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水泳しかできない  作者: 野菜ジュース
最終章、インターハイ予選
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大久保の応援

<大久保の応援>


男子選手4人と女子選手4人、そして彩香と晴人も含めた10人という団体で駅に向かい歩き始める。なんだかその姿は、戦に出かける武士のような妙な迫力ある集団に見えた。


大久保「なんだよ君達。そんな怖い顔で歩いていたら、誰かに喧嘩を売られちゃうよ。」


自転車をこぐスーツ姿の男性。出勤途中のその男性は、晴人の前まで来るとその自転車を停めて振り返るように顔を見せた。


翔太「大久保さん・・・・・・」


プールコースの奪い合い。そんなトラブルを何日も続けた大久保と翔太。お互いに譲らないその姿勢は、晴人の暴力にまで発展してしまった。それでもお互いを理解して、選手コースも大きく成長できたあの事件。もう今では、そんなトラブルは少しも感じない、むしろ理解ある大人の会員として大久保は大切な存在となっていた。


晴人「今から出勤ですか?」


大久保「ああ、はい。みっちり深夜まで仕事ですよ。」


翔太「大久保さん!今日が待ちに待った目標の大会の日です!!約束どおり、いい結果を必ず報告しますから!!!・・・・・・」


大久保と晴人の会話に割って入る翔太。その言葉には熱すぎる気持ちが込められていた。


大久保「おいおい!戦時中の軍隊じゃないんだから。今は平成だよ?そんな熱くなるなよ!」


そんな台詞を爽やかに言う大久保の姿は、あの頃の『昭和の堅物』のイメージとはまったく別物のように感じた。


大久保「そうか、ついにこの日が来たのか。レースは何時頃だ?見に行く事はできないが、その時間になったら心でしっかり応援するから!」


晴人「あ・・・・えーと、10時半ごろですね。」


大久保は持っている手帳にその時間を書くと、元気に挨拶をしてまた自転車をこぎ進めていった。その姿を見送る翔太の目からは、少しだけバタフライに対する不安が消えているように見えた。

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