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実験体と博士  作者: 菜月
7/11

六話

胸糞悪いし長いです。

 昔々、人間を様々な脅威から護る為、聖剣が使い手を選定する儀式が有りました。

 聖剣に選ばれた人間は勇者と呼ばれ、皆勇猛果敢と呼ぶに相応しい者で、儀式は世界一勇敢な者を選ぶものとして人々に親しまれていました。


 そんな時代の中、ある時勇者として聖剣に選ばれた男が居ました。その男はある国の王でした。しかし、その王は暴君として名を世界に馳せていた非道の悪鬼だったのです。


 王は勇者に成った事で自らの全てを神聖なものとして正当化し、世界中の悪事という悪事を働き続けました。

 そんな男に反発する者も少なくありませんでしたが、誰かが批判する度に男は可能性のある者を周りを巻き込みながら片っ端から殺していった為、勇者が選ばれてから一年も立たないうちに男に反発する者は居なくなりました。


 聖剣の効果で老いなくなった男が選ばれてから20年後のことです。殆どの人類がが男の奴隷になった様に働き続けている中、一人の少女が産まれました。少女はとても賢く、誰にでも優しく、希少な魔法を使えました。


 その少女の噂を聞きつけた王はいたく彼女を気に入り、城に呼び出しました。少女も王に仕えることを喜び、すぐに城に駆けつけました。


 周りの大人は王はとても偉大な名君だと語っていて、それまでの歴史も彼の生活も学ぶことがなかった為、聡明な少女でも王の実態は知ることは出来なかったのです。


 城に着いた少女に男は始めの頃は優しくしていましたが、彼の生活を知った少女に問い詰められ続け、遂に我慢が出来なくなったのか自分の部屋に少女を連れ込み、襲ってしまいました。


 三日三晩男に犯され、暴力を振るわれ続けた少女は、部屋から出て来た頃には心が壊れてしまっていました。男のどす黒い欲望は、まだ幼い少女には受け止められないほど肥大化していたのです。

 更に男は追い打ちをかけるように、壊れた心を自らに心酔させる事で歪に修復しました。そうして、優しく純粋だった少女は、卑しい欲望に塗れた薄汚い兵器になってしまいました。


 少女を使い世界を思いのまま統べていた王でしたが、その王政は長くは続きませんでした。

 神が王を見放し、新たに一人の女性が勇者に選ばれたのです。人々は、心優しい勇者を新しい主として彼女について行きました。


 城に着いた勇者達は一斉に武器を持ち、駆け出しました。城の兵士達も王に嫌気がさしていたので、すぐに勇者達を中へ通しました。


 玉座に辿り着いた勇者はそこで飾りだらけの宝剣となってしまった聖剣を持ち、座っている男とその隣で立っているボロボロの少女を見ました。

 男はにんまりと嫌らしい笑みを浮かべ、少女を勇者にけしかけました。少女は言われた通りに勇者に近付きましたが、頭も体も疲れ果てていて歩くことで精一杯でした。それでも此方に向かってくる少女を見て勇者は、何故こんな少女が虐げられているのか、と哀しい気持ちになりました。


 勇者は少女をそっと避け、男に怒りをぶつける為に玉座に走り、男の頸を薙ぎ払いました。聖剣の加護がなくなった男はすぐに死に、宝剣を落としました。


 その後、ついに倒れた少女を抱え、城から出て来た勇者は神の言葉を聞きました。


『貴女は人類を救ってくれました。人類を統べていたあの存在は、最早魔王と言ってもいい存在です。なので、本来は聖剣で切られそれ相応の呪いを受ける筈でした。しかし、あの男は聖剣で切られず、絶命しました。

 だから、代替案として魔王に最も近しい者………魔女を呪います。また、これ以上犠牲を出さないため聖剣を封印します』


 それを聞いた勇者は憤慨しました。何故罪のない少女が呪われなければならないのか、後の言葉も気にせず神に問い掛けましたが、神は応えませんでした。


 そして、女性は周りの反対を振り切り魔女を連れて森の中へ移り住みました。

 初めの内は幸せでした。魔女も彼女を信用してゆき、女性も彼女を大切に思ったからです。

 しかし、そんな生活も魔女には許されなかったのでしょう。ある日、魔女の腹は臨月の様に膨らみ、彼女は絶叫していました。


 彼女にはマグマに押し込まれるような熱と息苦しさ、氷河に裸で縛り付けられるような冷たさと拘束される感覚、剣山に押し潰されているような痛みと圧力が襲いかかっていたのです。

それでも、魔女は死にませんでした。


 その数日後、魔女は子供を産みました。しかし、その子供は人の形をしておらず、悍しい怪物でした。その数日後もその数日後も、魔女は怪物を生み出しました。

 女性はそれでも魔女を愛し、世話を続けました。


 そんな中、魔女はまた子供を生み出しましたが、その子供は怪物等ではなく人の形をしていました。その子供を希望とした魔女はその後も、たまにですが人の形をした子供を産みました。


 それでも、次々に産まれてくる子供は次々に死んでしまい、森を腐敗させて行きました。

 女性も心を病んでしまい、死んでしまおうと何度も思いました。それでも死ななかったのは、魔女がいたからです。しかし、それも嘲笑うように残酷な運命が訪れました。


 国の新しい王が、女性を魔女から切り離し自らの后にしようとしていた事が発覚してしまったのです。しかし、女性には既に愛する魔女がいました。

 女性はどうすれば魔女と一緒に居られるのか考えました。そして、一つの考えに辿り着きました。



 一緒に暮らせないなら、一緒になればいい



 そして、女性はすぐに行動しました。一部の人が使える『魔法』という存在を使えば何とかなる。そう考えた女性は魔法について学び、魔女に使って貰おうと思ったのです。


 半年後、女性はついに魔女と一緒になる魔法を完成させました。早速魔法を発動させた二人は身も心も溶け合い、一つになり、地獄を生きました。


 その3年後、腐敗した森で偶然見つけた小屋の中で彼女を見つけた研究者は、彼女と怪物でない子供を連れて帰り、その体と呪いについて調べました。



 数百年後、まだ死んでいない彼女から、人の形をした怪物の特徴をもつ子供が産まれました。

リリト思い出しました。

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