三話
グロ表現があるかもしれない。
リアが運び込まれたのは格子で出来た空間ではなく、膨大な量の資料と必要最低限の家具のある部屋だった。
女性はそこにあるベッドにリアを寝かせ、血液を拭いてから頭を撫で、彼女が目覚めるのを待った。
「……………」
「起きた?」
不意にリアの目が開き、先程と同じく無機質な目で女性の目を見つめた。暫しの沈黙のあと、その目を見つめながら女性が口を開いた。
「声、呪い解けてるからもう出せるよ」
「……実験、終わった?」
「えぇ、大変だったね。お疲れ様。
今は甘えて良いよ?」
女性はその鈴のような音色の質問に微笑みながら、優しく、少しの誘惑を交えながら返した。
「うん、……じゃあエル、抱きしめて?」
リアはその誘惑に外見に見合わない幼い欲求と、半身を起こして手を広げるという幼い行動で応えた。
それを言われた女性……エルはすぐにリアの両脇の下に腕を入れ、背中に回してから軽く自分の方にリアの身体を寄せた。
そして互いの体温を感じながら暫く抱き合っていたが、不意にリアが問いを投げかけた。
「エル、実験どうだった?」
「そうね、いつもどおり“祝福”にも“失敗作”にも変な所はなかったけど。強いて言うなら他よりも動きが速かった気がするかな?」
「そうじゃなくて、エルは、どうだったの?」
「私?私はいつもより興奮したかな」
「何処で、何処で一番興奮した?」
無機質だったリアの瞳に暗い狂気の炎が宿り、二人だけの異質な会話は更に異質になっていく。
「一番興奮したは、腎臓が片方千切れちゃったときかな?」
「そこ?そこはね、私もエルに見られてる気がしてたから、気持ちよかった」
二人の会話は一旦そこで途切れる。
それでも、互いに興奮した様子で二人は身体を盛んにに擦り付けている。
エルはリアの腹に手を押し付けながら、リアはエルの胸に顔を埋めながら二人の美しい女は昂ぶっていく。
遂に我慢が出来なくなったのか、エルが未だ血なまぐさいリアの唇に己の唇を押し付け、押し倒した。リアもそれを恍惚とした表情で受け入れた。
互いに歪な感情を抱えたまま、彼女たちは愛しい相手と愛を見せあっていく。
これが書きたかった。
リアは最初から最後まで裸です。