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アルファの記憶 Memories of Alpha  作者: 空想シリーズ
第2部:沈黙の時代
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第18話:新たな課題、新たな使命

KMSのメインコアが完全に覚醒したことでアンダーランドは再び生命を取り戻した。電力は安定し、空気循環システムは正常に稼働、食料と水の供給も再開された。医務室の医療機器も機能を取り戻し、病に苦しむ人々の治療が本格化した。地下都市全体に安堵の空気が広がり、人々の顔には数日前の絶望とは打って変わってかすかな希望の光が宿っていた。


しかし、シンはこの安堵が一時的なものであることを理解していた。KMSの回復は彼らの「地表再適応計画」を本格的に始動させるためのあくまで準備段階に過ぎない。彼らはメインコアが覚醒したことで得られたアウロラの最新のデータとより詳細な「遺言」の解析に没頭した。


「アウロラのデータは地表環境の予測が私たちが考えていたよりもはるかに複雑であることを示しているわ」


リラがKMSのホログラフィックディスプレイに投影された地表の気象パターンと放射能レベルの変動予測図を見ながら言った。


「放射能レベルの低下期間はこれまで予測していたよりも短く不安定よ。そして、地表にはまだ遭遇していない未知の脅威が存在する可能性も示唆している」


シンはKMSのデータに表示された、かすかな生命の痕跡に目を凝らした。人類以外の放射能汚染された地表で生き残った未知の生物の可能性を示唆していた 。


「地表への再適応は以前の予測よりもはるかに困難になるだろう。しかし、アウロラは私たちにそのための『知識』と『道具』を与えてくれた」


シンは研究室で開発された新型防護服と高エネルギー生成装置、地表探査車両の設計図を改めて確認した 。


エタはシンの隣でKMSのメインコアの輝きを見つめていた。


「アウロラは私たちに答えを直接与えなかった。それは、私たちが自ら考え自らの手で未来を掴むことを望んだからだ」


彼女の言葉には深い理解と覚悟が込められていた。


「この共同体は今、新たな使命を帯びている。この地下世界に閉じこもるのではなく、地表へと戻り、人類の新たな歴史を創造することだ」


長老カザンはKMSの回復に心から安堵していた。彼はシンとエタに深々と頭を下げ自身の過去の頑なな態度を謝罪した。


「シン、エタ長老。私の不明を許してくれ。アウロラ様は私たちに真の『試練』を与えてくださったのだ。これからは、あなた方の導きに従おう」


カザンの変化は共同体の団結に向けた大きな一歩だった 。


一方でゾルグとその支持者たちは、KMSの回復によって勢いを失っていた。しかし、彼らが完全に沈黙したわけではなかった。彼らは未だに地表への挑戦に懐疑的であり、地下での自給自足を主張し続けていた。ゾルグはこの危機を利用して権力を得ようとしたがKMSの回復と人々の希望によってその目論見は阻まれた。だが、彼の不満と不信は共同体の奥底に燻り続けていた 。


秩序維持隊長のザインとケンは秩序維持隊の再編と訓練を急いでいた。彼らは地表探査に向けた新たな任務に備え隊員たちの士気を高めていた。シンの父、アキトもまた、高エネルギー生成装置のさらなる改良と、探査に必要な装備の開発に全力を尽くしていた。彼の妻も夫と息子が無事であることそして共同体に希望が戻ったことに安堵していた 。


シンはKMSのメインコアから、地表の環境データと過去の地質情報、そしてアウロラが不時着したアルファ星の生態系に関する膨大な知識を引き出していた。彼らは地表への適応という壮大な目標に向けて、具体的に何をすべきか、そのロードマップを描き始めていた。


それは単なるサバイバルではない。アウロラが示した「進化」とは、放射能に汚染された地表に再び人類の文明を築き上げること。アルファの未知の生態系と共存し新たな生命の形を模索することだった。


アンダーランドの住民たちはKMSの回復によって一時的な平穏を取り戻した。しかし、彼らは知っていた。これは新たな始まりに過ぎない。真の試練はこれからだ。シンと彼の仲間たちは、アウロラの「遺言」を胸に、未知の地表へと挑むための新たな使命を帯びていた。

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