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水泳しかできない  作者: 野菜ジュース
最終章、インターハイ予選
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不安が残る拓也と翔太

<不安が残る拓也と翔太>


まだ朝になったばかりのこの時間、ビルの合間の地平線からは太陽が輝きを見せ始めている。


そんな早朝、翼と同じように自転車をこぎ、プールを目指している拓也。その表情は浮かばれていなかった。


勝負のレースで4泳のクロールを泳ぐ拓也、確かに拓也の得意な泳ぎはクロールだ。

それでも正直いつもその自分が泳ぐクロールの実力に自信が持てていなかった。『自分には泳ぎのセンスがない。』思い込みにも感じるが、結果につながらない自分のレースを見て、いつもそう思わざるを得なかった。だからこそ続けてきた努力。その努力のおかげで持久力だけは誰にも負けなかった。見つけたバタフライと言う逃げ場。4人いる選手で、クロールが2人いるから仕方なくバタフライを泳ぐ・・・・・・・そう言いつつも心の中ではそれが自分の努力で得られた逃げ場だと感じていた。


翔太「よっ拓也!!」


そんな事を思い硬い表情をしていた拓也の後ろから、たまたまなのか、合流するように自転車の翔太が声をかけてきた。


翔太「珍しいな!こんなとこで会うなんて。」


陽気な翔太は、朝から笑顔で元気がいい。


拓也「おっ・・・・おお、おはよう。」

緊張を隠しきれない拓也は、どもる挨拶をした。


翔太「何だよ!大切なレース当日なのに、元気ねーな!まーでも、さすがに緊張もするわな。」


そんな翔太も、目線を落とし深刻な表情に変える。


『練習が弱い翔太』そう言われ続けた自分が、もっとも体力を使うバタフライを泳ぐ事になった。晴人のペップトーク。その話術によって少しずつでもタイムが上がってきた最近の練習。それでも、小学校以来レースで泳いだ事がないそのバタフライに、一抹の不安を抱いていた。


拓也「お前なら出来るよ!小学校の頃、全国の決勝まで行ったんだろ?そのセンスがあれば絶対に乗り切れる!」


いつも4人のまとめ役の拓也が、そんな言葉で元気付けるが、実際は、翔太と同じくらいの不安が頭の中にへばりついている。


拓也「・・・・センス・・・・かぁ・・・・・・」


自分が口にしたそのセリフをかみしめるように繰り返す。その言葉には、自分に足りないそれを感じ、翔太を羨ましく思う気持ちが込められていた。

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