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「心配かけて、ごめんなさい」
「もう大丈夫」
これから夕食ですけど、一緒に食べます?
「美味しいおかゆでお腹いっぱい」
「ドリンクも、凄く効いた」
それは良かったです。
あー、チミコさんがドヤ顔してるので、リップサービスはほどほどに願います。
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食事もお風呂も済ませて、いつもの家族団らんのお時間。
モルガナさんは、静かに語り始めました。
精霊と人との間に生まれた、精霊界育ちのモルガナさん。
お母さんが亡くなってからは精霊のお父さんとのふたり暮らし。
ただ、精霊界トップの娘という環境のあまりの息苦しさに、
家を飛び出して人間界での旅暮らしを始めたのは、もう随分と昔。
生来の超"隠密"能力のおかげで精霊界とは絶縁状態。
そして今は、鏡の賢者さんや気の合う仲間たちとの楽しい生活。
今回の依頼は、鏡の賢者さんからのたってのお願い。
だけど、人の秘密を探る監視任務で同行してるのに、
こちらが秘密を抱えたままなのはフェアじゃない。
「ってことで、告白しています」
「私の出自は、ロイさんのお仲間でも極一部の人にしか教えていません」
「出来れば、内密に願います」
えーと、これまでと対応を変えたりしなくてもよろしいのですね。
「そうしてもらえると、嬉しい」
だったら、今までと何も変わらないってことで。
みんなも、それで良いよね。
「落ち着いたら、精霊界のお料理、教えてくださいね」
『一緒にお風呂とか、まだダメ?』
「……私の素顔を見た人は、強力な"魅了"に掛かってしまうことが多い」
「このまま『隠蔽』していた方が良い、と思う」
なるほど、あまりにもべっぴんさんだと、
普通の暮らしも出来なくなっちゃう、と。
そのローブも特別仕様みたいですし、おしゃれ出来ないって大変ですね。
「……本当にのんきな人だよね、シジマさんって」
みんなから言われます。
まあ、こんな俺だから、種族うんぬんとかの難しいこと抜きにして、
みんなと仲良しさん出来るってことで。
あれ?
モルガナさんが精霊のハーフだってこと、
もしかしてヒアスルミネアさんに……
「うん、バレちゃった」
「流石にあのクラスの精霊と直接対面すると、"隠密"も効かないよね」
「元々顔見知りだったってこともあるけど」
そういえば、ふたりきりのひそひそ話し、してましたね。
「ヒアスさんは、内緒にしてくれるって言ってたけど……」
「あれこれいろいろ考えていたら、具合が悪くなっちゃって」
「でも、シジマさんたちを見ていたら、何だか吹っ切れた」
「この先、あっちの連中にバレても、その時はその時ってことで」
……ごめんなさい、俺たちが連れ回したせいですよね。
「おや、シジマさんが責任とって、指輪でもくれるのかな」
えーと、これからもよろしくです、家族として。
「ガードが緩いんだか堅いんだか、よく分からないよね、シジマさんって」
ほんと、よく言われます……




