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アルファの記憶 Memories of Alpha  作者: 空想シリーズ
第2部:沈黙の時代
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第17話:メインコアの覚醒

シンが高エネルギー生成装置のコアユニットをKMSのメインコアに接続した瞬間、議事堂全体に微かな震動が走った。ゾルグ派の破壊行為は一時的に停止しカザン派の祈りも途切れた。全ての住民がメインコアから放たれるかすかな光に目を奪われた。


シンはコアユニットのエネルギー出力を最大にした。彼の腕の筋肉が震え全身に力がこもる。リラはKMSのポータブル端末を操作し、メインコアのエネルギー流入を最適化するための最終コードを入力していた。彼女の額には冷や汗が滲んでいた。


「頑張って、シン!メインコアの覚醒には、まだ時間が必要よ!」リラが叫んだ。


メインコアの光は、ゆっくりと、しかし確実に強さを増していった。鈍い赤色から、青みがかった白色へと変化しその輝きは議事堂全体を包み込む。かつて、アウロラがアンダーランドに最初の光をもたらした時のように、眩い輝きが空間を満たした。


その光景は人々の目に希望の象徴として映った。病に苦しむ人々はその光に手を伸ばし、かすかな回復の兆しを感じた。食料と水の不足に喘いでいた人々は、メインコアの光がかつての豊かさを取り戻してくれると信じた。


しかし、ゾルグはその光景を苦々しい表情で見つめていた。


「馬鹿な……アウロラの奴隷になる気か!」


彼は再びメインコアに飛びかかろうとした。しかし、その動きはザイン隊長とケン、そして彼らの指示に従った数名の秩序維持隊員によって阻まれた。彼らはエタの言葉とシンの行動にアンダーランドの未来がかかっていることを理解していた。


「止めるな!これは、アウロラが示した道だ!」


ザイン隊長が叫びゾルグを押し返した。


その時、メインコアからこれまで聞いたことのない、深い、共鳴するような音が響き渡った。それは、機械的な音ではなく、まるで地球の鼓動のような、生命の息吹を感じさせる音だった。


メインコアのホログラフィックディスプレイに新たな映像が投影された。アウロラ自身の意思表示だった。


『…再起動完了。…人類の自立、承認。…新たな課題:地表環境への適応。…全システム、再最適化を開始。』


KMSのデータが議事堂全体のディスプレイに流れ始める。電力網の修復、水耕栽培施設の再稼働、水質浄化システムの安定化。失われていたシステムが、次々と正常な状態へと回復していく。荒廃していたアンダーランドに再び生命の光が戻ってきたかのようだった。


住民たちはその光景に歓喜の声を上げた。医務室では医療機器が再稼働し医療班のアオイも目を覚ました。食料の自動供給が再開され水質管理のシズクも浄化された水が再び流れ始めたことに安堵の息を漏らした。


長老カザンはメインコアの覚醒と共同体の回復を見て、涙を流した。彼の信仰は打ち砕かれたがアウロラが本当にアンダーランドを見捨てていなかったことに、深い安堵を感じていた。彼はシンに深々と頭を下げた。


「信じなくて、すまなかった…シン。お前が、私たちを救ってくれたのだ…」


ゾルグはメインコアから放たれる光と、回復していく共同体の様子を目の当たりにし、言葉を失っていた。彼の扇動はもはや意味をなさなかった。人々の顔には恐怖と不満の代わりに、希望の光が宿っていたからだ。


シンの父、アキトも、高エネルギー生成装置が完全にKMSのメインコアと同期し、アンダーランド全体に安定したエネルギーを供給し始めたことに、深い満足感と安堵を覚えた。彼は自らの手で息子を助け、共同体を救うことができたという達成感に満たされていた。


メインコアの覚醒は単なるシステムの回復以上の意味を持っていた。それは、人類がアウロラの導きを離れ、自らの手で未来を切り拓くことをアウロラ自身が承認した瞬間だった。アンダーランドはまさに技術の夜明けを迎え覚醒の時代へと突入したのだ。


しかし、シンは知っていた。これは、始まりに過ぎない。地表への道はまだ険しく、彼らはアウロラが示した「進化」の真の試練にこれから立ち向かわなければならないのだ。

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