プロローグ
今、世界はウイルスの脅威、戦争、経済崩壊、環境破壊など様々な問題に直面している。
私たちの暮らしは日々変化し、未来に対する不安はますます大きくなっています。
コ◯ナの流行以降、情報リテラシーが問われる時代になりました。
政府の発表、メディアの報道、SNSの言論統制……我々に知らされる情報は歪められています。
本当のことを知ることができているのか、それとも操作された情報に踊らされているのか。
この作品は、そんな「不安な未来」をSFの形で表現した物語になります。
もしも、世界が滅亡したらどうなるのか?
そして「真実」を知ったとき、それでも生き抜く覚悟はあるだろうか?
これは、終末の時代に抗う者たちの物語です。
西暦二〇三五年 七月五日 午前三時
暗黒の空を裂く閃光が、北極圏の静寂を破った。
巨大な隕石が大気圏に突入し、凄まじい摩擦熱を放出しながらアラスカ北部の山林へと落下する。
地面が揺れ、空が燃え、吹き飛ばされた樹々が爆炎の中で崩れ落ちた。直径五百メートルにも及ぶ隕石は、大地を裂き、マグニチュード9に匹敵する衝撃波を放った。
広大な森林は業火に包まれ、数百キロ離れたアンカレッジの住民ですら夜空に轟く閃光を目撃したという。
世界通信 速報 七月五日
【ワシントンD.C.発】
本日未明、アラスカ北部に直径約500メートルの巨大隕石が落下した。落下の衝撃により広範囲にわたって爆風が発生し、周辺の森林は壊滅的な被害を受け、大規模な火災が発生している。
米軍は速やかに偵察機およびヘリコプターを派遣し、現場の状況を確認。軍関係者によると、隕石の衝突地点から正体不明の巨大生物が出現し、周囲へと拡散していることが確認された。
生物の大きさは体長3〜5メートルに及び、外骨格を持つ昆虫に似た姿をしているという。米軍関係者は「極めて攻撃的であり、接触は危険」と警告している。
現時点で、政府および国防総省は正式なコメントを発表していないが、状況を注視しているとみられる。
WBNニュース 七月六日
【ニューヨーク発】
昨日、アラスカ北部の隕石衝突地点から飛び立ったとされる巨大生物の群れが、東海岸に到達。ニューヨーク市内で市民を襲撃する事件が相次ぎ、多数の死傷者が発生した。
目撃情報によると、巨大生物は路上を走る車をひっくり返して暴れ回り、警察が銃で攻撃しても全く歯が立たないという。被害は拡大の一途をたどっている。
マックスウェル米大統領はホワイトハウスから緊急声明を発表し、「市民は不要不急の外出を控え、自宅で待機するように」と警告。ニューヨーク市全域でロックダウンが発令された。
一方、国防総省は「確認された巨大生物は極めて危険であり、軍の対応が必要である」と発表。陸軍・空軍による迎撃作戦が計画されているという。
CMNニュース 七月七日
【ワシントンD.C.発】
米政府は本日、アラスカに落下した隕石から出現した巨大生物を正式に『ビッグバグ(Big Bug)』と命名した。また、マックスウェル米大統領は国防総省に対し国家非常事態宣言を発令。陸軍および空軍に対し、ビッグバグの殲滅を命じた。
国防総省の声明によると、「ビッグバグは空を飛ぶ能力を持ち、通常の弾薬が貫通しにくい頑丈な外骨格を有する。軍は航空戦力および重火器を投入し、可能な限り迅速な対応を行う」と発表。
本日より、ニューヨーク市では市民を避難させ戦闘機による空爆が開始される。
BP通信 七月八日
【ロンドン発】
米国防総省の最新の発表によると、ビッグバグはアメリカ国内だけでなく、ロシア、日本、韓国、中国、ヨーロッパ各国にも波及していることが判明した。
特に、都市部の高層ビルの壁面や橋脚部に卵を産み付けることが確認されており、数日以内に新たな個体が孵化する危険性があると専門家は警告している。
さらに、新たな脅威として「ビッグバグが放出する病原菌」が報告された。
この病原菌は空気感染によって拡散し、感染者は急激な呼吸困難を引き起こし、最短3分以内に死亡するとされている。
各国政府は「防毒マスクの着用を義務化し、感染拡大防止策を強化するよう市民に呼びかけている」
ジャパンネットワークニュース 七月九日
【東京発】
日本政府は本日、ビッグバグの被害拡大を受け、全国に緊急事態宣言を発令した。
藤原首相は記者会見を開き、国民に向けて「不要不急の外出を控え、安全を最優先とするように」と呼びかけた。
「現在、ビッグバグの大群は主に東京都心部に集中している。政府は都心の住民に対し、速やかに郊外への避難を開始するよう指示を出した」
政府関係者によると、ビッグバグは特にビルやマンションの外壁に巣を作る傾向があり、都心部は短期間のうちに居住不可能な状態に陥る可能性が高いという。
また、藤原首相は「自衛隊を動員し、ビッグバグの駆除および避難支援にあたる」と発表。
現在、陸上自衛隊および東京都警察が協力し、住民の誘導と防護活動を進めている。
一方で、避難が難しい高齢者や障がい者の支援が課題となっており、政府は追加の対策を検討中としている。
CMNニュース 七月十日
【ワシントンD.C.発】
米国防総省は本日、ビッグバグによる都市壊滅の被害が深刻化していることを発表。
「ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、ヒューストン、ワシントンD.C.が壊滅的な被害を受け、都市機能が完全に停止した。確認されている死傷者数は十万人以上に達し、今後さらに増加が予想される」
この事態を受け、マックスウェル米大統領は全米に戒厳令を発令。州兵および海兵隊が出動し、軍事行動を本格化させた。
国防総省は「もはや従来の兵器だけではビッグバグの駆除は困難」と判断し、核攻撃の可能性も視野に入れた軍事作戦の検討を開始した。
BPI通信 七月十五日
【ジュネーブ発】
マックスウェル米国大統領は本日、国際連合(UN)に対し、「地球規模の危機に対処するための統一軍事作戦」の立ち上げを提案。
国際連合安全保障理事会はこれを受け、国際連合軍を再編して「世界連合軍(WNF)」創設を決定。
また、世界連合軍司令部は「最も効果的なビッグバグ殲滅方法として、都市部への核攻撃を選択肢とする」との声明を発表。
すでに米国、ロシア、中国、EU各国が軍を世界連合軍に編入し、史上最大規模の軍事作戦が開始されようとしている。
世界通信 八月五日
【ジュネーブ発】
本日、世界連合軍による「ビッグバグ殲滅作戦」が開始され、世界各地の主要都市に対して核攻撃が実施された。
米国およびロシアの戦略核兵器五〇〇〇発が投下され、ニューヨーク、モスクワ、東京、ロンドン、北京、ソウル、パリなど世界の主要都市はすべて壊滅した。
世界連合軍は「事前に住民を避難させたため、人的被害は出ていない」と発表しているが、詳細な被害状況は不明。
しかし、世界連合軍司令官ロバート・バージェスは記者会見で次のように語った。
「核攻撃はビッグバグの脅威を抑えるための第一段階にすぎない。次の段階として、我々は"気象兵器"の使用を検討している」
この発言に対し、各国の専門家から懸念の声が上がっている。
世界通信 八月九日
【ジュネーブ発】
世界連合軍司令官 ロバート・バージェス大将は、ジュネーブの国連本部で行われた記者会見で次のように声明を発表した。
世界連合軍司令官 ロバート・バージェスの声明
「本日、我々は人類史上最大規模の軍事作戦を遂行しました。ビッグバグの脅威が拡大を続ける中、通常兵器による駆除はもはや不可能であり、唯一の解決策として、戦略核兵器を投入しました。この作戦により、都市部に巣食っていたビッグバグはほぼ壊滅させることができました。しかし、我々は核攻撃が一時的な解決策に過ぎないことを理解しています。ビッグバグはすでに世界各地に拡散し続けており、根本的な解決には至っていない。そこで、本日をもって『第二段階』に移行します。次の作戦として「気象兵器」を用いた環境操作作戦を決行します。気象兵器の利用は、ビッグバグの生息地に直接影響を与え、繁殖を阻害する唯一の手段であります。我々は、計画的かつ組織的に地球環境を変化させることで、ビッグバグの生存圏を徹底的に破壊していきます。この作戦は人類の存亡をかけた戦いであり、我々は決して後退はしない。人類の未来を守るため、最後まで戦い抜く決意であります」
この声明に対し、国際社会からは賛否両論の声が上がっている。
「気象兵器の使用は危険すぎる」との懸念が示される一方で、「ビッグバグを完全駆除するためには必要な措置だ」との支持も広がっている。
専門家の間では、気象兵器の使用が地球環境に与える影響について詳細な検証がなされていないことへの懸念が指摘されている。
一方、世界連合軍の報道官は「計画は綿密に立案されており、安全性を最優先に進める」と説明している。
プロローグは何度も書き直して悩みました。
通常の文章では事態の緊迫感が伝わらないような気がしてニュース記事の羅列によって時系列と事件経過が箇条書きでスピード感を持って伝えられると思いました。