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水泳しかできない  作者: 野菜ジュース
最終章、インターハイ予選
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店長と木島

<店長と木島>


晴人「おっ2人揃って来たか!」


一番最後に集合場所のプールへ来た拓也と翔太。その2人に向かって、晴人がいつもより明るく元気な声で振舞った。


そこには、晴人と男子選手4人の他に、女子選手4人と彩香、そして店長と木島が立っていた。


翔太「あれ?今日は女子選手達も来てくれるの?」


見送りにしては準備が整っている。そんな女子達を見ての翔太の発言だ。


彩香「ええそうね。彼女達はもう全国中学校を決めているからね!もちろん勝負はその全国中学校だけど、今日だけは男子チームを応援しに行きたいらしいよ。」


道春「じゃぁ彩香コーチも来るんですか?」


その言葉に、彩香は『もちろん!』といった表情で大きくうなずいた。


晴人「店長と木島さんは・・・・・・来られないんですよね?」


少しの期待をこめた晴人の言葉。そんな言葉をあしらうように木島が言った。


木島「当たり前だろ!!プールの営業があるんだよ!!特に店長は今日、特別に忙しい用事があるんだよ!!なんとここに、会社の社長がいらっしゃるんだぞ!!」


全国に何店舗も構えるこの会社、その社長がわざわざここに来てくれるらしい。そうとなれば、それはかなりの大事だ。


晴人「ほんとですか??なんでまたここにいらっしゃるんですか?」


店長「何でかね・・・・・役職何人か連れて、一日ここで色々な話をするらしい。まあちょっとした会議みたいなものだよ。おかげで、自分も出席する羽目になったがな。」


少し嫌そうな口調でその話しをする店長。それを聞いた木島が、そんな態度を否定するように言う。


木島「何を言っているんですか店長!自分はもう噂を聞いてますよ!店長の出世の話・・・・・」


ひたむきに黙々と努力を続けてきた店長としての仕事。その仕事ぶりが評価されて、一つ上の管理職に出世するらしい。その噂は、すでに何人かの社員の間で話し交わされていた。


晴人「すごいですね店長!!なんかどんどん遠い存在になってしまうような・・・・・・でも、嬉しいですよ!!」


そんな事を言う晴人の表情は、どこか物悲しく見えた。


木島「もう、そんな簡単に口が利けなくなるほど偉くなっちゃうぞ!!だからお前と同じで、店長にとっても今日は大切な日なんだよ!!」


晴人「そうなんですか・・・店長も木島さんもわざわざ今日は見送りに来てくれて、ありがとうございます。」


木島に礼儀正しくお礼を言う晴人。


木島「バーカ!俺がわざわざお前らの為に見送りに来るかよ!!社長が来る前に、施設を掃除しようと早く来ただけだよ!!」


晴人はその言葉に、一瞬イラッとしたがそれでも必死で作り笑いを続けた。そんな晴人を見た木島が、晴人の顔の前まで手伸ばし何かを差し出す。


木島「これは俺が学生時代に、サッカーの大会で全国大会を決めた時につけていたお守りだ。今日だけ・・・・・貸してやるよ!!」


そう言いながらその手のひらを開くと、ポロッと一つのお守りが顔を出した。


照れくさそうに言うその言葉は、いつも通りの強がった口調ではあったが、確かな木島の優しさが感じられた。


木島「営業の邪魔してまで続けてきた選手コースだろ!!結果ぐらいは・・・・出してくれよ。」


晴人はその言葉に、気持ちを込めた大きなうなずきで返事を返した。

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