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水泳しかできない  作者: 野菜ジュース
最終章、インターハイ予選
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最後のレース

<最後のレース>


スタートと同時に力強く壁を蹴る翼!すると、身体はきれいな弧を描き水中に消えていった・・・・・・水中に消える事数秒。浮き上がるとすぐにその持ち前の身長を活かした大きな泳ぎでテンポ良く進んでいった。それと同時に観客席にいる晴人は席を立ち、ストップウォッチを持ったまま、翼を追いかけるように観客席にある中央廊下をプールと平行に走り出した。


翼を応援する叫び声。その姿を見た翼の父は、瞳孔が開いたように目を見開き、すばやくネクタイを外した。そして、すぐに晴人の後を追い、翼を興奮する声で応援し始めた。真面目すぎる父が、我を忘れて応援するその姿を見た翼の母が、思わず嬉し涙を目からこぼす。


翼が水しぶきの少ないきれいなターンで50mを折り返した。そのタイムを見る晴人がまた興奮をする!翼の父親はそんな晴人より更に前に出て、熱の入った応援を繰り返した。そして100m!道春への引継ぎ!


道春が迫力ある飛び込みを見せる!!


観客席で見守る道春の母親は、もう目も開けられず、手すりに身体を預けると、足元を見ながらそのフォトフレームだけを道春に向けた。家族の水泳・・・・・・・その泳ぎを写真の父親にしっかりと見せるように・・・・・道春が50mを折り返したところで、緊張から身体を小刻みに震えさせる翔太。拓也が震える翔太の背中を力強く叩いた。翔太はそんな拓也を一瞬見ると、大声を上げて気合いを入れた。道春のタッチ!その泳ぎを翔太へと引き継いだ!


心配そうに見つめる晴人・・・・・水中に消えた翔太が思いも寄らぬ遥か前方できれいに素早く浮き上がった。後続を引き離すその浮き上がり・・・・・・・それを見た松山が震えながら声を小さく漏らす・・・・・そしてリズムいい泳ぎと力強いキックで50mをターン!その100mの中間である50mのタイムを言う店長、それを聞いた松山が鳥肌を立たせると何かに取り付かれたようにスーッと静かに立ち上がった。その眼は瞬きもせずまっすぐに翔太を見つめていた。翔太はそんな松山にも気付かず、見事なタイムで100mを泳ぎきった!それと同時に飛び込む拓也・・・・・すべてを賭けた最後の泳者。その努力を全ての人に見せるように豪快に進む拓也。誰よりも・・・・ひたむきに続けてきたその努力を見せ付けるように・・・・・50mのターン!!驚きそのタイムを言う晴人!その横でタイムを聞いた彩香が、インターハイ出場タイムまでの残り秒数を震える声で口にした!その言葉に不安の表情を一瞬見せる晴人・・・・・・残り10m!声を張り叫ぶような応援を続ける仲間達!携わってきたその全ての人達が願うように応援を続けた。そしてついに・・・・・・最後のゴール・・・・・・・・・ゆっくり見上げるように見つめるその電光掲示板・・・誰もが・・・・・・・その仲間達の誰もがその掲示板のタイムに注目をした。黒い電光掲示板に、赤く光り輝く数字が映し出される。


カシャッ・・・・・・と切り替わったその数字を見ると晴人が、笑顔のガッツポーズを見せた・・・・・・



晴人「切ったぁぁぁー!!!!!!!!!!!!!!!!」



それぞれがそれぞれを称えるように、抱き合う選手達。彼らが流す涙に恥ずかしさなどどこにもない。ただただ感情をそのままに全てを出し・・・・・泣きじゃくる。


そして4人が多すぎる観客席の人だかりの中からある1人だけを捜し求める。その人だかりの中から晴人を見つけると、すぐにプールサイドに横一列の整列を作り、無言の意味ある感謝の一礼を深々とした。声援こだまする観客席には、その一礼を静かに見つめる晴人の姿が・・・・・・・・・・・その眼は、それまでの全てを称えるコーチとしての優しい眼をしていた。


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