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27. 四国大会 愛媛県予選 初戦 後

初戦についてはしっかり描写しようって一度も会ったことないけどひいひい爺ちゃんが言ってた気がする。

 5分の休憩時間でスタメンや途中交代したメンバーはそこそこに疲労を抜き、今後の作戦について話し合っていた。生憎俺はキーパーだし初心者ということもあってその話し合いにはほぼ不参加だったが、後ろから見えたことを共有する程度のことはした。勿論、俺の気付きは他のプレイヤーの気付きと被ることはあったが、それでも有用なものが一つあった。



「ほら、最後にドリブルで突破しかけようとしてきたFWくん居たじゃないっすか。偶然かどうかは知らないんすけど、パス出すときは足下のボール見ないのにドリブルするときはちょっとだけ視線下げてボールを見てんすよね。」



 癖になってんだ、ボール見てドリブルするの。



 ────────────────────


 FW:9番 栗田くりた しげる(2年)

 MF:16番 七留ななとめ たすく(2年)・8番 土御門つちみかど 辰馬たつま(1年)・7番 石川いしかわ 颯太そうた(3年)・6番 木谷きや 楓悟ふうご(3年)・5番 中野なかの 瑛士えいじ(2年)

 DF:12番 佐藤さとう 大地だいち(1年)・4番 金田かねだ のぞむ(2年)・3番 渡辺わたなべ 一郎いちろう(2年)・2番 石清水いわしみず 八幡はちまん(3年)

 GK:1番 葉隠はがくれ 和義かずよし(1年)


 ────────────────────



 味方の編成:DF-MF-FW=4-5-1

 相手の編成:DF-MF-FW=3-5-2



 さて俺の一言で意識が変わったのかどうかは分からないが、後半戦開始早々。ルーズボールの競り合いに負け相手にボールが渡った時のことだ。前半はボールを持った相手に積極的に詰めていた先輩たちであったが、件の相手FWにボールが渡るとじっくりと観察するようになっていた。どうやら俺の仮説を検証しているようだが、果たして。


 何度か観察している内に俺の分析は当たりと判断された。土御門なんかはドリブル直前のボールを奪取したりと相手の士気を下げていた。がその後は中盤でボールを回して時間を浪費させるに留めていた。恐らく勝ちを確信したので体力の温存のためだろう。


 しかし前半の途中からゴールを狙うつもりがないことがバレたからなのか、相手のディフェンスは抜かれないように少し下がるものからボールを直接奪うために詰め寄るようなものへと変わっていった。その影響でプレイも若干荒々しいものに変わっており、ピッチ上の選手には万に一つは怪我の可能性が出てきた。そこで味方FW・MF陣はボールを持てばロングシュートを打つようになった。


 それでも狙いの付いていないシュートなんて決まる筈もなく、相手DFにしっかりとカットされた。とはいえDFが止めたそのボールはまたしても中盤で止まり、奪われ、ロングシュートという様に延々とループしている。そのため相手も積極的にロングパスを狙うのだが、そこはチームとして未熟なためかいまいち連携が上手くいっていない。そこでやはりドリブル突破という選択をしてしまうため、いいように端に追い込められてボールを奪われてしまう。




 ボールが中盤で停滞しだすと、両チームの選手は少しずつ中央へ集まり始めてきた。それはDF陣も含めてのことだった。これで両チームのDF陣の裏が大きく空いたことになる。だがしかしこれにはエンドラインの管理はしっかりされているというオチが付いている。前に出たくても戻りオフサイドを恐れる相手FW陣となんとか中盤から抜け出したい相手MF陣。逆に相手を中盤で押し留めつつ、隙あらばオフサイドを狙ってプレイを切りたい味方陣営。


 ベンチの方では相手選手2名がサイドラインで待機している。その様子を見た相手チームのキャプテンが一回ボールを外に出せと声を張り上げる。その声に従って相手チームはパスをつないで中央からボールをサイドへ運び出した。




 選手交代で向こうのMF2人をFW2人に変更してきた。流石に中盤が両チーム合わせて10人以上は多すぎたからだろう。編成はDF-MF-FW=3-3-4と超攻撃偏重なのはそのまま、中盤の風通しを良くしようという意図が見える。


 コチラのスローインで試合は再開するもマークは更に厳しくなっており、パスコースを潰された木谷キャプテンが呆気なくボールを奪われて行った。


 相手はそのまま新しいFWにボールを回す。新しいFWはウチでいうところの国松先輩のようなタイプらしく、堅い防御陣を内から食い破るようにドリブルで突破して来た。そのままDFさえも振り切りゴール前まで来たところで癖になってる相手FWくんにサイドパスを繋げた。


 相手FWくんはパスを受け取り少し中央へ寄ってからシュートを打って来た。【未来視】で見るまでもなく俺の右手側を狙ったシュートであり、実際にその場所にボールは来た。


 キャッチングでしっかりとボールを止めて、前線に向かってボールを蹴る。その際に相手FWくんの真似をして軸足ではなく蹴り足に体重を乗せてみると、ボールは相手のペナルティエリアで一度だけワンバンし、ゴールに吸い込まれていった。




 相手のキックオフで試合が再開。もはやさっきの一撃で心が折れたのか、苛烈なまでの攻めも荒々しい守備も無くなった。そしてそのままアディショナルタイムの2分を過ぎ、初戦は3-0で幕を閉じた。



 県立修徳高校  3-0  私立聖キシリス高校

 栗田 茂    前半8分

 渡辺 一郎   前半17分


 葉隠 和義   後半29分




 新レギュラー発表の時に木谷キャプテンが言動には気を付けろと言っていたが、それ以外でも舐めた布陣にしたら相手がブチ切れてたのが印象的な試合だった。というか今の試合で得たものなんて蹴り足に体重乗せる方法ぐらいしかなかった。なんか試合っていっても相手が極端に強くなるとかじゃないんですね、分かります。まあMVPは未だにウォーキングシューズでプレーしてるのにも関わらず得点をもぎ取った俺!以上、閉廷。

なんというか試合描写中に専門用語(?)がいっぱい出ましたので、分からなかったらすみません。


『スポランド』 様の 『サッカー用語集』 という素晴らしいサイトがありますので、是非ご活用ください。

https://www.homemate-research-soccer.com/useful/glossary/soccer/


画像付きの解説ありがとうございます!

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― 新着の感想 ―
[一言] 海外にいきなり行ったほうが早く稼げるんじゃね?
[一言] 自分で舐めた布陣って言ってるし単に性格悪い馬鹿なんよなこの主人公。なんかこういう性格悪くて、馬鹿で、他責的な陰キャって、そこら辺のなんちゃってよりよっぽど現実的でおもろい。
[一言] キーパーが相手のゴールにシュートして得点を決めることは割合珍しいから新聞とかスポーツ新聞のスポーツ記事に乗っている可能性がありますな。 それにしても、これ、口調がケンカを売っているような感じ…
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