表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/39

21. レギュラー選定 中

 いつも通り部室で着替えていると、俺と林先輩のレギュラーを賭けたPK戦はシュート練習の時に実施される運びとなったということを高瀬から聞いた。別に俺としては今からやってもいいんだが、それならばしっかりと体を温めておこうか。


 まあそんなことはさておき、放課後の部活動は今までと同じようで少しだけ変化した。まず俺と火暮、土御門、佐藤大地の4人が新入生組から上級生組で練習することになった。そして始まりの挨拶でキャプテンから練習メニューにも若干の変更が加わることを聞いた。部員全員で行うアップの時間を少し減らして、その分試合の時間を30分から40分に延長。他にも1対1とシュート練習の時間を半分以上削り、2対2の練習が加わることになった。練習の工程は、アップ→1対1→2対2→シュート練→試合という感じだ。


 1対1は新入生同士の時と比べてレベルアップしたが、大まかには変わっていないのでここでは割愛。強いていうなら『間』の使い方や緩急について先輩からは学ばせてもらったぐらいかな。




 さて、本題はこれだ。2対2。ゴールデンウィークに図書館のPCで見た普通の2対2とは全く違って面白かった。


 まず新レギュラー陣とその他キャプテンが選んだ計20人が4人1組に分かれて、それぞれA〜Eチームとする。次に残った部員もそれぞれ4人1組を作りアルファベットチームを作成、この時4人に満たない場合は2人1組や3人1組で各自対応。アルファベットは昇順でランクが高いものとする。


 プレー範囲はハーフコート限定。敵味方は決まっておらず、基本的にボールに触れている1人とその直前にボールに触れた1人がオフェンス、それ以外の2人がディフェンスとなる。詳しく解説すると、最初はオフェンスとディフェンス各2人ずつ分かれた普通の2対2を行うが、ディフェンスがパスをカットした場合やドリブルを止めてボールを奪った場合はオフェンス側にポジションチェンジし、ボールに近かった方のオフェンスが新しくディフェンスに変化する。この時、わざとディフェンスにボールを渡して味方を交代させるというズルはなしで、オフェンスのどちらかがシュートを打ったら結果如何に関わらずその組は一旦終了。つまり、たとえポストに跳ね返ってごっつぁんゴールが狙えるような状況であっても問答無用の終了、といったルールである。


 さてこの2対2の練習において俺が最も面白いと思ったのはデスゲーム方式だったということだ。シュートを打って決まった時は、そのオフェンスは1つ上のランクのチームに編入しボールに近かった方のディフェンスは1つ下のランクに編入する。シュートが決まらなかった場合はその逆で、オフェンスは下位ランクへ転落、ディフェンスは上位ランクへ昇格する。新レギュラー陣を除いて最終的にランクが高い組に居た人物は練習最後のミニ試合に出場できるようになる、というシステムだ。


 なんでシュートに絡めた練習なのかといえば、新レギュラー陣は攻撃偏重の構成となっているためその練習時間を少しでも捻出するためだそうだ。はえー、すっごい。


 キャプテンからの説明が終わり、『それでは皆さんには殺し合いをしてもらいます』等の宣言はされなかったが殺気立つ奴らは複数名居た。その殆どが旧レギュラー陣や上級生であり、昨日のレギュラー入れ替え騒動の時から険しい表情を浮かべていた人ばかりだった。勿論、川瀬先輩も殺気とまではいかないが全身にやる気をみなぎらせており、他の部員たち以上の覇気を感じた。また他のぽかんとした部員たちも彼らに触発されて徐々にやる気を出していった。




 俺が最初に配属されたEチームには他に、火暮・土御門・佐藤が一緒だった。じゃんけんの結果、俺・佐藤が最初のディフェンスで火暮・土御門がオフェンス。


 センターラインからドリブルはせずパスのみを交わしながらゆっくりと前進してくるオフェンス2人に対し、佐藤にボールをとって来いという合図を出す。佐藤が前に出た分、俺は数歩後ろに下がる。はじめはオフェンス2人の中間よりややボール寄りに位置取る佐藤であったが、土御門がドリブルをし始め火暮が右サイドに走って展開しだすと直ぐにボールを持った土御門に専念するようになった。一方でマークされている土御門はというと、火暮からのパスを求める声に応じず直ぐ傍にいる佐藤にボールをパスするかのように軽く蹴った。佐藤は理解できないといった様子だが反射的にそれをトラップした。


 結論から言うと、その一瞬の間こそが土御門の狙いだった。ほとんど歩く速度でボールをキープしていた時から一転、佐藤の足下に収まったボールを蹴って股抜きを決め、全速力で佐藤の横を駆け抜けた。俺が完全に抜かれてしまった佐藤に対し早く正気に戻って火暮をマークするように指示した一方、土御門はドリブルで前進してきた。そのままペナルティエリア目前までやって来た土御門はシザースやエラシコといったドリブル技を俺の目の前で披露してきたが、それには落ち着いて後ろを抜かせない対応。結局ドリブル技では依然抜けない俺に諦めたのか、土御門は左足を大きく振り火暮にパスをした。……と思いきやそのボールには強烈なバックスピンがかかっており、釣られて火暮の方へ向かおうとした俺の横を通った後で、再び土御門の足下に収まった。そのため即座に方向転換してペナルティエリアに侵入した土御門にスライディングを仕掛けるハメになった。どうやらシュートを打とうとしていた土御門からなんとかボールを抜き取り、同じくペナルティエリアに侵入していた火暮に足の裏も使ってでボールの行き先を変えた。


 佐藤の体を当てたディフェンスにも負けず、そのまま火暮はダイレクトシュートを放った。



 火暮:E→D

 佐藤:E→F

 葉隠:E→E

 土御門:E→E



 この後、キャプテンから全員集合命令が掛けられ、ディフェンスに敢えてボールを渡してすぐに奪い返すというようなトリックプレーは一切禁止となった。あとはこの練習は1対1じゃないんだから極力パスを回しながら練習してくれとも言われた。……お前のことやぞ、土御門。


 とはいえ一番最初の2対2は何が何だかよく分からないまま終わった。




 なお、Eに降りてきた先輩とFから上がってきた先輩とでやった2対2では、ちゃんとパスカットを決めてから個人技ではなく味方にパスを繋いだ土御門が得点してDランクに昇格していった。Dランクのままだった火暮から、できるんなら最初からそれをやれよと言われててちょっと面白かった。


 俺はというと、本職キーパーなんやから別にシュートは打たんでもええやろの精神で練習してます。ぶっちゃけ俺がオフェンスならハーフラインからシュート打てば決まるし。でもそれよりはEランクぐらいで色んな人の駆け引きを見た方が俺的には役に立つと思ってます、ハイ。

T.V R.W.Sドリブル 様の 『※指導者必見※【試合に生きる2対2の練習】』 という動画を参考にさせていただきました。

https://m.youtube.com/watch?v=O1IgkClaxGk

いつも素晴らしい動画ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 続きが気になるーー!! 更新はよ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ