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境界の娘 ~人ならざるものと生きていくのも楽じゃないけど、それなりに楽しくやっています~  作者: 狐のボタン


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渡されたもの



船旅は順調に進み、ニャンダーの港へ入って船を仕舞った後はカピバラックへワープ。

ここまで来たらイリエル神の干渉もなかったから楽なもの。

船内ではワープできなかったシノ姉も、このタイミングで一度カカオに行って現状確認をしてきてた。

街にはまだ魔の国の兵士もいるし、城にはポモナがいるからな。余程大丈夫だろう。

なによりイリエル神がうちらに試練を課してて行けないのだから、ある程度くらい見ててくれないと困る。



「こちらです!」

リシェルは実際に通っていたこともあって、学校の場所を把握してるから案内してもらう。

うちらはカピバラックで宿エリアとダンジョンくらいしか行き来してないからな。

住宅街にまで入る理由もなかったし…。



想像していたよりかなり大きな街らしく、中心地に近いエリアまで移動するのにかなり時間がかかった。

そこまで来てようやくカピバラックの領主だか王だかのいる建物が見えた。明らかに他の建物より豪華だからな。

とは言っても城というよりは巨大な屋敷って感じか。


前に来たときに滞在したカピバラックのエリアは見知った温泉街っていう雰囲気だけど、来てなかった街の中心に近いエリアは高級ホテルみたいなのが立ち並んでる。


「カピバラックは王政ですよ」

「そうなのか」

ユリノにカピバラックについて多少の知識を教えてもらっていたら、学校エリアに到着したらしい。

塀に囲まれていて中は見えないけど…。

「少しお待ちください。中へ入れるよう手続きしてまいります」

ま。ここはリシェルに任せるしかないか。

待ちきれないアイナが塀を飛び越えて侵入しようとするから、それを止めてる間にドラゴン三人がいない…?


「小さくなって飛んでいっちゃいました」

「ミミ! 見てたなら止めろよ!」

「あっという間で…」

ったく、あいつら…。抜け駆けしやがって。


「主殿…! 今行くぞ!」

「シャロンも待て!!」

「しかし…!」

「トラブル起こしたら会えるものも会えないから!」

本当、どいつもこいつも!


「あらあら〜…みんなせっかちねぇ〜」

シノ姉だけだよ、安心してみてられるのは。って…気をつけないとこの姉も迷子になるんだった。

「私も見てますから」

「頼むぞユリノ」

落ち着いてるのはユリノだけかよ。

「いえ、アリスもです」

確かに。イライラはしてるみたいだけど、押し通ろうとしないだけマシか。



「お待たせしました! 許可が取れましたから行きましょう」

リシェルは正式な手続きを踏んで通行許可を取ってくれたらしい。

「どうやって許可もらったんだ?」

「私はあの子の姉ですから。家族に会いに来たと言えば問題なんないんです」

なるほどな…。うちらはこっちでは姉と名乗ったところで証明もできないから…。

一応、魔の国に所属はしているし、魔王であるお母さんの養子扱いにはなっているけど、あくまでも書類上のモノでしかない。


レイアと実の姉妹じゃなくなったから恋愛とかに関して言うなら根本的な障害がなくなったといえば嬉しいのだけど、世間的にはまるで他人になってしまったようなのが寂しく感じる。

なんだろうな、この複雑な気持ちは…。


前は姉として一番近くにいられる反面、世間的には許されないのがもどかしくて…。いっそ近所のお姉さんくらいの立ち位置のが良かったのに。なんて思った事もある。

なのに、実際そうなったら寂しく感じるんだから勝手なものだ。うちはやっぱり零くんの姉でいたいんだろうか…。

それがたとえ結ばれない関係だったとしても…。だからといって零くんが他の女のものになるのは耐えられない。

「本当にそうですか?」

「どういう意味だよ、ユリノ」

「いえ…。その割にアリスやアイナがレイアにべったりでも怒らないじゃないですか」

「ああ…」

内心面白くないのは当然なんだけど、うーん…。



「こちらに滞在しているという話なのですが…」

リシェルの案内で到着したのは大きな洋風の屋敷。

「ここが寮なのか?」

「ええ。おそらく魔の国の者が詰めている筈なので話を通してきます」

ここも任せるか。


「アリサはここにはいないわ。そうよね?アイナ姉様」

「うん、いない…。あっちの屋敷にいる…」

アイナが指差すのは少し離れた所に建っている屋敷。あっちもでかいな…。


アリスとアイナはうちらの静止も聞かずに行ってしまうから、どうしようか悩んでうちはリシェルを待つからと、みんなはそっちに向かわせた。

「いいのです?」

「ユリノも行ってこい。シノ姉達のこと任せるからな」

「わかりました」

どーせドラゴンたちもいるだろうし。


暫く一人で待っていたらリシェルが戻ってきた。

「みなさんは…?」

「レイアの居場所をわかるやつがいるからな。もう行ったよ」

「先にいってくださいよ…。あの子、まだ帰ってないらしくてどうしようかと思いましたのに」

ため息をつくリシェルと二人、アリス達の向かった屋敷へ歩く。


「…どうして待っていてくれたのです?」

「ここへ入るにもリシェルがいなきゃ無理だっただろ」

「そうですが…。意外でした」

「何がだよ?」

「いえ…ユナさんなら真っ先に行きそうでしたから」

前のうちならそうだろうな…。

最近は自分で自分がわかんねーんだよ。


不思議そうにうちの顔を覗き込むリシェル。

「行くぞ。あいつらほっとくと何するかわかんねーから」

「え、ええ…」






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