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境界の娘 ~人ならざるものと生きていくのも楽じゃないけど、それなりに楽しくやっています~  作者: 狐のボタン


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039



「子狐丸、私は出かけてくるからね?タイマーの確認だけだからすぐに戻るけど…って聞いてる!?」

「………」

だめだこの子、早くなんとかしないと。


急いでタイマーの確認をして、帰り道に奈子さんのお宅へ。

ちょうど外にいたから声をかける。

「奈子さん、朝はありがとうございました」

「ええよ。だいぶ顔色もようなったね」

「ほぼ一日休んでましたから…」

「また何やあったん?」

「実は…」

子狐丸に禁欲をお願いしたら廃人みたいになってしまったと説明。


「瑠璃ちゃんの話を聞いとるから、気持ちもわからんでもないしなんとも言い辛いけど、うちも妖怪やからな。基本は子狐丸寄りの意見になるで?」

「理解しています」

「瑠璃ちゃんのとった手段な、それ完全に悪手や」

「そうなんですか!?」

「今までは知らんまま我慢しとったやろ? せやけど一度知った後に我慢させられたら、どうなるかわからん?」

「わからなくはないですが…」

「後から大きな反動となったもんに耐える方が結果的に瑠璃ちゃんはきついんちゃうかな…。子狐丸は完全に瑠璃ちゃんに溺れてるんやからな」

「あの子狐丸が私にそこまで溺れてると?」

「せや。アレはもう相当や」

嬉しい反面怖くもある。耐えられるか?という方面で…。


「でも、そうなったら月一の時はどうしたら?さすがに無理です」

「その心配はないんよ。本能的にその期間は落ち着くから」

「なんですかそのご都合設定は!」

「考えてみ?その間子供は出来へんやろ?」

「当たり前です!」

「理由はそれや。行為そのものを好むのは間違いあらへんけど、根本にあるんは子孫を残すいう本能やから。もしどーしてもその期間も我慢できひん言うようなら、それはそれで色々やりよーはあるやろ?」

ジェスチャーで教えていただかなくて大丈夫です!!

恥ずかしくて出来るわけないし!!


結局奈子さんに相談してもなんの解決にもならず、むしろ更なる不安要素を抱える結果になり。

挙げ句、帰宅したら倒れてる子狐丸。 って子狐丸!?どうしたのよ!!

「大丈夫!?子狐丸!!」

慌てて駆け寄り、抱き起こした顔は真っ青でこの世の終わりみたいな表情。


「瑠璃…もう無理」

「体調悪いの? お医者様呼ぶ?」

街にはちゃんとお医者様がいるからね。すっごいスタイルのいい人だから、子狐丸がお世話になるのはちょっと不安だけど、そうも言ってられないくらい顔色が悪いもの。

「瑠璃に我慢するよう言われて、耐えようとしたけど…」

そっちかい!!

でもここまでなるなんて…。奈子さんの言ってたことは本当だったんだ。

私が人の感覚で妖怪の子狐丸を抑えようとしたから…。


「ごめんなさい…子狐丸。そんなに辛い?」

「辛い…」

「どうしたい?」

「瑠璃としたい」

片言になるほどって…。普段しっかりしてる子狐丸だけに、ここまで変わってしまうと不安になる。


これは私が甘やかすわけじゃない。仕方のない事。

「いいよ。もう好きにしていいから。我慢しろって言わないから」

「…いいの?」

「うん」

大好きな相手がこんな姿になってて、それでも突き放せる人がいたら見てみたい。


子狐丸や奈子さんの言うように、妖力?っていうのが馴染めば耐えられるのならそれまでの我慢だ。

今まで子狐丸にずっと我慢させてきたんだからこれくらい…。


…………

………

……


翌朝。

「うん…無理。ご飯も食べてる暇ないとか、いくら何でもおかしい」

昨日なんてお昼ごはんを食べたっきりだよ? 

あれ…? でも身体は楽、かも。昨日まであっただるさとかはないし、どちらかと言ったら調子いいくらい。

お腹はすっごく空いてるからなにか食べたいけど、まずはお風呂…。


シャワーを浴びていても頭はスッキリとしているし、心なしか皮膚も何時もよりスベスベしてる気がする。

洗面所の鏡で顔を確認してびっくりしたのは、瞳がパッと見てわかるくらいに青い。これが祖母が見た瑠璃色…?しかも髪がかなり伸びてる。切る前程ではないにしろ昨日より明らかに長い。

肌もいつも以上に張りと潤いがあるし、伸びた髪も櫛を通すまでもなくツヤツヤサラサラ。

「なによこれ…」 


朝食を作るにも思っている以上に身体がスムーズに動く。

野菜を刻む包丁捌きがまるでプロみたいに早いし、何なのこの地味なパワーアップは…。

まあ調子いい分には問題ないか。


「子狐丸、起きて。朝ごはんだよ」

「んぅ…瑠璃…」

「朝からサカるな!」

押したおそうとしたであろう子狐丸をあっさりと止められたのは流石に驚いた。

「瑠璃!?」

「…子狐丸、ちょっと本気で押し倒してみて」

「押し倒せたらそのまま続きだからね!」

「いいよ。やってみて」

今までなら力では絶対に勝てなかった。それがどう?

むしろ返り討ちにして私が子狐丸を押し倒せてる!


「どうしたの瑠璃!?」

「なんかパワーアップしたかも…」

「嘘でしょ!? 物理的に僕が瑠璃に負けるとか!」

必死に巻き返そうとする子狐丸が私に抑えられて動けないとか…。

ふふっ…これちょっと、いや、かなり優越感!


「昨日も随分と好き勝手してくれたわね?」

「いいって言ったよ!」

確かに言ったけど! 何でもかんでも許してるわけではないんだよ?


「もう私もやられっぱなしじゃないからね。 ほら朝ごはんできたから食べよう?」

「続きしてくれないの?」

「私が勝ったでしょ!」

「瑠璃が好きにしてくれてもいいのに」

「バ、バカなこと言ってないで布団片付けて、ちゃぶ台出しといて!」

まったく。私が上でとか…。

悪くないかも…。私が主導権握れるなら無茶苦茶されずに済むし。うん、夜になら試してみよう。



食後、迎えに来てくれた奈子さんと仕事に行き、お昼休憩中に今朝のことを話した。

「そんなに強なったん?」

「子狐丸に力で勝ちました」

「にわかには信じられへんな…。よっしゃ、ならうちと腕相撲しよう」

「いいですよ」

奈子さんが幼い姿のままでも力があるのは見知っている。

でも今なら…!


結果はあっという間に惨敗。


「なんや、弱っちぃままやん。危うく騙されるとこやったわ」

「あれー? 朝は本当に子狐丸に勝ったんですよ?」

「寝ぼけとったか、子狐丸が加減してたんとちゃうん?」

「目は覚めてました! 加減されてた…ですか」

それはないとも言い切れない。私にされたいみたいな事を子狐丸は言ってたし…。その為の策略!?なんて恐ろしい子っ!


「なんにせよ元気になったようで安心したわ」

「色々とご迷惑おかけしました…」

「気にせんでええよ。瑠璃ちゃんはうちの妹みたいに思っとるし」

「ありがとうございます」

お姉さんか…。リアル姉は私を汚らわしい物とでも言いたそうに扱う人だったから…。奈子さんが本当の姉だったらどんなに良かったか。



仕事を終え、日課のタイマーを確認後、帰宅したら仁王立ちで待ち構えてる子狐丸。

「瑠璃、もう一回勝負!」

「せめてお風呂と夕ご飯食べてからにしよう?」

今は確実に負けるだろうし、そうなったらもうお風呂も食事もさせてもらえないだろうから。


夕食をたべながら朝の事を再確認。

「子狐丸が加減してたんじゃないの?」

「本気だった…。だからかなりショックで、山に行って狩りまくって鍛えてきた」

じゃああれは夢?そんなわけ無いよね、子狐丸も同じ夢を見てたとかあり得ない。


お風呂も済ませ、戦う気満々な子狐丸。

「ねぇ、今は本当に非力だから加減してね?奈子さんにも普通に負けたんだから」

「試してみればわかる」

これが本当の布団の上でプロレスごっこ…言うてる場合か!


結果は言うまでも無く。

あっさり組敷かれて、好き放題されましたとも。

私に勝てたのが余程嬉しかったのか、一度終わる度に力比べからさせられるという意味のわからない状態だったのだけど、何回目かわかんないタイミングで完全に私が優位にたった。

「なぁに?子狐丸…加減してくれたの?」

「ちがっ!」

「女の私に押さえつけられてなっさけなーい」

「くっ! なんで急に!」

「わかんないけど、勝ったら好きにしていいんだよね? 散々私にそうしたんだから…」

「瑠璃…?」

「あはっ…」

「目が蒼く光っててこわいよ!」

失礼な…。これはお仕置きが必要ね!



…………

………

……



ふと我に返り、やらかした! と後悔。

完全に立場が逆転した嬉しさでめちゃくちゃしてしまった私はもう子狐丸を責められない…。

「瑠璃様…もっと…」

そして変なスイッチのはいってしまった子狐丸はどうしよう!?






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