第一話救いの異世界
この作品は残酷な描写がありますので苦手な方はお気をつけください。
異世界が存在したら、どれほど楽しいだろう。異世界に行けたら最高だと夢見るが、現実はいつも厳しい。私はいじめられ、異世界のラノベにのめり込むことで心の安らぎを求めるが、学校に行く度に目を覚まさせられる。そう、異世界など存在しないのだ。
学校が終わり、いつもと変わらない帰り道を通る。家に帰れば、また私の中での異世界に戻れると思っていた。「雅人!帰ったならおつかい頼むね」と母に頼まれるが、ここでも現実を思い知らされる。自由は私の部屋の中にしかないのだ。それでも仕方なく、おつかいに出かける。「高校2年なんだから、もう少し自由を与えてほしいな」と独り言をつぶやきながら、いくつかの用を済ませて帰宅する。
自分の部屋に入った私は、ラノベを読みながら思う。「こんな世界に行けたら……いや、現実を見れば、行ったとしてもすぐに死んでしまうだろうけど、夢はあるよなぁ」と呟き、深夜の2時までラノベを読み続ける。朝になればまた現実に戻され、今の私からすればラノベの世界こそが現実だと感じていた。
学校に着くと、上履きを濡らされ、裏で殴られ、陰口を言われ、パシリにされ、カツアゲされる。精神的にも私は追い詰められていた。「先生、前にも言ったんですけど、虐められていて。前回相談した時、先生が強く言っておくと言ってくれましたが、全然改善されていません」と伝えると、担任はこう答えた。「雅人、いじめるのは許されない。しかし、いじめられる理由もあると思うんだ。お前にも何か問題があるのでは?」その言葉に、私の心は完全に折れた。助けてくれる大人もいない。この現実があるはずがない。現実はラノベの世界だけだ。
放課後、私は屋上に行き、柵を登った。「神なんていないんだよな。だって、誰も私に手を差し伸べてくれなかったんだから」とつぶやき、私は屋上から飛び降りた。そして、ゴドンという大きな音と共に、私の意識は失われた。
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