17. レギュラー戦 中
選抜チーム
FW:11番 火暮 真(1年)・10番 田辺 誠十郎(3年)・9番 吉岡 勉(3年)
MF:8番 土御門 辰馬(1年)・7番 石川 颯太(3年)・6番 国松 聡(2年)
DF:5番 佐藤 大地(1年)・4番 山下 徹(2年)・3番 渡辺 一郎(2年)・2番 飛鳥 薫(3年)
GK:1番 葉隠 和義(1年)
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コーナーキックは土御門があの曲がるシュートの更に曲がるバージョンを披露して直接ゴールの隅を狙ったが、残念ながらボールはゴールに嫌われてしまいポストに当たって撥ね返った。相手も味方もコートに落ちたボールに群がるように移動し、結局相手の誰が蹴ったのかは分からないがボールはタッチラインを越え、コチラのスローインで試合再開となる。しかしゴール前から比べると遠ざかってしまい、中央付近まで後退させられることとなった。
そこで火暮からのスローインでボールを受ける寸前に石川先輩が人差し指を立てて頭上で大きく円を描くように振った。その様子をしっかり見ていたのは石川先輩についている相手とパスを出した火暮、そして国松先輩だけだった。パスを受け取るために振り切る動きをしていた国松先輩だったが、石川先輩の合図を受けて前線まで駆け上がった。そして火暮は直ぐに石川先輩からパスを受け取り、縦パスで国松先輩に繋いだ。そのまま国松先輩はラン・ウィズ・ザ・ボールでどんどん前線を押し上げていく。
ペナルティエリアの直ぐ近くまでボールを進めた国松先輩だったが、後ろからは先程まで石川先輩をマークしていた相手が、そして前方には相手DFが挟み込むようにしてプレッシャーを掛けられている。このままシュートを放つ気なのかは本人にしか分からないが、後ろから上がってきた火暮のパスを呼ぶ声に応じてシュートフェイクからそのままの勢いでバックパスを出した。
ボールを受けた火暮は相手DFの横を抜けキーパーとの1対1の状況を生み出した。ペナルティエリアに侵入した火暮を警戒するように林先輩も少し前に出てきた。……が、その一歩目を踏み出した瞬間に火暮は狙いすましたかのようなシュートを放ち、ボールは林先輩の横を通り過ぎゴールに突き刺さった。
レギュラー:0
選抜チーム:1
俺からすると正直、初手ダイビングヘッドを喰らいあわや得点の危機が訪れた段階でMFにもう少しDF寄りの行動をさせた方が良いと思うのだが、どうなのだろう。あと、木谷キャプテンもボランチならもっと積極的にDFに参加するべきだろう。なんでシュートが決まった段階で居たポジションが火暮の後ろなのか、もっと走って追い付いていれば良かったのに。
そんなことを考えていると、今度はレギュラーチームからのキックオフで試合が再開した。
今度は木谷先輩も中盤で保持することより積極的にドリブルで仕掛けることでDFを前に引きずり出すことを主眼にしたようだ。流石にさっきまでの流れだと相手FWの役割がなかったから戦術としては丁度いい。
レギュラーチームはサイドではなく敢えて中央を突破するようなパス回しで前線まで進んでいく。そしてDFやMFが中央に集中し始めたところで右サイドから敵のサイドバックがオーバーラップして来た。唐突な出来事とはいえ、流石選抜に選ばれただけはあるうちのDFの一人が咎めに行った。
しかし中央からそのサイドバックの前にあるスペースに走り込んだ木谷キャプテンにボールが渡り、ワンツーのパスで味方DFは抜かれてしまった。しかし相手サイドバックはそこから切り込んでいくようなことはせず、ペナルティエリアの外からミドルシュートを放った。
ばっちり【未来視】を発動しているので、このシュートが辿る軌道は読めた。某土御門氏のようにいやらしく曲がるのではなく、ゴールまで一直線にコートを貫いてくるシュート。ゴールの右寄りに構えて、真正面からボールをキャッチした。




