高エネルギー生成装置は、地表での長期的な探査活動を可能にする、新たな動力源となります」


カザンはシンたちの説明に深く頷き感銘を受けた様子だった。


「シン、リラ。お前たちは本当にアウロラ様の真の意志を示してくれた。この計画に共同体は全面的に協力しよう」


しかし、その言葉を遮るように議事堂の隅からゾルグの声が響いた。


「愚か者どもめ!」


ゾルグは数名の忠実な支持者を従え、険しい表情で立ち上がった。彼の目はKMSの光が示す未来ではなく閉鎖された地下世界での支配を見据えていた。彼はKMSの回復とシンたちの成功を苦々しく思っていた。


「KMSが回復したからといって、すべてが解決したわけではない!地表は死の惑星だ!わずかな時間しか活動できないような場所に、なぜ私たちの未来を賭けなければならないのだ!?」


ゾルグは声を荒げ「これは、KMSの幻想にすぎない!アウロラは、所詮私たちを見捨てたのだ!この地下で、自らの手で生き抜くべきだ!」


彼の言葉は再び住民たちの間に不安を呼び起こした。長引く混乱の中で地表への恐怖とKMSへの不信が根強く残っていたからだ。ゾルグはこの心理を巧みに利用し、自身の支持者たちに食料や水の備蓄を私物化し、独自の共同体として分離するよう唆していた。


「KMSの指示なしに自分たちの力で生きることを選ぶ!アウロラの呪縛から完全に解放されるのだ!」ゾルグは、挑発的に言った。


「誰が死の地表に命を賭けて行こうというのだ?私たちは、ここ、地下で生き残る!」


ザイン隊長はゾルグの扇動を止めるべく前に出ようとした。しかし、エタが静かに彼を制した。エタはゾルグの目にも彼が抱える深い不信感と恐怖が潜んでいることを理解していた。


「ゾルグ。あなたもかつては共同体のために力を尽くした者。その誇りをどこに忘れてしまったのですか?」


エタは諭すように言った。


「アウロラは私たちに自由を与えました。しかし、それは無秩序な自由ではない。知恵と協力に基づいた真の自立です」


ゾルグはエタの言葉に鼻で笑った。


「お題目などもうたくさんだ!私はこの共同体から分離する。私の支持者たちと共に、アウロラも、KMSも、そして長老たちの指図もない、真の自由な共同体を築き上げる!」


ゾルグはそう言い放つと議事堂を後にした。彼の言葉は共同体に新たなそして決定的な亀裂を生み出した。アンダーランドは、地表への挑戦という壮大な目標を前に、ゾルグとの避けられない対立に直面することになった。

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