元気のない2人
<元気のない2人>
晴人「練習を始めるぞ。気をつけ!礼!」
一同「お願いします!!」
いつも通りに練習を始める選手達。1時間がすぎた頃、トイレ休憩と練習の中間休みとも言える、流して泳ぐイージーが入る。
晴人「よし、トイレ行きたいのはいけ・・・・それ以外は100mイージー・・・・・・・・・・」
ゆっくりと泳ぎ始める女子選手達。プールの中間あたりに差し掛かると、美月と華が泳ぎを止め不思議そうに話しを始めた。
美月「ねぇ・・・・・なんか今日の水元コーチ少し元気なくない?」
華「うん。私も感じる・・・・・なんだろうね。」
そんな二人の横で、泳ぎとめる沙羅。
沙羅「疲れてるんじゃない?別になんでもないでしょ。早く泳ごう!!」
それだけを伝えるとすぐにまた先に泳いで行ってしまった。真面目な沙羅は、自分の事で精一杯。晴人の元気のなさは、あまり気になっていないようだ。それでもそれが気になってしまっている美月と華は・・・・・・
華「沙羅はあー言うけど絶対変だって!!こんなの始めてだもん。」
美月「そうだよね・・・・あともう1人・・・・・いつもと雰囲気が違うように感じる人がいるんだけど・・・」
そう言いながら美月が見る目線の先には、プールサイドで晴人の前に立つ翼がいた。
翼「水元コーチ。今日練習が終わったら大切な話があるんですけど、時間ありますか?」
そう言う翼の表情は、いつになく深刻だ。
晴人「ああ。大丈夫だ。・・・・・ここで話すか?」
それを聞くと言い辛そうに、軽く頬を押さえた。
翼「いいえ・・・・・フロント前でお願いします。親も・・・・・一緒なんで・・・・・・」
伝えたい事だけ伝えると、軽くお辞儀をしてすぐにプールに飛び込み泳ぎ始めた。練習前から気にはなっていたその頬の腫れ。それほど目立つものでもなかったので気にはしていなかったが、しかしどうもそれが話の内容に関係があるようだ。
そんな翼を見て、転勤とはまた別の不安を頭によぎらせる。
『勉強優先な考えの父親が水泳に反対している。』以前、翼ともめ事を起こした時その事実を知った。その親と話をするというこの事態に、晴人は何やらまた問題が起きそうな妙な不安を感じた。




