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相棒

作者: ナダ

私には特別な支援の()る三人目の子がいる


無事に成長して、日々私のする事は少なくなってきた

それでも、毎日母親としてフォローすることはある


が、今となってはそれが自分にとって良いのでは、と思う

他人から見ると、一生親として心配が絶えないたいへんな人生、みたいなイメージがあるかもしれない

それは、そうなのだけれど


私は、自分ひとりだとがんばれない

自分のために、そこまで力を発揮できない

だらだらと何か食べて、きっと、ずっと寝ているだけだ


思い出してみると人生において、いつも相棒がいた


小学校の低学年の頃から飼い犬と一緒に寝ていた

どんな時も、家に帰れば側に居てくれた

社会人になった頃に先立たれて、本当に後を追いそうになった

人生を本気でやめたくなった


ふらふらの私を見かねて、親が同じ犬種の赤ちゃんを飼った

死にかけていた私は、小さな新しい相棒のために、また生きる気力を取り戻した

予防接種や毎日の手入れなど、私の存在する理由ができた


その後、結婚して子どもを生み、育児に励むのだが

上の二人が学童期になると、また私は自分の存在意義が怪しくなってきた

自分が居なくても、もう何とかなる

そう思うと、人生に意味を見出せなくなったりして


そんな時に、三人目の子が私の元へ来た

今日に至るまで、毎日ずっと一緒に過ごしている

並んでご飯を食べて、くだらないことで怒ったり、踊ったり笑ったり


夕食のための買い物へ行くのも、学校の送り迎えも、家事も身の周りの世話も、子を思うとやる気になる

ひとりだったら、ほぼ引きこもり生活になる気がする

(伴侶は大人だから放っておく)


誰かに必要とされたい、とは違う

自分がいないと困る、世話をする人が居ない

そういう存在がいると、人間としてきちんと生きようと思える

役に立てることで幸せを感じる


だからと言って、子どもの喜びが自分の喜び、ではない

同一視はしていない

別々の人生を送りながら、一緒にいる

そこを混同すると、親として一喜一憂してしんどくなる


いつも寂しくない

本当にありがたい

でも、しっかりしてるから自立する日が来るかもしれない

その時は、また新しい相棒が見つかるかな


他人からしたら、気の毒に思うかもしれないが、私は幸せだ

毎日のケアがたいへんに感じた時もあるけど、それ以上に毎日子どもから笑顔と元気を貰っている


かわいいままの中学生男子なんて、なかなかいない

今日も相棒と歌って踊ろう

いつまでも元気な二人で楽しもう

私は幸せ者だ










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