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魔法使いの相棒契約  作者: たるとたたん
三章 不滅を誓うあの日の僕ら
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✧ 第43.5話:思い出を編む (花柳優梨)






 お姉ちゃんは、私のあこがれだ。


 もちろん、蒼空(そら)お兄ちゃんも、(ひかる)お兄ちゃんも、お母さんお父さんだって私のあこがれだけど……でも、咲来(さくら)お姉ちゃんは少しちがう。


 カンペキで、やさしくて、勉強もすっごく得意。私と変わらない年齢の時も、私より何倍もすごい人だったんだ。そんな風になりたくて、私はその背中をずっと追いかけてるけど……私は、全然そんな風になれない。でも、それがイヤとか思ったことはないんだ。

 どうしてか分からないけど、お姉ちゃんに全然追いつけないことですら、私はうれしく思っちゃう。

 そんな全部に、きっと私はあこがれてる。

 


「あ、お姉ちゃん! おかえりなさ~いっ」

「わっ……優梨(ゆり)、ただいま」

 


 さっきまで外にいたのに、いつの間にか家に帰ってたみたい。部屋から出てきたお姉ちゃんは、私服からパジャマに着替えてた。

 


「私、お姉ちゃんに聞きたい事があったの!」

「聞きたい事?」

「うん! お姉ちゃんが髪の毛結ぶのが上手だって、輝お兄ちゃんがさっき言ってたから……私の髪も、結んで貰えないかな〜って……」



 昔のお姉ちゃんの写真を見て、ステキだなって思ったから伸ばしたこの髪の毛。

 私は今までまともに自分で結んだことがない。いつもパパやママがやってくれるか、自分でひとつに結んだ事があるだけ。だから今日は、一度でいいからお姉ちゃんにやってもらいたかった。

 また学校が始まったら、お兄ちゃんもお姉ちゃんも学園に戻っちゃう。離れちゃうのが悲しいから、少しでも思い出が欲しくて。



「私で良いなら」

「ほっ、ほんとうに!?」

「うん」



 なんてこった。ほんとうに結んでくれるなんて!

 私とお姉ちゃんはそのままリビングに行って、そこにあるイスに私はちょこっと座った。すると、お姉ちゃんは私の後ろに来て、何処からかクシを取り出した。私のおろしたままになっている髪の毛を手に取ると、そのままサラサラとクシを通す。



「どんな髪型にしたいの?」



 そう言われて、私は悩んだ。

 だってどんな髪型にしてもらうのも嬉しいから。



「うーん、良かったらお姉ちゃんの好きなようにしてほしい!」

「好きなよう……分かった……」



 困らせちゃったかな、と思ったけれど、お姉ちゃんはそう言ってから直ぐ、私の髪の毛を沢山動かしてくれていた。

 しゅる、しゅる……と、何かを通す音がする。でも頭を動かしたら上手くできないかもしれないから、私は気になる気持ちを必死に抑えて、この頭を動かさないようにした。



「……はい、出来たよ。どう?」

「っ、わぁああぁ~~っ!」



 手鏡をわたされた瞬間、私は思わず声を出した。

 耳の後は三つ編みみたいになって、耳下には可愛いヘアゴムで2つに分けられた髪の毛。なんて可愛い髪型なんだろう。ステキ過ぎて、言葉が出てこない。



「すっごく可愛い! この髪型ってなんて言うの?」

「編み込みツインテールって言うの。優梨はツインテールが似合うなって、何となく思ってたから」

「そうなんだぁ、嬉しいな……ありがとうお姉ちゃん!」

「……そんなにお礼を言うような事じゃないよ」

「ううん、本当に嬉しかったの!」



 そう言ってわたしがお姉ちゃんに抱きつくと、お姉ちゃんは私の頭を少しなでてくれた。いつもよりそれが短いのは、きっと髪型が崩れないようにしてくれてたからだ。

 

 お兄ちゃんとも、お姉ちゃんとも……もうすぐカンタンには会えなくなる。それはすごく悲しい。でも、こうやってみんなに貰った思い出を胸の中で大事にしていると、離れていても近くにいるみたいだから、私はすごく嬉しくなる。

 だから、3人がいなくなる前に……こうやって、思い出を作るんだ。



「そうだ、私もツインテールの練習しよう! 今度会った時は、自分でやってる所をお姉ちゃんに披露する!」

「……うん、楽しみにしてるよ」

「あれ、その髪型……咲来に結んで貰ったの?」

「お父さん! そうなの、見て見て~!」



 次会った時はもっと大人になって、家族みんなに追いつけるようにがんばる。三学期が終わったら小学3年生だもん、私もお姉さんになるのよ!

 手が届かないくらいカンペキで、すごい魔法の才能があって、みんなからソンケイされてる、私の家族の……お姉ちゃんの、自慢の妹になりたいから。









 

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