第四十七話
「憎むから、でもどう憎めばいいのかわからない…か、憎むという事は私達も含まれているのかしら?」
「おそらく、そうでしょうね」
次の日、外を歩いていると途中でパトロール中のセルフィに出会い何故か一緒に同じ道を歩く事になったが、挨拶をして、しばらくしているとセルフィは自分の姉が解決した、今回の事件を吟味していた。
「ふん、そんなの逆恨みじゃない?」
「ですが、仕方がない事だとは思いますがね」
「貴方が治安部じゃないから、そんな事が気楽に言えるのよ。下手すれば姉さんの方にも迷惑が掛かるわよ?」
「それくらいの事は貴女の姉さんは承知していると思いますが…」
「ふん、何よ?」
「その程度の憂さ晴らしくらい、受け止めるというのも、貴女達、治安部の本当の役割だと思いませんか?」
「う、うるさいわね…」
呆れているのかしばらく、静かに歩いていると背伸びしながらセルフィは聞いてきた。
「まったく、アンタ、一体何者なのよ?
私、あの夜、学園に姉さんがいなくなった隙を狙って、学園内のパソコンや色んな書類を通してアンタとの関係を調べてたりもしたのよ?」
「おや、それで何かわかりましたか?」
「全然、何故か貴方もいなかったし、姉さんの関わった事件で『おかしい』くらいアンタの名前が出なかった事くらいよ」
「それで何者だと?」
「そうよ。
でも、ああ、ホントに聞きたいのは、そうじゃなくて…。
…大丈夫なの?」
「大丈夫とは?」
「アレから二日しかたってないでしょう?」
「ああ、カエデさんの事ですか…。ご心配なく、大丈夫ですよ」
要点を得た顔が少し辛そうに思い出して、『ご心配なく』と心配させまいと心がけて答えたつもりだったのだが…。
「いつもそんな事ばかりしている言い方ね?」
そういえば、この感覚は『傷になるくらいの痛み』だという事を忘れていた。
別にこの痛みに慣れたというわけではない、ただ麻痺していただけ、そのおかげで変に勘ぐろうとしていたので、そっけなく答えた。
「悪いですか?」
「ふん、悪くはないけど…心配くらいしてもいいでしょう?」
「ご心配なく、こんなご時世ですらね。こういった気分の昇華のさせ方くらいは知っていますよ」
「上からの目線で言わないでよ」
「別に構わないでしょう、少なくとも貴女は年下ですよ?」
するとセルフィは『ふん、うるさいわね』と笑顔で答えたので、うまく誤魔化せたと内心安心していると後ろから声がした。
「随分と私の妹と仲良く話すのだな?」
「ね、姉さん!?」
「ふっ、まだ厳戒態勢が解けていないというのに、どこぞかの白鳳学園の生徒が見えたのでな。
一言注意してやろうと思ってな」
そういうワリにはレフィーユは、手にしていたモノを差し出してこれを読めという事だろう…。
「ええと、某日未明、ある国で強盗事件が発生、その逃亡中にて、大型料理店『華中飯店』に押し入り。
あわや立てこもり事件に発展するかと思われたが…。
…しかし、数分もしないうちである。
なんとその強盗グループは、オーナーであるメイを中心とした従業員達に取り押さえられたという。
その後、警察に引き渡され、けが人はいない…。
やりますね、メイさん…」
「だから、どうしてお前は第一面から見ないのだ?」
『次からは、指を指しておくぞ?』とその第一面に書かれていた事は、ただ自分では知っていた事だったので、何だろうと気にしていた妹の方に手渡すと、
「ふん、結局捕まってるじゃない。いい気味よ」
今回の主導者の事をそう締め括った妹に笑みを浮かべる姉は聞いてきた。
「それで、お前はどこに行こうというのだ?」
「あっ、あの区間に行こうとしても逆方向だし、私も気になったのよ。
どこに行くくらい聞かせてほしいわね?」
どうも『お構いなく』と言ってもついて来そうな姉妹を素直に従えると、レフィーユもどこに行こうとしているのかがわからないか、
「セルフィ、そこは空き地でしかも行き止まりだろう?」
「まさか、人気のないトコロにつれこんで…」
「戦闘能力の高い二人が、そんな不快な目で見てほしくないですよ」