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魔法使いの相棒契約  作者: たるとたたん
一章 巡りゆく月日の欠片
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✤ 第0話:相棒





 私の世界は、今の一瞬でひっくり返った。


 魔法使いが10歳になると入学を許される、日本で唯一の魔法学園。そこに入学してからというもの、私はどうしても花柳(はなやぎ)さんとお話をしたいと思っていて。

 だから学園の奥にある、入ったことの無い薄暗い森までついて行った。花柳さんが……魔法使いが使う本物の〝魔法〟を、人生で初めて見たんだ。


 木陰に舞う綺麗な粒と、花柳さんの声。私の呟きに優しく返す彼女の言葉は、心の中で固まっていた物を少しずつ溶かしてくれた。

 その柔らかい声が少し後ろでまた響く。繋いだ手を、するりと離しながら。



「今日は、色々とありがとうございました。貴女は先に、ここから出てください」



 前に先生が『魔法は人を守る力』だと言っていたけど、私にとっての魔法は人を傷付けるもの。聖女なんて大袈裟(おおげさ)なあだ名も、誰かの理想を押し付けられただけ。

 それなのに〝光の魔力を持つ私(聖女様)〟と〝闇の魔力を持つ君(闇魔法師)〟は、いつも先代の悲劇を理由に天敵同士と決めつけられる。どうしてそんな風に言うの。なんて、ずっと誰にも言えなかった。


 だから、やっと2人で話せて嬉しかったんだ。それにね、魔法はこんなに綺麗な物なんだって、君が教えてくれたんだよ。



「森を出れば、また今まで通り……私は貴女に、一切干渉しませんから」



 それなのに、君はまた私から距離を取ろうとしている。

 彼女は微かに声を震わせ、視線も合わさず眉を下げた。でも、木の影に立つその姿を目に入れた時、私の体はもう動き始めていた。森の外ではなく、彼女の佇む森の奥へと。

 

 相手の表情なんて気にせずに、一歩、また一歩と土を蹴りあげる。まるで今までの自分じゃなくなったような、不思議な感覚を沸き上がらせながら。やがて彼女の目の前に立つと、お腹の底から大きく声を張り上げた。


 

「これからは、ちゃんと自分で選ぶ! 私の気持ちをちゃんと大切にするって決めたの!」



 君が私を名前で呼んで私の声を聞いてくれたから、聖女様と言う仮面が崩れて春風(はるかぜ)菜乃花(なのか)としてほっと息が出来たんだよ。

 入学式のあの時から、ずっとこうやってお話したかった。これからだってそうしたい。先代の因縁なんて私たちには関係の無いことだもん。だから。



「だからお願い……花柳咲来(さくら)。私と……」

 


 せめて、この気持ちを君に伝えたい。

 私は、君と一緒に――








 

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