表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

130/225

13-4 キャラル・ヘズの帰還 獣の同盟 - 明日の夜明けを奏でる鐘 -

「ならばここは兄が、アシュレイに代わって宣言しよう! 何、弟は兄の言うことを少しくらい聞くべきだ、問題ない」

「いや、何を言っている、兄上……」


「アトミナ皇女としてもゲオルグに賛同するわ!」

「姉上まで、いきなり何を言い出す……!?」


「我が弟アシュレイは、カーハとの友情に感謝している。わかった、暗雲立ちこめる帝国の闇を、俺たちの力で打ち晴らそう!!」


 いや、ゲオルグ、兄上……?


「俺は、将軍の地位にありながら、半ば諦めていた……。俺の立場では、帝国の未来をどうすることもできないのだと! だが、違った! 俺と弟が手を結び合い、カーハからの援軍に支えられば、必ずこの帝国を守れる! 俺の弟の下に、よくぞ集ってくれた! 兄として、帝国の将軍として、貴方方を歓迎しよう!!」


 いきなり何を言い出すのだ、兄上?

 こんな少数で何ができる。確かに獣人はべらぼうに強いだろう。

 だが、帝国は桁違いに巨大だ。俺たちがどうにかしようとしたところで、思うようにならず、跳ね返されるのがオチだ。


「ブラコンでしゅ……」

「そうかしら、少しだけ熱くなってるだけよ。あれが本当のゲオルグよ」

「いや、ゲオルグ様って、なんか、シンザのことが好きすぎでしょ……」

「愛ですね、愛……。はぁ、妄想がはかどります……」


 いたのか、プィス……。

 いや今はそれどころではない。これでは俺まで一緒に戦うことになる。


「アシュレイ様も強引だったけど、そのお兄さんも超強引キャン……」

「でもいいじゃんいいじゃん! みんなでがんばろうよ! その方が私だってやりがいがあるもん! みんなで、この帝国を救おうよ!」

「俺の意見はなしなのか……」


 ジラント、このあらすじはアンタの望む流れか?

 顕現して、ひっくり返してくれてもいいんだぞ……。


『拒む理由はない。まだ同盟の炎は小さくとも、これは明日の夜明けを生み出す朝日となろう。腹をくくれ、今さらもう止まらんぞ。あの皇帝はもうもたんのだ。ならば、これからはそなたが守れ。初代皇帝、アウサルの末裔よ。そなたがこの帝国、ア・ジールを守るのだ』


 ジラントまで熱血していた。

 こんなこと、軽々しく決めていいのか?

 ア・ジール帝国の暗雲は、本当に俺たちの手だけで払えるものなのか……?


「どうなっても知らんぞ……」

「ワハハハッ、後先考えてたら、ここにいるわけがなかろうが、このバカめがっ!」

「あはは……。不敬過ぎて、もう何も言えないけど……気持ちの上では私もそうだよ。私、アシュレイとこの帝国を守りたい。ね、がんばろうよ、アシュレイ!」

「あれがキャラル・ヘズちゃんよね? ふーん、(ギデオン)が気に入るのもよくわかるわ。いい子ね……。それに、あの子もかわいいわ……」


 確かにこうなってはもう止まらんか。

 俺が抜けようとも、こいつらは突っ走るだろう。なら、やるしかないのか……。

 それで本当に、大切なものを守り抜けるというならば――俺も一緒に抗ってみる価値があるのか……?


「わかった。なら付き合ってくれ。俺と一緒にこの帝国をどうにかしてみよう。だが、ダメそうだったら仕方あるまい、みんなどうか一緒に俺と高飛びしてくれ」

「アシュレイッ、この状況で諦めの選択肢を混ぜるな!」


「そうは言うが引き際も大事だ。ダメなら逃げていい、だからどうか俺に力を貸してくれ」

「任せよっ、我ら有角種と獣人の力、新たな器アシュレイに捧げよう!」


 こうして俺たちは、小さな同盟を結んだ。

 父上の崩御により混沌の時代が訪れる。

 それは必ず近隣諸国を巻き込んで、世界に最悪の影響を及ぼすだろう。


 そんな最低の結末を少しでもまともな方向に改変するために、俺たちは帝位を望むのではなく、秩序を求める一団として、これから力を蓄えてゆくことに決めた。


『ククク……とんだ変わり者だが、やはり我が輩の目に間違いはなかった。権力に濁らぬそなたは、やはり王の器だ。我が輩もその一員として、そなたを支えてやる』


 もう逃げない。そうは言わない。

 だが、もう少しだけ、父上が崩御しても俺はこの帝国に残り、やれることをやってみようと思う。

 幽閉されて育ったとしても、俺は皇帝家の一員……いや、兄上と姉上の弟だ。


 『帝国。ゲオルグ。アトミナ。頼む』

 もはやまともに喋れぬ父上の願いを胸に刻み、俺は巨大な暗雲と戦うことにした。



 ☆

 ★

 ☆

 ★

 ☆



【邪竜の書】


――――――――――――――

- 冒険 -

 【冒険者ギルドで1万クラウン以上の仕事をこなせ】

 ・達成報酬 EXP600/[帝国の絆LV+1

――――――――――――――


――――――――――――――

- 探索 -

 【帝国を500km歩け】477/500km達成

 ・達成報酬 移動速度LV1(全ての移動速度+50%)

『あと23kmで、そなたは長距離勤務の労働者が羨望してやまない力を得ることになる』

――――――――――――――


――――――――――――――

- 開拓 -

 【エリンを自由に発展させよ】

 ・発展度1500→3200/50000

 ・達成報酬 EXP1000/最強の人造兵器

『獣人の精鋭500名は発展の一部として認められたようだ。上手く使え』

――――――――――――――


――――――――――――――

- 事業 -

 【ヘズ商会を成長させろ】(達成

 ・達成報酬 DEX+100(獲得済み

『再会がきっかけで情報が更新されたようだ。そなたはDEX+100を手に入れた。一割だけでもいいから、精神の方にも器用さが割り振られるのなら、キャラルもここまで苦労しなかったであろうな……』

――――――――――――――


――――――――――――――

- 事業 -

 【ヘズ商会を大型船10隻を有する大商戦団にしろ】

 ・達成報酬 船団の航行速度+50%

『恐らくだがそなたが搭乗する必要がある。うむ、これは使いにくそうだから、後回しでよいぞ』

――――――――――――――


――――――――――――――

- 粛正 -

 【悪党を7人埋めろ】残り3人

 ・達成報酬 EXP1100/スコップLV+1

――――――――――――――


――――――――――――――

- 粛正 -

 【汚れた富を100万クラウン盗め】 262000/ 1000000

 ・達成報酬 空間探知LV+1

――――――――――――――


――――――――――――――

- 投資 -

 【合計1万クラウン使え】6416→6458/ 10000

 ・達成報酬 EXP1000/出会いの予感

――――――――――――――

 

――――――――――――――

- 目次 -

【Name】アシュレイ

【Lv】41

【Exp】7890

【STR】103

【VIT】281

【DEX】155→255

【AGI】235

【Skill】スコップLV5 

    シャベルLV1

    帝国の絆LV1

    方位感覚LV1

    穴掘り30アクティブ

『技が今の4割冴えるようになったな。だが言っておく、制限時間が迫っているぞ。じきに邪竜を用いたレベルアップどころではなくなる。後悔がないようにしておけ』

――――――――――――――


 棚ぼたとはこのことだな。次の戦いが楽しみだ。

 しかしジラントよ。俺からすれば『船団の航行速度+50%』というのはかなり興味深い。

 己の搭乗する船が、疾風となって海を駆けるだなんて、気持ちよさそうな上に、いざという時の逃げ足が速くなって安心するではないか。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング
よろしければ応援お願いいたします。

9月30日に双葉社Mノベルスより3巻が発売されます なんとほぼ半分が書き下ろしです
俺だけ超天才錬金術師 迷宮都市でゆる~く冒険+才能チートに腹黒生活
新作を始めました。どうか応援して下さい。
ダブルフェイスの転生賢者
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ