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境界の娘 ~人ならざるものと生きていくのも楽じゃないけど、それなりに楽しくやっています~  作者: 狐のボタン


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34/40

初めてのクリスマスらしいクリスマス

本編と時系列が異なりますが、番外編という事でご了承ください。



高校生になって初めての冬。

12月に入ると一気に街中がクリスマスに彩られていく。

ましてや今日は二十四日。クリスマスイブですからね。世間が盛り上がるのは無理もない。

学校も昨日から冬休みに入ったから、バイト頑張らないと…。


今までなら私には無縁のイベントだと無視してたけど、今年は違う。

だって大切な友達と、子狐丸がいるもの。

「瑠璃?どうしたのソワソワしてるけど」

「なんでもないよ。バイトに遅れるといけないから急ぐよ子狐丸!」

「う、うん!」


バイト先のカフェも外観にはイルミネーションが飾られ、店内にはクリスマスツリー。

飾り付けも手伝ったんだけど、結構楽しかったっけ。

去年までは実家で私一人、部屋で寂しく過ごしていたから…。

両親や姉はどこかのホテルだかを貸し切って沢山の人を招いてパーティしてたはず。

もちろん私のそばには毛玉状態だった子狐丸はいてくれたけど、会話なんてしてなかったわけだし。



「遅くなりました!」

「まだ時間はあるから大丈夫だよ。クリスマスなのに悪いね」

「いえいえ! ボーナスもあるのなら頑張ります!」

すぐにカフェのオープン時間だから急いで準備しなくちゃ。

更衣室で着替えようと思ってたら、カウンターにいたオーナーに呼び止められた。

「あ、そうだ瑠璃ちゃん。今日、明日は制服も変わるからそっちに着替えてもらえるかい?」

「…いやらしいのなら拒否しますよ!」

「多分大丈夫だと思うが…」

なんでオーナーが曖昧な返事なんですか…。


更衣室に行くと、話にあった制服が用意されていた。

普段は薄茶色に白のエプロンドレスだけど…。

「これ、サンタコス?」

鏡の前で身体に合わせてみたけど、普段のカフェの制服よりスカートは短いけど学校の制服と変わらないくらいか。

上もオフショルで結構露出はあるけど、ケープを羽織るのなら隠れるし…。許容範囲かな。

「子狐丸、どう思う?」

「大丈夫だよ。瑠璃は何を着てても可愛いから」

そういう事を聞きたいんじゃないの! 嬉しいけど…。

ケープを羽織らなかったら結構露出とかあるから”他の人に見せるな“って言ってくれるのかな?とか思ったのに…。

子狐丸がいいならいいけどね…。


着替えて鏡で確認。

思った以上に胸元が強調されてるなこれ…。オーナー、嘘つきましたね!

ケープを羽織れば隠れるとはいえ、下着の肩紐とかは外しておかなくてはいけないから、万が一にもズレたら大変なことになる。

「おい、瑠璃! 早く接客に入れ!」

「雪乃さん、これ…」

「可愛いじゃねぇか! オレのセンスも悪くないだろ?」

この衣装選んだの雪乃さんですか…。危うくオーナーを責めるところでしたよ。


雪乃さんには逆らえません…仕方ない。派手に動かなければ大丈夫でしょう。

ふぅーと深呼吸を一つ。


気持ちを切り替え、店舗へ接客に出ると結構なお客さんの数。オープン直後なのに!?

「オーナー、お待たせしました!」

「接客頼めるかい? 限定メニューの用意をしなくてはいけないから」

「お任せください!」

…というか、せめて一言くらい衣装に触れてくれてもいいのでは?自分で言うのもアレですが、結構似合ってると思うのですが! 

まあオーナーは私を子供としか見てませんからね。期待するだけ無駄でしょう。

それより今は接客に集中しなくては。


今日、明日だけはクリスマス限定メニューも店でだしてるし、テイクアウトにケーキや焼き菓子なども販売してるから、それを目当てにお客さんが沢山来てくれてる。

やっぱり人気なのはケーキ。クリスマスだもんね…。


雪乃さんとオーナーが結構な数を用意してたけど、数量限定だからか一時間もたたずに売り切れてしまった。

限定に弱いのはお約束なのかも。


限定ケーキ目当てに来てくれたお客さんに売り切れてしまったお詫びをしながら、普段からあるケーキと焼き菓子ならまだ残っていると勧めて、そちらも順調に売れていく。


店内の限定メニューも人気で、そちらはふわふわクリームののったカフェラテや、ラテアートが人気。

後は雪乃さんが厨房で作ってるプレートメニュー。

色々と乗った豪華なもので、お値段も結構な金額なのに、注文は絶えないくらいに人気。

私はとてもじゃないけど頼めないなぁ。一食に数千円とか贅沢がすぎる…。

でも…たまには贅沢して食べてみたいなぁと思えるくらいには豪華なのよね。

一応少しずつ味見はしてて、お客さんに聞かれても対応できるようにはしてるけど…お腹いっぱい食べたかった。



11時からオープンして、お昼過ぎには限定ではない普通のケーキも焼き菓子も完売。

外の看板にテイクアウトメニューの売切れの張り紙をしていたら声をかけられた。

「もう売切れ!?」

「だからオープンと同時に行こうってあたしは言ったんだ」

この声…。


「麻衣、優子! 来てくれたの?」

「クリスマス限定メニューを食べたくて来たんだけど遅かったみたい…」

「ケーキと焼き菓子は売り切れだけど、店内でならまだ限定メニュー出せるよ?」

「ほんと!?よかったぁ」

「…瑠璃、サンタコス似合ってるな」

「ありがと、優子」

この子は本当に! その辺の男どもよりよっぽどイケメンムーブをかますのよね。女子からモテるのも納得。

本人にはそっちの気はないらしいけど、サラッとこういうことを言うからなぁ…。


二人を店内に案内して、注文を受ける。

「限定メニューを2つ。あと私はふわふわラテを食後に」

「あたしはラテアートを見てみたい」

「かしこまりました。お待ちください」

オーナーに注文を伝えるとニヤニヤしててイラッとします。

「なんですか…?いやらしい事考えてるならひっぱたきますよ!」

「理不尽が過ぎるだろ! 瑠璃ちゃんが友人と接している姿は初めて見たからな。微笑ましかっただけなのに」

「傍から見たらJKを見てにやけているおじさんですからね?」

「辛辣すぎるだろ! 友達割にしといてやるから許してくれ…」

「そういうことでしたらまぁ…」

高校生にはお高いはずですし、ありがとうございます!


「瑠璃、外から覗いてるやつがいる」

肩に乗ってる子狐丸にそう言われて窓の方を見ると、見知った顔が…。

あれってクラスの男子?なんでここに…。

いや、学校からも近いからおかしくはないんだけど、覗かれてるのはちょっと…。


そう思っていたのが伝わったかのように、外に出ていった優子が問答無用の飛び蹴り。

数人いた男子は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

頼もしすぎる…。

「追っ払って良かったなら僕でもできたのに…」

「まぁまぁ…。子狐丸は近くにいて?」

「…わかった」

子狐丸は、もしお客さんだったら…と気を使ってくれたんだよね。



「瑠璃ちゃん、テーブルに配膳してくれ」

「は、はい!」

他のお客さんもいるんだからぼーっとしてたらいけない!


あちこち配膳して、やっと優子達のテーブルの番。

「お待たせしました。クリスマス限定メニューになります」

「すごいなこれは…」

「うんうん! ところでお嬢さん?」

「はい?」

どうしたのよ麻衣は…

「バイト、何時に終わるのかな?よかったら一緒にクリスマス過ごさない?」

「おい、麻衣! お前はどうしてそういう誘い方をするんだ。ナンパみたいだぞ」

「いいじゃない。私達の仲なんだし!」

麻衣って好きだよね、こうやって演技するの。

「ナンパならお受けできませんが…。今日は17時には上がれますよ」

「じゃあ待ってるね!」

「ナンパは断られたの気がついてるか?」

「優子は細かいなぁ。時間教えてくれたって事はオッケーって意味なの!」

本当に楽しい友人だよ。


「食後にお飲み物をお持ちしますね。ごゆっくりどうぞ」

「ありがとな」

今日、バイトの終わりが早いのには理由がある。

雪乃さんがオーナーと過ごしたいからっていうすっごい私情にまみれた理由だけど。

でもおかげで私も友人と過ごせるのだから文句もないけどね。


しばらく談笑しながら食事をしていた二人。

食後の飲み物も配膳して、一時間ほどのんびりしていた二人はおやつ時の混雑の迷惑にならないようにと、しばらく街をぶらついてくるとカフェを出ていった。

私の上がる時間に迎えに来てくれるそう。




…数時間後…


17時少し前にお客の途切れたタイミングでオーナーは店を閉めた。

これからは雪乃さんと二人の時間らしい。早く着替えて店を出ないといけませんね。

「また明日も忙しくなるからよろしくな」

「はいっ! お疲れ様でした」

「ツレが待ってるんだろ?早く行ってやれ」

「はーい」

雪乃さんは早くオーナーと二人っきりになりたいんですよね。お邪魔はしませんから。


カフェを出ると、優子と麻衣が待っててくれて…。

「お疲れ。少し早いけど、もういいのか?」

「うん! 待たせてごめんね」

「気にしなくていいよ。 ほら、行こ!」

麻衣に手を繋がれてびっくりする。

「行くってどこへ?」

「え?デートだけど」

「おい、麻衣! ったく…。 クリスマスだしな、一緒に賑やかなところに行こうって話てたんだ」

「そっか。 でも二人はいいの…?その…彼氏とか…」

「私は誰かみたいにモテないし! そんな相手いないって」

「あたしもだな」

二人とも無自覚ですか。優子は女子にモテモテだし、麻衣は…おさな可愛いのにグラマーだから一部男子から人気があるのだけど、まぁそんな体目当てみたいな奴らに大切な友人は渡しませんけどね!


二人と、肩に乗った子狐丸も一緒に街の賑やかな方へ。

「あっちもこっちもイルミネーションだね」

「クリスマスだしな。それも明日までだろ」

「まぁね〜。クリスマス終わった瞬間、お正月な雰囲気になるのすごいよね」

「あれな…。毎年頭がついていかん。よくみんなパっと切り替えられるよな」

私にはどちらも無縁なイベントだったからなぁ。あまり話についていけないや。


でも…今年はこうやって友人二人に誘ってもらえて、子狐丸もいて…。

初めて幸せなクリスマスかも。



こうして友達と話しながら歩いてるだけで私は楽しい。

それでふっと思いついたことがあって…。

キョロキョロと辺りを見渡して見つけたお店。

「ごめん、二人とも。少し寄りたいところがあるんだけどいいかな?」

「遠慮せずに行けばいい」

「だよー。どこどこ?」

私が見つけたのはオシャレな雑貨屋。

二人にプレゼントを渡したい。当然子狐丸にも…。


何を渡そうか…。今までこういう事をした経験が無いから本当にわかんない。

「はぁ…」

「なーにため息ついてんの?せっかくのクリスマスなのに」

わからない事で悩んでても仕方ないか。いっそ本人達に聞いたほうがいいや。

「あのね、大好きな友達にプレゼントを渡したいんだけど、何をあげたらいいかわからなくて…」

「なるほど…?その友達ってどんな子?」

えー…。ニヤニヤしてる麻衣は絶対に分かってて言ってる。


そういう事ならこっちだって!

「えっとね。いつも明るくてとっても可愛い子と、運動神経抜群で素敵な女の子なんだけどね」

「お、おう…。そうだなぁ…運動神経のいい子はああ見えて可愛いものが好きだから…こういうのとかいいと思うよ」

麻衣が選んでくれたのは可愛らしいぬいぐるみのキーホルダー。

「ありがとう」

じゃあこれにしよう。他にも可愛いものを私自身で選んで…。


「因みに明るいやつはこのアニメに出てくるこいつが推しキャラだぞ」

優子が見せてくれたスマホの画面には確かにカッコ可愛い男の子キャラが。でもちょっと幼くないかな?

まぁ、深く突っ込むのはやめよう。好きなものは人それぞれだものね。何より大切な友達の好きなものを否定なんてしたくない。


雑貨屋内で探したら目当てのキャラクターはすぐに見つかった。かなり人気のあるアニメらしく、色々とグッズが展開されていて、知らない世界を垣間見た気分。

「色々ありすぎてどうしたらいいの…」

「ま、普通はその反応だよな。最近はこういうのがいいらしいぞ」

優子が指差すのは透明な板にキャラクターが印刷されているだけのもので…。

「これなに?」

「アクリルフィギュアっていうらしい」

ああ、これアクリル板なのね。良くわからないけど…。麻衣が好きならいいよね。

今度、どうやって使うものなのか聞いてみよう。


最後に子狐丸へ。

すごく悩んだのだけど、あの子の長い金髪を纏められるようにと男の子がつけてても違和感のなさそうな髪留めとリボンを選んだ。


お会計をしてキレイにラッピングしてもらい、商品を受け取る。

店を出たら、そろそろ夕食を一緒に食べようと誘われて…。

幼い頃以来の外食かもしれない。

カフェのバイトのおかげである程度余裕があるようになったとはいえ、普段は自炊してるし。


「瑠璃はなにか食べたいものないか?」

「なんでもいいの…?」

「もちろん! 私達は好き嫌いとかもないからね〜」

「えっと…じゃあファミレスっていうところに行ってみたい」

「そんなんでいいのか?」

「学生って友達と行くんでしょ?」

「…行くか」

「行こ行こ! ちょうど近くにあるし!」

二人はやっぱり知ってるよね…。私は家族とも行ったことはないし、中学の時も行けなかった。

単に私が手持ちにお金がないってのもあったけど、前提として学校側から帰りに飲食店に寄り道なんて許されてなかったから…。品格が〜とか煩かったんだよね。


繁華街のエリアにある明るいお店。

窓から見える店内には家族連れやカップル、後は私達みたいな学生らしい子たちの姿も見える。

「本当にここでいいのか?」

「うん。ダメだった…?」

「…いや。瑠璃がいいならいい」

「上目遣いの瑠璃ちゃんの破壊力! さすがの優子も負けたかー。ほら、照れてないで行くよー」

「照れてない!」

「はいはい」

そんなつもり無かったのに…。二人と憧れのファミレスに入れるって思ったのに、優子がイヤなのかな?って不安になっただけで…。


時間的に少し混んでるみたいで、麻衣が紙に何か書いた後、入り口近くのソファに座った。

「麻衣、さっき何してたの?」

「え?」

「ほら、なにか書いてたけど…」

「順番待ちに名前書いてたんだよ。新しい店だと端末で処理しちゃうんだけどね」

「そ、そうなんだ…」

わからないことばっかりだわ。私の知ってる店の対応って、入店したら顔パスで席に案内されるってものだけだから…。

あれから十年とかたってるから色々変わったのね。


しばらく三人で雑談していたら、麻衣の名前を呼ばれてボックス席に案内された。

麻衣が向かいに座り、私の隣には優子。

すごい…。他のお客さんとの席と席が近い! そして何より賑やか。

煩いとかは思わなくてむしろワクワクしてしまう。

「先ずはドリンクバーだな。麻衣、端末とってくれ」

「はいよー」

テーブルに置いてあった、学校で支給されてるような端末で何するの?

「瑠璃もドリンクバーいるよな?」

「えっと、それなに…?」

「ガチか…」

「決まった値段で好きなドリンクをおかわり自由なんだよ」

「欲しい!」

「じゃあ三つな。食べ物はどうする?」

優子は端末を見せてくれて、その画面には沢山の料理の写真が…。

「ここから選べばいいの?」

「ああ。ステーキとかならセットにすればライスやスープ、サラダもつくし、ドリンクバーも安くなる」

この写真の物が順にコースで届くわけじゃないんだ…。


「私はパスタにする。カルボナーラ!」

「はいよ。 じゃーあたしはステーキセットだな」

二人は素早く決めてしまい、端末を操作していく。えっと…えっと…

「焦らなくていいよ。ゆっくり見ていいから」

「ありがとう…」

やっぱりパッと見て惹かれたこれにしよう。


「瑠璃、それは子供限定だ」

「えっ…」

「ここ見てみ」

優子に言われて小さな文字で書かれた注釈を読む。”小学生低学年までのお子様限定メニューです“って…。

ひどい…。こんなに可愛いのに。

「あははっ。似たようなのが揃ってるこっちのセットにしたら?」

「うん、じゃあそれで…」

麻衣が選んでくれたのはエビフライにハンバーグ、オムライスのセットメニュー。でもお皿が可愛くない…。仕方ないか。私は子供じゃないし。

ちっこい姿の子狐丸なら頼めたのかな。なんてね。


「あたしが待ってるからまずは二人で行ってこい」

「ありがと優子。瑠璃ちゃん行こ!」

「えっ…?どこに?」

「ドリンクバーだよ! 好きな飲み物を自分で取りに行くの」

何それ面白い! でも…

「優子は?」

「鞄とかもあるからな。交代で行くものだから気にしないでいってこい」

「う、うん。でも…」

「んーじゃあ、あたしのはコーラを持ってきてくれないか」

「わかった!」


ドリンクバーってどんなのだろう。ワクワクして麻衣についていったのに、置いてあったのは四角い機械だけ…。

「はい、コップ」

「ありがとう?」

「見ててね?」

そう言った麻衣が機械の下にコップを置いて、オレンジの絵柄の書かれたラベルのボタンを押す。

すると下においたコップにオレンジジュースが注がれる…と。何コレすごい…。

「飲みたいもののボタンを押すだけだから簡単でしょ?」

「うん!」

便利な機械ね…。オーナーもカフェに置いたらいいのに。


優子のコーラと、自分用にはカフェでもメニューに出してるメロンソーダを選んだ。

「ここにストローとかもあるからね」

「うん。ねぇ…こっちの機械はなに?」

「あーそっちはホットドリンク。コーヒーとかココアとかね」

「はいー? え…温かいのが出てくるの!?」

「うん。そこで瑠璃ちゃんがびっくりするとは思わなかったけどね」

バイト先でもコーヒーやココアは出してるけど…こんな機械なんてない!

オーナーも絶対にこれ使うべきだよ!

麻衣は”淹れてみる?“といってコーヒーを淹れて見せてくれた。

便利すぎませんかこれ…。オーナーに教えてあげなくては。


席に戻って優子にコーラを渡して、コーヒーが簡単に出てきたのを熱く語ったんだけど…。

「普通だろ…」って冷めた返事。

カフェにも置けばいいのに…って言ったら、オーナーには絶対に言ったらだめだと二人にキツく言われた。便利そうなのになぁ。


そんな会話をしていたら食事が届き、私の前には凄い量のセットが…。

これは食べきれないかも。

「食べきれる気がしないから二人も手伝って」

「残したらいいじゃん。無理してもダメだよ」

「勿体ないよ! お願い…」

「あたしは時々瑠璃がわからん。世間知らずなお嬢様なのかと思ったら、突然こんな感じだし…まあ食べ物を粗末にするのは良くないけどな」

「それは確かに。じゃあ少しもらうね?」

「うん!」

二人にも手伝ってもらい、何とか完食。

途中でドリンクバーに飲み物を何度も取りに行った。なんか楽しくて…。しかもどれだけ飲んでも値段変わらないんだもの。尽きないドリンク…すごい。



料理のお皿を下げてもらった後、コーヒーを淹れてきてのんびり。

「そうだ! 二人にプレゼント渡さなきゃ」

さっき購入した物をそれぞれ手渡した。

「あたしからもだ」

「私もー」

二人からも貰ってしまい、嬉しくて…。

「お、おい! どうした?」

「嬉しくて…。こんなに温かいクリスマスは初めてだから…」

「瑠璃…」

「また来年もこうして過ごそう?ね!」

「うん…うん…」



帰り道は危ないからと二人が送ってくれると聞かなくて。

私だって二人が心配なのに…。

「間違いなく瑠璃のが危ない」

「だねー。私達は家が近いからさ。二人で帰るから大丈夫!」

「…わかった。じゃあカフェまでお願い。そこからはすぐ近くだから」

二人はそれでようやく納得してくれて、カフェまで送ってもらった。


カフェで二人と別れてからは肩にいる子狐丸と話しながら帰る…。

「ファミレスって凄いね…。今日は初めての体験ばかりだったよ」

「僕は瑠璃を見てて心配になったよ…」

「なんでよ」

「世間知らず過ぎて」

「うっ…」

仕方ないじゃない。触れてこなかったのだから…。

本にだってドリンクバーなんて載ってなかったもの!

「なんでそんな意地悪言うの…?」

「…クリスマスなのに」

ああ…。

この子、ヤキモチ焼いてる?可愛いなぁ…。


「子狐丸。メリークリスマス」

「…メリークリスマス、瑠璃」

「大きくなってくれる?」

「いいけど…」

肩から飛び降りると同時に、見上げるほどの美形スタイルに。相変わらず綺麗な顔立ちしてるんだから。

「はい…これ」

「それって…」

「見てたから知ってるでしょ!」

「僕のだったんだ」

「受け取りなさいよ…」

「ありがと瑠璃。帰ったら瑠璃がつけてくれる?」

「…帰ったらね」


家までの短い距離。

そっと掴んだのは子狐丸の指。今の私にはこれが限界。恥ずかしすぎるもの…。

驚いてこちらを見た子狐丸の顔はずっと忘れないと思う。

その二人の間をハラハラ舞うように雪が…。子狐丸と二人空を見上げ、それからまた顔を見合わせ笑い合う。

いつまでもこの人の隣で、まま手を繋いでいたいな…。


「リア充爆発しろ…」

「リア充許すまじ…」

背後からゾクッとする気配と寒気。

「えっ!?」

「逃げるよ瑠璃!」

振り返るより先に子狐丸にふわっと抱きあげられて空へ。

見下ろすと恨めしそうな男女が何人も…。

「何よあれ…」

「クリスマスの怨念…かな?」

なんで後ろにおんねん…。

怖っ…。でも…去年までの私のままならあっち側にいたのかも。

















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