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オリベラ商店街で、街の名物や生活必需品を購入。
もちろん俺の『創造』ならどんなモノでも自前で作れちゃうのですが、
旅先では、ちゃんとお金を払って買い物をしましょうという、
地域経済活性化だって旅人の立派な責務なのです。
お金の方は必要な分を好き勝手に『創造』してますけどね……
そんなわけで、お世話になった皆さんへのご挨拶を済ませたら、
いよいよオリベラの街を出立。
今回はいろいろとアレな冒険になっちゃいましたが、
オリベラの街は嫌いじゃありませんよ。
むしろ、この街の冒険者さんたちの頑張りっぷりには、
学ぶべきことばかりでした。
「サポーターだって頑張っていますよ」
はい、よく存じて上げておりますとも。
ムリアーノさんには、大変お世話になりました。
またこの街に来た時は、是非専属サポーターをお願いしますね。
「はい、心からお待ちしております」
ところで、なんで魔王さんもここに?
「……名前で呼んで」
オーシェルゼニアさん、だとちょっとアレなので、
例のクリア特典"何でも願いを叶える権利"を行使して、
これからはオーシェさんって呼びますね。
「……ありがと」
それで、白昼堂々こんなとこまで来ちゃったってことは、
もしかしてラスボス業をクビに……
「有給休暇、すっごく溜まってたし」
このダンジョンって、めっちゃホワイト職場なのですね。
えーと、今回はグダグダでしたが、
これに懲りずに魔王業の方、頑張ってください。
「……あの指輪、くれないの?」
あー、アレですか。
まあ、せっかくオーシェさんのお友達からいただいたものを、
封印しっぱなしというのも失礼でしょうし。
ごそごそ
はい、『無限ペアリング』です。
鑑定では"結婚・婚約・隷属など、幅広い用途に対応可能"とありましたが、
カレッジリング的な、友情の証しのダンジョンリングでもセーフですよね。
「……」
もしもし、オーシェさん。
左手薬指はご勘弁。
ってそういえば、オーシェさんはスフィンクスでしたよね。
もしかして変身したとき、指輪が邪魔になったりしません?
「ミルルさんは『ある程度はサイズ可変にも対応してますよ』って言ってたけど……」
その"ある程度"っていうアバウト感が、
いかにもミルルシュモさんらしいですね。
えーと……スフィンクスモードの時のオーシェさんの指って、
どんな感じでしたっけ?
「指輪……無理かも」
ふむ、困りましたね。
やたらめったら長いチェーンでも付けて首からぶら下げる、とか……
ぱたぱた、むんず
「キャッ」
ちょっと、チミコさんっ。
人外さんのしっぽを本人の許可なくイジるのはセクハラ現行犯ですよっ。
『しっぽなら変身後も形状安定!』
……おっと。
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乙女モードのオーシェさんの可愛らしいしっぽのサイズより、
ちょいとユルめに指輪を複製。
先っぽフサフサのしっぽなので、ちょっとだけ手こずりましたが、
無事にハメることが出来ました。
「……不束者だけど、よろしくね」
いえいえ、ダンジョンリングはお友達の証し。
お友達に不束者も不埒者もありませんから。
『フラグ保留案件!』
はいはい、フラグフラグ。
まあ、こうやって各地に素敵なご縁が出来るのも、
ぶらり旅ならではですよね。
「……シジマさん」
えーと、流石に人妻なムリアーノさんに指輪を贈るのは……
「ペネトレーアさんが、是非に、と」
……アディオス、皆さんっ。
ペネトレーアさんにもよろしくお伝えくださいっ。
それでは、またお会いしましょう!