表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/49

第四十二話

 「どういう事かね、キミ達には、住居を提供して働く場所だって提供する。これの何が不満だと言うのかね?」


 「不満も何も、無理だからだに決まってるじゃねえか!!


 なあ、悪い事をしていたヤツが真面目に働いていたとするが、中で『アイツ、恐怖孤児だから、あんまり近づかない方がいい』っていうヤツが出てみろ、周囲はあっという間にソイツを遠ざけちまうのがわかんねえのか?


 遠ざけている事くらいな、人間は感じ取れるんだぞ!?」


 「ふふ、それはキミの思い込みだ。周りの人を見てみろ、人間は優しい人ばかりだ」


 レンジは、背後から迫ってきた警備員を避けて蹴飛ばして、カドクラに向かって叫んだ。


 「てか、逃げてんじゃねえ!!」


 姿を消して追いかけようにも、警備員に道を見事に阻まれるが、その二名はレンジのいた所より上を見上げていた。


 照明により、目が眩むが彼らの注目点は黒い点、そこから出た警備員の肩に龍が噛み付いて、龍は何かを引き寄せていた。


 そこに目を向けると…。


 目の前に迫ってきたのは足の裏だった。


 「ううう、うわあああ!!」


 加速付いたとび蹴りに驚いたもう片方が慌てて炎を放つが、そんなものは『熱く』なかった。


 そのまま突っ切って、手の平でストレートを放って視界を塞ぐと、次に視界が戻った時には黒い法衣を纏った男の背中が見えていた。


 すぐさま取り押さえようと飛び掛るが、この男がただ背中を見せたワケではない。


 さらに振り返った後、取り押さえるより物凄い勢いで何かが飛んできて腹部で弾け…。


 「すげえ…」


 レンジが、呟いた頃には警備員の頭部に当てた足を振りぬいていた。



 「カドクラは?」


 「あ、ああ、すまねえ、あっちへ行ったきり見失った。お前の方は?」


 「何とか一般の人は退散したようです。行きましょう?」


 レンジは頷きながらカドクラを探していると、そのカドクラと秘書はホテルの自分の部屋に一旦、隠れていた。


 「ど、どうして、魔道士がいるのかね!?」


 秘書は先ほどの光景を見ていたのか半分、震えながら首を振っていると、いらだった様子でカドクラは今度は秘書に言った。


 「私は関係ないぞ、キミがこの町に漆黒の魔道士を呼んでレフィーユを選挙活動に利用しようと考えたんだ。


 キミが全て責任を取りなさい!!」


 しかし、これが引き金になった。


 「貴方がこんな事を考えたんじゃないですか!!


 私は指示されたまま、みんなに薬を渡したり、病院であの娘に薬を飲ませたりしたのですよ!?」


 「何ぃ、貴様、私に逆らうと言うのか!?」


 「ええ、そうですとも、幸い彼らの狙いは貴方ですからね、私はとっとと逃げさせてもらいますよ!!」


 そう言って、ドアを開けようとした時、完全に安心しきった秘書の背後に…。


 「貴様ぁぁぁ!!」


 完全に不意を突かれた秘書の頭に陶器殴りつけた。


 「今まで、目に掛けて、やったのを、忘れおって!!」


 殴り続けて、とうとう動かなくなった秘書を見つめながら、そんな捨て台詞を吐いていると、テーブルの上にその薬と注射器があった。


 「私の言うとおりにしてれば、よかったものを…」


 まだ息があるのだが、何をされているのかわからないのだろう。


 「そうだ、私の言うとおりにしてれば、よかったんだ…」


 カドクラの成すがままになっていると、後は脱出するばかりと秘書に代わってドアを開けようとしたが…。


 しかし、カドクラは知らなかった…。


 『暴走』や『肥大化』という発症する時間は、人によって異なるという事を、当然、用心とばかりに大量に打ち続けた彼には、今まで人任せにしていたせいもあり…。


 「どこに行きやがった?」


 レンジと一緒に探していると、遠くの方で『ガシャン、ガシャン』とガラスの割れるような音が響いた。


 「何だ!?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ