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境界の娘 ~人ならざるものと生きていくのも楽じゃないけど、それなりに楽しくやっています~  作者: 狐のボタン


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初仕事を終えて、奈子さんと帰宅。

数時間くらいの外出だったのに、自宅の改装はもう終わってて、あとは私が確認するだけになってた。

さすがプロの大工さん。


「瑠璃、初仕事はどうだった?」

「うん、多分お役に立てたと思う…」

「何かあった?」

「後で話すよ」

「わかった」

倉庫の中にあったものについては子狐丸にくらい伝えておいた方がいいだろうから。


家の中からお風呂へ続く廊下の扉を開ける。

明り取りの窓もあるから、昼間なら照明もいらないくらいに明るい。しっかりペンダントライトもついてるから夜も安心な親切設計。

突き当りの扉がお風呂だろうから、先ずは廊下の途中の左側にある扉を開けて中へ。

こちらには洗面台とまさかのドラム式洗濯機まで置いてある。これは本当に助かる…昔話みたいに川で洗濯かと思ってたから…。その奥の扉を開けたらトイレ。

トイレもウォシュレット付きの新しいもの。子狐丸は本当にいいものを選んできてくれたのね…。


一度廊下に戻り、お風呂への扉を開けると脱衣所があり、換気用の窓とかもしっかり追加されてた。

これも多分子狐丸が伝えてくれたんだと思う。だからこちらに残ったんだよね、本当にもう…。

できる子過ぎて自分と比較してしまうと自信を無くしそう。

「どうかな?」

「何も不満はないよ。洗濯機までありがとね」

「無いと大変でしょ?」

「うん…」


奈子さんと源さんに問題なしと伝えてお礼を言い、工事も終了。

お二人は帰りに倉庫によって、今回使えそうだと思ったものを自宅に持ち帰るそう。

「瑠璃ちゃん、今日はありがとーな。街の人らにも宣伝しとくから、依頼が来たら伝えるなー。うちが仲介するよって」

「お願いします!」

子狐丸と一緒に二人を見送り、遅くなってしまったお昼ご飯の仕度。


「瑠璃、奈子と何かあったの?」

「あ、そうそう…。奈子さんの倉庫にね、車やバイクもあって…」

「まぁあるだろうね…」

「でも、それ以上に危ないものがあったの! あれは多分戦車だよ!」

「戦争中に使われたっていう?」

「うん。キャタピラに大砲がついてたから間違いないよ。流石に使い方とかは知らないけどね。あの存在感はすごかった…」

「うーん…多分動かないとは思うけど、念の為、奈子に伝えて対策はしておくよ」

「そうしてもらえる?武器や兵器みたいな危ないものは流石にね…」

戦国時代に戦車とか、どんな状況よ…。こちらは人間界とは違うけど、悪意の無い人がいないとも限らない。私は実際に鬼が暴れたのを見てるわけだし警戒くらいはする。

だいたいあんな大きなものどうやって持ち出したのやら。妖怪ってすごい…。ユニットバスとかも持ち出してるくらいだし、あり得なくはないのか。



昼食後、街をゆっくり見てまわる?と提案してくれた子狐丸と一緒にショッピング。

ショッピングとは言っても、時代背景が戦国時代なわけだから、例えるなら市場?

野菜とか穀類といった食品が殆どで、偶に現世から持ち込まれたであろう物を売ってたりもする…。

「何かいいものあった?」

「お野菜とか食材が現世と同じなら欲しいかな」

「瑠璃が欲しい物はないの?」

「そうね…」

ちょうど目の前にある持ち込まれたであろうものが並ぶ店を見てみる。

大昔の折りたたみ携帯電話の半分だけとか、壊れたおもちゃ。

大半が壊れてて使えないものばかり。唯一目が止まったの多分イミテーションだろう宝石のついた指輪。

私、アクセサリーってつけたことないな…。

両親からは勿論、誰にも貰ったことは無いし、自分で買うようなお金もあるわけがない。

唯一覚えてるのは、幼い頃に遠足に持っていったお菓子についてたおまけの指輪…。

口に入れて吹くとピーってなるラムネ菓子についてたんだよね。

「瑠璃?」

「なんでもないよ。野菜買いたいからいこ!」

「う、うん…」


産地直送みたいな土がついたまま並ぶ野菜はどれも新鮮そう。

今朝、収穫したばかりなんだろうって見た目。

「欲しいけど、物々交換なんだよね?私何も持ってないよ」

「大丈夫。野菜と交換するくらいならこれがあるから」

子狐丸が見せてくれたのは一見するとただの石。

「石だよね、それ…」

「石に見えるけど、金属だよ。持ってみる?」

渡された手のひらサイズの丸いものは、ずっしりと重い。確かに石にしては重すぎる…。

「銀を固めたもので、食品くらいならそれと交換できるんだよ」

「へぇー。一応お金みたいなものはあるんだね」

「お店の人もそれを持ってまた違う店で欲しいものと交換するだけだから、お金と言えるほど明確な価値の決まりはないけどね」

「子狐丸はこれ、どうしたの?」

「昨日、奈子へ渡す獲物を狩りに行ったでしょ? あの時に余分に狩ってきたのを交換しといた」

「ありがとね。これで野菜が買えるんだから」

「また必要なら取ってくるよ」

「うんっ。 それにしても魚とか肉類はほとんど無いね。干し肉とかくらい?」

「真っ先になくなるからだね、朝イチにしかないと思う。 いるならとってくるけど…」

「ううん。大丈夫!」

うちにあるオーブンレンジなら何とでもなるし。仮にイノシシを丸々一頭とか持ってこられてもどうにもできない…。

スーパーでパックされて売ってるのしか知らない現代っ子をなめないでほしい。

私が世間知らずなのは認めるけど、流石に魚が切り身で泳いでる…なんて言うほど物を知らないわけではない。



こうして当たり前にお買い物をしているけど、お店の人はみんな何かしらの妖怪なんだそう。

殆どの人がぱっと見では人と変わらず、わからないんだけど…どうなってるの?

怖くないから助かるけどね。


子狐丸をあちこち引っ張り回して野菜とかを購入。

嬉しかったのはシャンプーとか石鹸まで調味料とかの食品と一緒に売られてた事かも。

”何かわからなくて、サイズ的に一括にしたんじゃないか?“と子狐丸。

流石にこれは食べたらだめだ…。文字通り泡を吹く結果になりかねない。

そんな訳でお店にあったシャンプーやリンス、ボディソープに石鹸、台所用の洗剤まで買い占めてきた。

お店の人はずっと売れなくて困ってたそうで、おまけにって台所用のスポンジタワシまでもらっちゃった。

組み合わせが的確すぎて、実はわかってるのでは?と疑いたくなるほど。


そして、シャンプーで思い出したのが髪…。整えたいけどどうしようかな。

「子狐丸、こっちに美容院みたいなのある?」

「髪結いがあるから、いこうか…」

「おねがいします…」

子狐丸も敢えて触れないようにしててくれたんだろうってのはわかるから、早くちゃんとしておきたい。


髪結いはパンチパーマの鬼が経営してて、角と虎柄のエプロンが特徴的…。以前の事があるから警戒したけど、普通に良い人。服のセンスは相変わらず独特だけど…。

でも腕は良くて…。私が雑に切ってしまった髪をなるべく長さを残して整えてくれたから、肩より少し短いくらいになった。ベリーショートになる覚悟だったから嬉しい。

「髪は女の命なのよぉ?雑に扱ったらダメダメよ!」

「はい…ありがとうございます」

なんでオネェ口調なんだろう。謎だわ…。


「子狐丸、どうかな?」

「うん、可愛いよ。僕はその長さも好き」

「ありがと…」

照れもせず言われちゃうとこっちが照れます!

髪結いの代金は、後日子狐丸が獲物を一匹納めるって話でまとまっているそう。

ごめんね、手間かけちゃって…。



空が茜色に染まる頃、ようやく帰宅。

「ごめんね、楽しくてあちこち連れ回しちゃった」

「いいよ。楽しそうな瑠璃が見れて僕も嬉しい」

本当にこの子は…。どこで覚えて来るの?そういうセリフ。


恥ずかしくてまともに目を合わせられなくなったから、急いで夕飯の仕度に取り掛かった。









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