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境界の娘 ~人ならざるものと生きていくのも楽じゃないけど、それなりに楽しくやっています~  作者: 狐のボタン


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妖力使い



あのまま子狐丸は起きず、私も寝てしまい…。

朝起きたら子狐丸が小さい姿で丸まって寝てた。久しぶりにこの姿を見たけど、どうしたんだろう?

体調悪いとかじゃないよね?


不安になり、揺すったら普通に起きた。

「子狐丸、大丈夫?」

「うん?なにが?」

「だって…小さくなってるし」

「ああ。この姿なら自制できるってわかったから」

「うん?」 

「起きた時に昨日の破壊力が凄かった瑠璃を思い出しちゃって…寝てるところを手出しちゃいそうになって…」

「それで耐える為にちっちゃくなったの?」 

「うん」 

なんていうか、いじらしいなぁもう。可愛いから許す!


「夜までは我慢しようね。もしかしたらなにか仕事があるかもだし」

「わかった。 また昨日のしてくれる…?」

「あ、あれは…気分が乗らなきゃ無理!」

昨日は子狐丸からのサプライズが嬉しすぎて、テンションおかしかったんだと思うし…。


今も左手にはしっかりと指輪が光る。

見てるとニヤけてしまいそうになるから気をつけなきゃ。



「子狐丸は予定ないの? 一応三日の休みは終わったけど…」 

「うん、特には。自主的に肉とか取りに行ってるだけだから、無理する必要もないし」

そうなんだ。今は銀の石もストックがあるから、のんびりしててもいいよね。



天気もいいし、布団を干したり、洗濯物も済ませ、家の掃除も念入りに。

数日サボってたし…。こちらはあまりホコリとかもたまらないんだけどなんでだろう。これも時間の流れがおかしいせい?


おやつに昨日焼いた試作のアップルパイを食べたり、少し家の周りを散歩したりと今日も休日みたい。

…よく考えたら境界が開いてなければ私はそんなに仕事なかったわね。

まるっと一週間くらい忙しかったから忘れてた…。


「瑠璃、そろそろ妖力の使い方覚える?」 

庭でのんびりしたいたら、突然そんなことを言う子狐丸。

「戦闘用なのよね?」

「基本はね。ほら、えいってやつもそうだし」

「あれね…。他にも何かあるの?」

「瑠璃なら何でもできると思っていいよ」

「なんでもって…ビームだしたい! とかでも?」

「できるね」

「爆発だー」

「できるよ」

「嵐よきたれー」

「それもできる」

「私は天災か何かですか!?」

「もちろん制限はあるよ。規模の大きなものになればなるほど妖力の消費は大きくなる」

「まぁ道理よね。大きな力には大きな代償。 でも私はできるなら平和的な使い方したい…」

「畑の作物の成長促進とかは?」

「便利そうだけど、緊急時でもなければ理を捻じ曲げるようなのはやっちゃいけない気がする。特に口に入れるようなものは…」

「それくらい強く願えば何でも出来ちゃうから、妖力の使い方を覚えないとだめなんだよ。 ほら…影も生んでしまったでしょ?」

「望んだわけでもないし、むしろ想いとは逆に作用したけどね、あれは…」

「そうならないために、だよ」

誰のせいよ?と言いたかったけど、もう怒ってもいないし。蒸し返すものでもないと思い、言葉を飲みこむ。



子狐丸が言うには、私が妖力というもので何でもできてしまう反面、心の影響を受けやすく、制御していないと影を生んだときみたいに無意識で力を使ってしまいかねないと。

実際に発現させてしまった以上、対策したほうがいいって言われたらね…。言い返せない。


「妖力が瑠璃の中にあるのわかる?」

え…今はわかんない…。だって何日かしてないし。

「全身で力を感じない?」

ん…?妖力って子狐丸のあれじゃないの?口には出せないけど、それしか知らないよ私。


「瑠璃、これ持ってみて」

子狐丸が拾ってきて手渡されたのは、私の腕くらいの太さがある木の角材。あまり長さはないから自宅改装工事の時に出た端材だろうか?

「それを折れるよう念じてみて」

「う、うん…」

角材を握り、中程から折れろ! と。 

バキッとすごい音がして、折れるというか…もう砕けるように一本だった角材が二本になった。

「今、力を感じたでしょ?」

「なんとなく…おでこから枝に何か流れたような感覚はしたよ」

「それが妖力だよ。目には見えないけど瑠璃の体に貯まってる。使えば減っていくけど、その時は…」

「う、うん。 この妖力をどうしたら?」

「任意で使う時と使わない時を制御できないと危ないんだよ」

思ったとおりに出来てしまうならそうでしょうね。


しばらく子狐丸から妖力の扱いについて学び、何度も暴発させたせいで、地面に穴が空いたり、目の前の川の水が竜巻みたいに荒ぶったりと大変な目に合い…妖力が激減。

結果、ものすごい脱力感で立ってるのも辛い。これ、あれだ…妖力が馴染んでなかったと言われていた頃の感覚によく似てる。

「今日はこれくらいにしようか。かなり上達してるし、瑠璃は飲み込み早いよ」

最後の方は妖力を使うかどうかをしっかり制御できるようになって来てた実感はある。

結局は気の持ちようなんだけど、冷静じゃない時にもできるか?と言われたら怪しい。これはもう練習を重ねるしかないと思う。


一度妖力で身体が満たされた状態に慣れると、妖力が減った状態っていうのは疲労困憊に近い状態になるそうで、妖力の補給をするためには…一つしか方法がない。

「瑠璃が辛いなら無理しなくていいからね?」

「ありがとう。でも、これを何とかするには仕方ないでしょ? 加減だけしてくれればいいから」

「わかった…」


その日の子狐丸は信じられないくらい優しくて…。

ずっと私を気遣ってくれてる、その気持ちが本当に嬉しかった。

だからなのかな…。私からもなにかしてあげたいって思って。

奈子さんに教えてもらっただけの知識だったけど、頑張ってみた。

子狐丸はもの凄くびっくりしてたけど、喜んでくれて…。

咽たりしてかなりキツかったけど、なんとかなるものね…。ただ…頻繁にこれは無理かな。








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