表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/39

12. 本入部 前

 未だ桜は散る様子を見せず、花粉症の症状は少しずつ治まりを見せてくる5月初旬。


 担任から生徒全員に本入部届が行き渡りほぼ全員が提出した朝のHR(ホームルーム)。1限目が始まるまでの休憩時間中、生徒は皆口々にどこどこの部活に入るだのこれからよろしくだのと隣席の人間らと会話していた。俺?もちろん子供だなと思いながら眺めてますが、何か。


 そして普通に授業を受けて普通に飯を食べて普通に迎えた放課後。俺の姿はサッカー部部室に合った。今は蹴和も30年だというのにまるで前世でいう平成初期のようなごちゃごちゃと散らかった部室に顔を顰めながら体操服に着替える。サッカーシューズはまだ買っていないので日常靴として使っているウォーキングシューズで。準備を整えて金属製のボール籠からサッカーボールを一つ取り、ドリブルの真似事をしながらサッカーコートに向かう。


 コートには既に先輩か同級生か知らないが何人かの生徒が居り、各々パス練習や1対1、足でお手玉をして時間を潰している。俺もお手玉をやろうとボールを軽く蹴り上げトラップの要領で足の甲に載せる。……ここからどうすればいいんだろうか。このままボールを蹴ってお手玉するのか、それともふわりと持ち上げるような感じでお手玉すればいいのか。……たかが手(というより足)慰みのお遊び如きにここまで悩まされるのも腹が立つので、お手玉をしているやつを横目に見ながら真似をする。


 爪先でボールを軽く持ち上げるようにしながら浮かし、ボールを中心に足を一回転させもう一度足の甲の上にボールを着地させる。ボールを思い切り空高く蹴り上げ、落ちて来たボールを足の甲の上でピッタリと止める。右足の爪先と左足の踵を使ってボールを持ち上げて体の前に持ってくる。頭の上で何度もボールを跳ねさせて落ちないようにバランスを保つ。片足でボールの上に乗り、バランスが崩れないように耐久する。



「おっ、葉隠発見!」



 片足耐久中に川瀬先輩が俺を見つけて声を掛けてくれた。割と長時間耐久していたが、流石に失礼なのでボールから降りて挨拶をする。



「っす、先輩。」


「葉隠はウチに本入部決めたんだね。いやあ良かった良かった。あれから仮入部に一回も来ないもんだからてっきり別の部活に行ったのかと思ったよ。」


「この1週間めっちゃ考えてました。サッカーやるかどうか。」


「ふんふん。……うん?で、ここに居るってことはやるってことでいいんだよね?」


「っす。」


「うん、これからよろしくね!」


「……っす。」



 いつの間にか他の部員が中央に集合していたので話を切り上げた。



「えー、新入生の皆さん。この度は修徳高校サッカー部に入部してくださり、ありがとうございます。3年キャプテンの木谷(きや)です。僕たちが全国制覇を目標に活動していることは部活動紹介でも言ったと思いますが、もう一度言っておきます。今年こそ、我が修徳高校サッカー部は全国制覇を成し遂げます。そのために、まずは6月の初めにある春の四国選抜優勝を目標に、チーム一丸となってしっかり練習していきましょう。それじゃあ今日の練習を始めます。よろしくお願いします。」


『よろしくお願いしますっ!!!』



 仮入部の時よりもしっかりとしたはじまりの挨拶を聞くと、部員全員が大声で挨拶をした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ