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第十三話

急に削除したりして申し訳なく思っております…

 

 『私が関わらない以上、恐怖孤児との衝突は激しさを増す事になるだろう…』


 その深夜…。


 『そこで、お前は恐怖孤児を守る為にしばらく身を寄せておいてくれないだろうか?』


 ビルの屋上にて歩く影があった。


 『あのレフィーユさん、一つ良いですかね。私は学校はどうするのですか?』


 影は、夕暮れ時にあった事を思い出しながらビルの屋上を歩いては…。


 『心配するな、お前には、しばらくの間、風邪を引いてもらう…』


 ビルの端に差し掛かり、高ければ自身のツタを使い、跳ね飛んで…。


 『休めって事ですか


 …まあ、仕方ありませんか、やらせてもらいますよ』


 低ければ飛び降りて、法衣を生かした着地方法で怪我のないようにビルの群れを渡っていた。


 『ふっ、お前が駄々をこね出したりでもしたら、レンジの携帯の番号を教えたのは誰だ…と脅してやろうとでも考えていたのに、珍しく今回は随分と聞き分けがいいのだな?』


 ある『風景』を前にして、深呼吸をした。


 『そんな事でいちいち脅迫しないでくださいよ。


 貴方が動かないとなると、周りはカラ回りするのは目に見えてますからね。


 監視ぐらいしておかないと、色んな意味で危ないでしょう?』


 恐怖孤児のいる最重要巡回区間を前にして、今までの事を思い出しながら…。


 『すまないな、頼らせてもらうぞ』


 早速、行動に移る事にした。


 「よっと…」


 ビルの屋上から闇を使ってぶら下がって、窓についている鍵の近くに手を置く、そして、ゆっくりゆっくりと音を漏らさないように開ける。


 潜入をすると、周囲…というより外界から入ってくる灯りだけを頼りに中を捜索するのはかえって潜入がバレると思った。


 そのため近くの部屋に一旦、入ることにしたのだが、その部屋は薄暗く、誰もいないのだけがわかったが何かが並んで立っていた。


 近寄って、目を細めて見るとようやくそれは『絵』だとわかったが、背後で声がした。


 「誰?」


 ゆっくりと振り向いて顔を見ようとしたが影が邪魔をする。


 だが何故か自分は、その声を聞いた事があったので、鈍い声を出しながら聞いて見た。


 「貴女は?」 


 「アカネ、貴方は…」


 それだけ言って、彼女は自分の名前を聞くのかと予想はしていたが、どうも自分の事は知っていたようなので説明をする事にした。


 「じゃあ、その『偽者』を捕らえる為に、ここにやって来たの?」


 アカネは思ったより明るい態度でそう聞いて来たが、笑うしかなかった。


 ホントは『治安部の暴走を止めるため』と言いたかったからだ。


 だが世間では治安部との接点は無いとされているので、ここではそう言って誤魔化しているのだが、もし『偽者を捕らえる』としているのなら、聞いておかなければならない事が一つあった。


 「アカネさんは、偽者が誰なのか知っているのですか?」


 その質問には案の定、といった返答がかえって来る。


 「私達の誰かがやってるって聞いた事があるけど、あの…」


 「ああ、私の事は好きに呼んで構いませんよ」


 「じゃあ、魔道士さんは、偽者が誰かわかったからやって来たの?」


 「まあ目星くらいなら…と言いたいのですけど、その前に『私が偽者を探すために、ここに来た』と言った意味がわかっている聞いているのですか?」


 正直、聞き辛い事を聞いたので自分の態度は自然とよそよそしくなった。


 それを誤魔化すように周囲を眺めていると、やはり沈んだ様子でアカネは答えた。


 「…うん、知ってる。


 『漆黒の魔道士は、偽者を許さない』だったよね?」


 そして、ここからが本題だったので、よそよそしさが更に増したが大きく息を吸い込みながら、デリカシーの無い事を聞く。


 「でしたら、もし偽者が貴女の友達だったら?」


 アカネはゆっくりと答えた姿が、何かに被った。


 「…うん、でも、それは仕方が無いかもね」


 前にレンジがしたような、諦めた様な姿に…。


 「貴女の仲間かもしれないと聞いたのですよ。どうして、見捨てるような事を言うのですか?」


 だが小さく笑いながら、アカネは答えた。


 「ごめんなさい、魔道士さんって、まるで前に私達に会ったような話し方をするからおかしかったの。


 うん、確かに友達は大切だと思う。


 だけど…ゴホッ!?」


 「だ、大丈夫ですか?」


 「うっ、うん、大丈夫…。


 私の病気が怒っただけだから…」


 「病気ですか、もしかして今、辛い状態で話をしているのなら、安静にした方が…」


 「心配してくれるの?


 ふっ、ふふ…」


 突然、咳き込んで少し苦しんだので聞いたのだが、アカネは『うん』と頷いて不思議と笑顔だった。


 不思議に思って見ていると、アカネはそれを自分が不快に思ったと勘違いしたのだろうか『ごめんなさい』と言って笑顔で笑って答えた。


 聞くところによると、彼女の聞いた噂話での自分は随分と凶悪犯らしく、最初は警戒はしていたのだが、随分と違ったらしい…。


 だが、その事がよほど可笑しかったのだろう。


 小さくではあるが、まだ笑っていたので…。


 「流石に失礼ですよ?」


 少し照れながら、悪態を付いて笑いが収まるのを少し待って、頃合いを見て聞いてみた。


 「まあ、私はビルの中に身を潜めて、偽者が出てきたところを、捕まえようと考えているので、貴女方には危害は加えるつもりはありませんので、空いた部屋とかに隠れておきたいのですが?」


 「だったら、この部屋を使っていいよ」


 「それは出来ません。ここは貴女の部屋ですし、女性の部屋に男一人というのも、考え物でしょう?


 それに貴女が『私がここに潜入している』と言いかねませんからね」


 「それは、私達に危害を加える気は無いと言ったあなたにも言えると思うけど?」


 「……」


 「心配しないで、私は今日、貴方に出会った事は誰にも話さないし。


 普段、私、治療室のベッドの上にいる方が多いから…」


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