夢の桜田町 「はじめまして、桜田町」
ここは夢の町、桜田町。
駅を中心に広がる町、そこに来た時の話。
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気がつくと電車に乗っていた。
ガタンゴトンと電車が揺れ、止まる。
どこかの駅に着いたようだ。
『桜田町〜桜田町〜』
隣にいた家族が降りた。つられて私も降りる。
桜田町の駅は増築を繰り返しているのかボロボロのところと綺麗なところの差が激しい。
今にも壊れそうなエスカレータになりながらそう思った。
駅から歩いて10分、母親が誰かと話している。
見知らぬ家の前、どうやらここへ越して来たらしい。
玄関らしきベランダのような窓を開ける、埃っぽい部屋の中、ボロくはあるが広くて心地の良い家で悪くなかった。
「あんたの部屋は別のところにあるよ」
なんて母が教えてくれた、1人部屋なんて初めてでドキドキしながら部屋の場所を聞いた。
玄関を出て、家の裏のあたり、塀の間に小さい錆びた扉、中に入ると自転車しか置けないような、小さな庭と大きな窓、どうやらここが出入り口らしい。
中に入ろう…
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……………
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…
また、駅にいた。桜田町といっても所詮は夢、突拍子もなく場面が変わる。
部屋の中が気になるなぁと思いつつ桜田町駅を探索すると父親の姿が目の端に映った。
その瞬間なぜか逃げなくてはと逆の方向へ走り出した。
壁が綺麗なレンガから古いコンクリートに変わる。増築に増築を重ねたつぎはぎの壁が距離を教えてくれるようにどんどん古くなる。
ボロボロのエスカレータを駆け上がった!
エスカレータはボロだった、そのまま床がのめり込み私の体ごと飲み込んだ。
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目が覚めた。
桜田町はのんびり起こさせてくれず夢から追い出すかのように目を覚まさせる。
まだまだ夜。
もう少し寝れると私は布団に潜った。
これが初めての桜田町。